コミック『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』

コナン・ドイル、H・G・ウェルズ、ジュール・ヴェルヌ──名前を聞いただけで胸がときめいたあなたにぜひお勧めしたい『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』。
リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン

人を選ぶコミック、選ばれた人はどうぞ!

アラン・ムーアとケヴィン・オニールによる『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』は読む人を選ぶのです。少年少女時代、冒頭に挙げた作家の作品を夢中になって読んだ経験がある人なら、絶対に楽しめます。私が太鼓判を押します。

『シャーロック・ホームズ』、『透明人間』、『海底二万リーグ』、『吸血鬼ドラキュラ』、『モルグ街の殺人』、『モロー博士の島』、『タイム・マシン』……。19世紀末から20世紀初頭のヴィクトリア時代のSF、ミステリがジグゾーパズルのようにはめこまれたパロディコミック、それが『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』。

子どもの頃夢中になった名作

The League Of Extraordinary Gentlemen: The Absolute Edition
私が小学生の時学校の図書室にこの古典の名作が「SF全集」「ミステリ全集」として並べられていました。江戸川乱歩の『少年探偵団シリーズ』を卒業すると次はルブランの『ルパンシリーズ』そしてドイルの『シャーロックホームズシリーズ』、『古典SFシリーズ』へと進みました。

血湧き肉躍るとはまさにこのこと。過去から未来の世界、地底から月世界までひとっ飛び。空想世界の探検や冒険に夢中になったあの日。「自称:本の虫」という人で、子どもの頃にこれらのシリーズの洗礼を全く受けていない人はモグリです。賭けたっていいね。

『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』とはThe League of Extraordinary Gentlemen、つまり『超・紳士同盟』とでも訳せば良いでしょうか。同盟の構成メンバは誰もが主役級の超怪人。吸血鬼、探検家、潜水艦キャプテン、二重人格者、透明人間。対する敵も彼らに負けず劣らずの超怪人。面白くないはずがないじゃないの!

本の虫なら小躍りする仕掛け

The Absolute League of Extraordinary Gentlemen
この本には本の虫をうならせる、様々な仕掛けがあちこちにちりばめられています。コマの片隅に小さく描かれているアイテムを見落としてはなりません。それらもヴィクトリア朝を代表する名文学に登場する小道具だからです。そんな小ネタを見つけるたびに、昔心をときめかせた空想科学小説が頭の片隅からはっきりと姿を現してくるのです。

何と言っても第一巻のラストが素晴らしい(特にマリーのセリフ)。なんてセンチメンタルでリリカルなんでしょう! 時代は違いますが、まるでブラッドベリのSFを彷彿とさせるような……。

『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』にはセンス・オブ・ワンダーが詰まっています。「リリカル」とか「センス・オブ・ワンダー」の意味がよく分からない人は、SFマニアを捕まえて聞いてみると3時間ぐらいしゃべってくれますよ。ここでは割愛。

残念ながらこれらの名作を未読の方は何が何やらさっぱり分からないかもしれません。しかしヴィクトリア朝のSFはスチームパンカーの基礎教養なので、この世界観が大好きな人ならぜひ手にとって欲しい一冊です。巻末にはそんな小ネタの解説もついていますから教養も身に付くし、至れり尽くせりですね。

注意事項

League of Extraordinary Gentlemen: The Black Dossier (League of Extraordinary Gentlemen)
でもどうぞご用心。『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』は子どもには「絶対に」お薦めできません。スプラッタバイオレンス&セックス&ホラー。アラン・ムーアとケヴィン・オニールによって舌を刺すようなスパイシーな味(いや、苦みとえぐみたっぷりな味、ていうか毒?)に料理されていますから、お子様が食べたらお腹を壊しますよ。あくまで「昔、本の虫と呼ばれたことがある大人」の方だけどうぞ召し上がれ。




蒸気夫人
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