着物人の様々な種族・和装スチームパンクを楽しむために(2)

柄、素材、種類によって、着物はいくつかのジャンルに分類できます。たとえ全く同じ着物でも着付け、ヘアメイクによっても驚くほど変わるんですよ。着物人の分類を解説しました。
着物人の種族

いろんな着物人の種族

浴衣も着物も区別がつかない方にとっては、着物を着ている人はみんな同じに見えるものかもしれません。でも実は着物の柄、素材、種類によって、着物人はいくつかのジャンルに分類できます。またたとえ全く同じ着物を着ていたとしても、着付けの仕方、ヘアメイクで驚くほど印象が変わるんですよ。以下着物人の種族の一部をご紹介します。

今回の記事の写真は前回に続き全て自分の夏の着物で、着付け、ヘアメイクも自分でしました。下手なところもありますがどうぞご容赦を。また以下の分類は私の独断と偏見で、着物世界の公式ルールでもなんでもありません。

【1】ユカタダケ族

着物人の種族

種族:ユカタダケ族
年代:10代〜
着物の入手経路:大型スーパー、ネット通販、デパートなど

夏祭り、花火大会のみに現れる着物人。普段は全く着物を着ない。自分で着付けができない人もいるためか、夏祭りでは何人か左前(ひだりまえ:左側の身頃が下になっている死人の着付け)に着ている人を発見することがある。カップルの場合以前は、女性だけ浴衣、男性はTシャツにジーンズが多かったが、最近は男性のユカタダケ族も増えてきた。生涯に一度、振り袖だけしか着たことがないというフリソデ属もこの種族の亜種。

ユカタダケ族の特徴

着物人の種族
ユカタダケ族には幅広い年代が含まれるため、伝統的な藍染め、絞り染め、古典柄からモダンなプリント柄、パステルカラー浴衣など種類も様々です。近年は若い方々を中心に裾を大きくカットしたミニスカ浴衣、フリルとレースいっぱいのゴスロリ浴衣、キャバ嬢御用達の花魁浴衣など、ダイナミックなアレンジを加えた浴衣も登場しています。

【2】タイショウロマン・ショウワレトロ族

着物人の種族

種族:タイショウロマン・ショウワレトロ族
年代:20代〜30代
着物の入手経路:親類からの譲り受け、オークション、アンティーク専門店など
明治時代以降のアンティーク着物を愛する種族。明治時代の着物は布地が弱っており着用に向かないことがあるため、実際には大正・昭和初期の着物を着ていることが多い。着こなしは現在の着物のルールからやや外れており、当時の人気イラストレータ、竹久夢二、高畠華宵の描く女性そのもののレトロスタイルで着付けている。


タイショウロマン・ショウワレトロ族の特徴

着物人の種族
タイショウロマン・ショウワレトロ族の特徴は長めの袖と大きく出した半衿です。一般に袖の長い振袖は未婚女性が着るものとされていますが、大正から昭和初期には未婚・既婚問わず長めの袖が流行していました。戦前までは豪華な刺繍が施された半衿をたっぷり見せる着付けが一般的でした。

【3】ナナオ族

着物人の種族

種族:ナナオ族
年代:20代〜30代
着物の入手経路:親類からの譲り受け、オークション、フリーマーケット、専門店など
雑誌『七緒』から命名。着物を日常着として着ている種族。スローフード、ロハス、エコな生活を送っている着物人。掃除、洗濯などの家事も着物で行うことがある。好きな着物の素材は木綿、ウールなど。

もともと母親、祖母、おばなどが着物好きで、着付け教室に通うことなく、譲られた着物を親・親類などから習って着ている人も多い。創意工夫しながらの着物ファッション。手早く着るために半幅帯、簡易帯(軽装帯・作り帯)、タビックス(ソックス型足袋)を愛用。

ナナオ族の特徴

着物人の種族
ナナオ族はほぼ毎日着ているためか無理のない素朴な着こなしをする方が多いです。手ぬぐいを雑巾に縫ったり、割烹着や前掛けを手縫いしたりする手作り派も多いです。カジュアルなオシャレとしての着物を浸透させた『七緒』の功績は大きいですね。でも誌面にはさりげなく高額商品が載っていたり、さらっと専門用語を使っていたりするので、着物の敷居はまだ高いかもしれません。

