ヴィクトリア朝の女性のスカートの下(男子禁制記事)

ふんわりとしたロングスカートはヴィクトリア時代のドレスの象徴。今回はレディのスカートをふくらませる、下着について解説します。男性諸君は、こっそり内緒で読みましょう。
クリノリン&バッスル

Victorian and Edwardian Fashion

一口に「ヴィクトリア朝」と言っても、実はその期間は64年間もあります。ヴィクトリア女王は1837年から1901年の長きにわたって英国を統治していたからです。女性のファッションもその間に様々に変化しています。ここでヴィクトリア時代の服飾について学ぶことができる素晴らしい本をご紹介しましょう。

Victorian and Edwardian Fashion』は1845年から1905年までのヴィクトリア朝、エドワード朝の人々の写真が200枚以上掲載されています。全ページモノクロですが(当時の写真が白黒だからですね)、非常に見応えのある写真集です。男性、女性両方の写真が載っていますが、やや女性が多いかも。

1860年代後半

クリノリン&バッスル
まずはスカートの膨らみについて『Victorian and Edwardian Fashion』の写真を見てみましょう。これは1860年代後半。シャーロック・ホームズが10代半ばの頃。全体がAラインで裾に向かって広がっている形です。

1870年代前半

クリノリン&バッスル
1870年代前半。ホームズは20歳前後。宿敵・モリアーティー教授と出会ったころかしら。ドレスのおしりに注目。5年前に比べて、後ろの部分がふくらんでいますね。

1870年代後半

クリノリン&バッスル
1870年代後半のドレスです。ホームズはロンドンで探偵業を始めた頃。ふくらんでいたおしりが、今度はスッキリとしたシルエットになりました。

1880年代半ば

クリノリン&バッスル
かと思えば、1880年代半ばになってスカートは巨大化! ホームズは30歳代。1880年代なかばから後半にかけて、ホームズはたくさんの事件を解決しています。探偵業も軌道に乗り始めました。

1890年代

クリノリン&バッスル
そして1890年代。ホームズ40代に突入。探偵の仕事も乗りに乗っている時期です。スカートは急激にしぼんでいます。巨大化しすぎた反動でしょうか。

1900年代

クリノリン&バッスル
1900年代。もうふくらませたスカートなんて時代遅れ! ほっそりしたシルエットが流行。ヴィクトリア女王の死去によって長かったヴィクトリア時代が終わりを告げました。

ホームズは50代にさしかかるところ。1903年には探偵業を引退し、サセックス丘陵のフルワースへと引っ越しました。

アール・ヌーヴォーからアール・デコへ

クリノリン&バッスル
そして1910年にエドワード7世が亡くなり、時代はアール・ヌーヴォーからアール・デコへ。1912年の舞踏会ではもう誰もふくらんだスカートははいていません。

昔のドレスなどどれも一緒のような想像をしてしまいがちですが、ヴィクトリア朝からエドワード朝にかけて、スカートはふくらんだりしぼんだりしていたんですね。

女子高生のスカート丈と同じ

これは「女子高生のスカートのスカート丈」に似ているかもしれません。100年後の日本人は「昔の女子高生の制服」はみな同じだと思うでしょうね。でも80年代のスケバン(超ロング)、90年代のコギャル(超ミニ+ルーズソックス)、長すぎず短すぎずで落ち着いた2000年代以降の制服はそれぞれ全く違いますもんね。

クリノリン(Crinoline)

クリノリン&バッスル
ではどうやってスカートをふくらませていたのか。下半身用の下着には様々な種類があります。これは「クリノリン(Crinoline)」。スカートをドーム状に広げるためのもので、鯨骨(鯨のヒゲ)、鋼(はがね)などを輪の形にして布にぬいつけています。

セクシーすぎる?命がけ?

クリノリン&バッスル
現代からすると優雅ですが、1863年にヴィクトリア女王はクリノリンを「はしたなく、忌まわしい」ものとして勅書を発表しています。それはクリノリンが歩行中に跳ね上がり足首が見えて卑猥だったことと、クリノリンに暖炉の火がついて火だるまになる女性が後を絶たなかったため。こんな風刺画も描かれています。

バッスル(Bustle)

クリノリン&バッスル
これは「バッスル(Bustle)」。おしりの部分をふくらませる下着です。つきだしたおしりは女性の成熟度をアピール。木綿のクッションを詰め込んだものや、鯨骨でふくらませるものなど様々なものが発売されました。

ペチコート(Petticoat)

クリノリン&バッスル
次は「ペチコート(Petticoat)」。19世紀初期以前は女性のスカートを指しました。バッスルと混同されることも多いのですが、スカートの下に着用して足さばきをよくする機能があります。レースやフリルが縫い付けられていることも多く、歩くときにちらっと見えるのもセクシー。

パニエ(Panier)

クリノリン&バッスル
これは「パニエ(Panier)」。フランス語です。様々な長さのものが発売されていますね。スカートをAラインにふんわりふくらませることができます。現在はウェディングドレスやゴスロリファッションのスカートの下によく着用されます。スカートの上に出したり、パニエのみではく方法もあります。

昔も変わらない女心

クリノリン&バッスル
この記事の目的は「スチームパンクファッションは歴史的事実に基づいて正しく着るべし」なんてことでは決してありませんよ! 100年以上前の女性が流行を追いながら、いかにスカートをふくらませるかに一生懸命だったかを知ると、親近感がわいてきませんか? なんともいじましい女心。現代の女性と変わりませんね。

レディ・ホームズのバッスルスカート

クリノリン&バッスル
そして私の「サンジェルマン伯爵の時計塔」での扮装、「レディ・ホームズ」のスカート! 大きく全体にふくらませつつ、バッスルで後ろの部分を強調しています。30代半ばのシャーロック・ホームズのファッションを女性版にしてみました。バッスルスカートで優雅にダンス!

蒸気夫人

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