「蓄音機」 動画で見る&聴く蓄音機の音

メーリさんのひつじ〜♪(Mary had a little lamb)世界初の録音装置・蓄音機で再生された曲です。発明者はご存知エジソン。蓄音機の音を動画でどうぞ。
蓄音機

一般にエジソンが蓄音機を発明したことになっていますが、正確に言いますと、エジソンよりも先駆けて音を記録できる装置を考案したのはフランス人レオン・スコットです。そしてそれにヒントを得たフランス人シャルル・クロが、音の再生もできる装置をフランス科学アカデミーに提出しています(実際には日の目を見ていません)。

だからエジソンは世界で3番目の考案者。でも蓄音機を現実のものとして作り上げたのはエジソンが初なのですから「蓄音機の発明家」と言っても構わないでしょう。

産業技術記念館・トヨタテクノミュージアム

蓄音機
やってきました、愛知県「産業技術記念館」、またの名をトヨタテクノミュージアム。巨大な蒸気機関、紡績機や自動車の展示で知られる博物館です。クラシカルなレンガ造りの館内はどっちを見ても歯車、歯車! スチームパンキッシュなレトロメカが満載です。

特別企画展「蓄音機の発明」

蓄音機
2012年03月24日〜05月06日までは特別企画展「蓄音機の発明」が開催されています。この企画展はトヨタコレクションと銘打って、トヨタグループが長年にわたって買い集めてきた江戸中期〜明治時代初期の科学技術資料を公開する展示です。トヨタの財力をまざまざと見せつけられる超豪華なコレクション。は〜(感嘆)、トヨタ王国ってホントすごいわ。

発明王エジソンの気づき

蓄音機
1877年の夏のこと。電話機を調べていたエジソンは受話器の振動板の動きを見ているうちに「これって機械を動かせるのでは?」と考えました。ためしに振動板に針をつけて指にあてて振動板に向かって話すと、針は震えて指を刺しました。てことは、振動板の針の動きを紙テープに刻んで(録音)、その刻み目で別の振動板を動かせば同じ音が出る(再生)じゃないか! これが蓄音機のベースとなった考えでした。

錫箔円筒式蓄音機

蓄音機
エジソンが最初に作った、「錫箔円筒式蓄音機(すずはくえんとうしきちくおんき)」のレプリカです。音によって振動板が震え、円筒に巻いた錫箔の表面に、尖った針が刻み目をつけることで録音します。再生する時はその溝を先の丸い針がなぞって音を出すのです。この蓄音機に録音したのが冒頭に書いた「メリーさんのひつじ」でした。

【動画】エジソンホーム蓄音機モデルA


しくみとか歴史とかもういいから早く音を聴かせろ!とおっしゃる方もいらっしゃるようですので、ここらでそろそろ動画をお見せいたしましょう。これは「エジソンホーム蓄音機モデルA」。エジソン社が家庭用の普及機として発売した円筒式蓄音機です。これは水兵さんのコーラスを録音したものですよ。

ピアノの録音風景

蓄音機
録音はこんな風にして行われました。1889年のピアノ演奏の風景。巨大なラッパのような管をピアノギリギリに近づけていますね。大きな音でないと振動板が十分に震えないため上手く溝が刻めないからです。

現代の我々からすると当時の蓄音機はぼやぼやとした頼りない音ですね。でもフランス科学アカデミーで最初に公開実験した時は観客があまりに熱狂してしまって、会場の中が責任者が必死になって止めても抑え切れないほどの大変な騒ぎになったそうですよ。

錫箔レコードから蝋管レコードへ

蓄音機
家庭用に作られたこのモデルは、錫箔レコードから音質を向上させた蝋管(ろうかん)レコードを使用しています。錫のかわりに蝋をコーティングしてあります。このレコードの素晴らしいところは、再生だけでなく録音でき、しかも表面を削れば何度も録音ができて経済的なこと。録音に失敗してもレコードを捨てずに再利用できるんですね。

【動画】三光堂蓄音機


続いてこちらの蓄音機を見ていただきましょう。これは日本で最初の蓄音機専門店、三光堂が発売した大型蓄音機です。円筒式でなく、円盤型のレコードを使います。三光堂は明治32年(1899)年に浅草で改開業しました。

さあ何の曲か分かりますか? そう『フニクリ・フニクラ』ですね(誰ですか、鬼のパンツは破れない〜♪って歌ってる人は)。でもちょっと残念。この動画ではクランクの巻きが足りなくて音が伸びちゃってますね。

サウンドボックスの仕組み

蓄音機
蓄音機の心臓部とも言える、サウンドボックスのしくみです。SPレコードは音の波を横方向の振動として板状に溝が刻まれています。その溝をサウンドボックスの針がなぞり、スタイラスバーを動かし、振動板を揺らして、音波を再生しているのです。

そしてここが重要なのですが蓄音機は電気的なメカニズムでなく、機械的なメカニズムで動いているのがポイント。電気で動いているのではなく、クランクでゼンマイを巻くことによって動いているのですよ。

【動画】ビクター蓄音機 ビクトローラクレデンザ


最期に「ビクター蓄音機 ビクトローラクレデンザ(初期型)1925年モデル」の蓄音機の音色を聞いていただきましょう。ビクターが開発した蓄音機の高級機種です。向かって右にあるクランクを巻いて動かす仕組みです。古き良き時代のジャズをご堪能ください。

蓄音機の黄金期を築いた名機

蓄音機
長さ1.8メートルものエクスポネンシャルホーンが内蔵されており、サウンドボックスの振動板にはマイカ(雲母)の代わりにジュラルミンが使われています。美しい彫刻が施された木製部分は装飾品としても一級品。素晴らしい名機です。当時のジャズの大流行は蓄音機の売上を爆発的に押し上げました。世界中の人が自由に音楽を楽しめる時代が到来したのです。

イヤフォンに聴き入るパリ博覧会の観客

蓄音機
イヤフォンで蓄音機に聴き入るパリ博覧会(1889)の観客の図。みなさんうっとりとした表情で音を堪能されているようです。音を記録して好きなときに何度も聴けるようにしたいという欲求は長年の人類の夢でした。しかし音を記録・再生できるようになったのは19世紀後半になってからのことだったんですね。

できれば生で聴いてみてね

蓄音機
そして現代の私達は、何千曲もの音楽をiPodやiPhoneに詰め込んで、いつでもどこでも気軽に音楽を楽しめるようになりました。初期の蓄音機からするとなんという進化でしょうか! これもみんなエジソン翁のおかげです。ありがたや、ありがたや。

動画でご紹介しましたが、できれば蓄音機は生でその音を聴いていただきたい。やっぱりデジタルでは蓄音機の音は完璧に再現できませんものね。もし期間内にお近くまでいらしたらテクノミュージアムへ足をお運びくださいね。

蒸気夫人

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