【4】アネサン族

着物人の種族

種族:アネサン族
年代:30代〜
着物の入手経路:親類からの譲り受け、オークション、専門店など
任侠映画に登場する剣客、博徒などに憧れる、姐さんテイストを好む種族。骨盤にひっかかるぐらいの低めの帯結び、衿を大きめにあけ、衣紋もおもいっきり抜いている着こなし。好きな色は黒、紫、白などぱっきりした色合い。柄は縞、鱗模様などの他、蜘蛛、蝙蝠、獅子などアニマルテイストを好む。

アネサン族の特徴

着物人の種族
『緋牡丹博徒』『修羅雪姫』など姐さん系任侠映画の流行もあり、昭和40年代にはアネサン族に憧れる女性も多かったのですが、今や絶滅危惧種です。以前はこの種族に属していた「ゴクツマ(ゴクドウノオンナ)族」が、「ウツクシイキモノ・キモノサロン族クロウト系」にシフトしたのも原因です。

【5】キモノヒメ族

着物人の種族

種族:キモノヒメ族
年代:10代〜
着物の入手経路:アンティーク着物専門店、オークション、フリーマーケットなど
着物ムック本『KIMONO姫』から命名。アンティーク着物と現代ファッションを組み合わせたニュータイプ着物を愛する種族。好きな着物は派手でカラフルな柄が特徴の銘仙。同じアンティーク派のタイショウロマン・ショウワレトロ族と混同されることが多いが、キモノヒメ族は大正・昭和そのままの着こなしにはあまりこだわっておらず、現代風のアレンジを加えることに全く躊躇がない。

キモノヒメ族の特徴

着物人の種族
キモノヒメ族のベースはアンティーク着物ですが、現代風のヘアメイク、帽子、アクセサリー、ブーツ、サンダル、バッグなどの洋装を組み合わせたり、着物自体にもレースやラインストーン、フリルなどの改造を施すことがあります。

2000年代にアンティーク着物店・豆千代、くるりなど人気店の登場によりアンティーク着物に憧れる女性が一時的に増えました。しかし2002年創刊の『KIMONO姫』からはまった女性が30代に突入したため今後別ジャンルに転向する方々も増えるかもしれません。

【6】ウツクシイキモノ・キモノサロン族

種族:ウツクシイキモノ・キモノサロン族
コア層:40代〜50代以上
着物の入手経路:デパート、老舗呉服店
雑誌『美しいキモノ』、『キモノサロン』から命名。着物族の頂点に君臨する女王。高々と結い上げた夜会巻きや高価な着物・帯・小物が特徴。

職業は主に「伝統日本文化系」と「クロウト系」の2種類に分けられる。伝統日本文化系はお茶、お花の講師、梨園の女性など、伝統の日本文化に関わっており、日常的に着物を着る職業の人々。または職業着物人でないまでも、伝統芸能を趣味的行っているシロウトさんも含める。

クロウト系は、銀座一流クラブのママ、極道の妻など。「伝統日本文化系」と「クロウト系」は着付けの仕方、柄の好みが違うので見分けがつきやすい。お茶、お花、お琴、着付けなどを習っているお嬢さん方が年齢を経ると「伝統日本文化系」ウツクシイキモノ・キモノサロン族になることも多い。


ウツクシイキモノ・キモノサロン族の特徴

『美しいキモノ』『きものサロン』はコーディネート、手入れ法など着物生活に役立つ特集もありますが、グラビアページには、お値段数百万円の人間国宝作家の呉服、老舗織物店の一点もの帯など超高級品が並ぶので、一般庶民からは程遠い世界となっています。

30代ぐらいの美人女優が表紙やグラビアを飾るのですが、真のウツクシイキモノ・キモノサロン族になるには経済力、貫禄、知性と教養が必要であるため、現実的には40代〜50代以上の年代がコア層となります。

街の着物女性を観察するとわかりますよ

着物人の種族
これらの種族はグラデーションのように混ざり合っており、くっきりと区別されるものではありませんが、雑誌なども合わせてざっと見れば、着物姿の女性を街でみかけた時「ほほう、キモノヒメ族のサブカル少女なんだな」「クロウト系でこれからご出勤のママさんかも?」などと見分けがつくのではないでしょうか。

蒸気夫人

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※情報修正2017年04月

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