「蝶の標本」永遠の理科少年少女たちへ

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壁一面を埋め尽くす標本額には、色とりどりの蝶、蝶、蝶! 昔の学校の理科室、生物室が心に浮かぶ方も多いことでしょう。私の驚異の部屋の蝶コレクションと蝶に関する思い出について。
蝶の標本

昆虫マニアほどの思い入れはないです

最初におことわりしておくと、私は蝶にはあまり詳しくなくそれほど思い入れがありません。いえ、もちろん蝶は好きなんですがあくまで美術品・装飾品として愛でているだけで、昆虫マニアのようなコアな思い入れがありません。

なので蝶に詳しい(元&現役)昆虫少年少女ならお分かりだと思いますが、私のコレクションはオークションや昆虫系博物館で入手した「おみやげ品」としての蝶標本です。学術的に貴重な標本ってわけじゃないです。

間違ってたらごめんよ

蝶の標本
これらの標本額は蝶の図鑑やネットのサイトなど駆使して同定(どうてい:生物の種類を判断すること)し、ラベルを作って貼りつけました。

和名とラテン語の学名を書いたんですが、ひょっとしたらスペルや種類など間違っているものがあるかもしれません。蝶は亜種が多いし、プロでも同定に苦労することがあります。どうぞご勘弁を。日本のものもありますが、マレーシア、タイ、台湾など東南アジアの蝶が多いようです。

生物部員だった女子高生時代

蝶の標本
思い入れがないとは言いましたが、一応これでも女子高生時代は元生物部。毎年生物部合宿で蝶を取りにキャンプに行ってましたよ。もっとも蝶班、シダ班、プラナリア班などのフィールド系部員は嬉々として山をかけずり回っていたんですが、私は組織培養班でしたから他の部員の雑用係だったのであります。

でも一応は捕虫もしたし、三角紙も折ったし、展翅(てんし:昆虫などの翅をひろげて標本にすること)もしたんですよ。えっへん。

蝶博士のH先輩

蝶の標本
蝶の標本を見るといつも思い出すのが、生物部の先輩のHさんです。彼はひょろりとした体型のいかにも理系な青年で、大変熱心な蝶博士でした。なんせ高校生なのに地域の蝶の分布を調査した論文が、専門誌に載るぐらいだったんです。

いつも白衣を着ていてしょっちゅう新入生に理科の先生と間違われてました。どんな蝶でもたちどころに同定してしまうので合宿では重宝されている先輩でした。

神業の捕虫網さばき

蝶の標本
H先輩の捕虫網の手さばきと言ったらまさに神業。私なんぞはヒラヒラと舞う蝶を追いかけて、あっちこっちブンブンと捕虫網を振り回して結局汗だくになっただけというダメっぷり。

ところが彼は立ち止まったままじっと蝶を目で追って、捕虫網をバトントワリングのように360度くるりと回すだけ。これでちゃんと網の中に蝶が入ってるんですからね。まるで蝶が網の中に吸い込まれたごとくでした。

良い先生になったかなあ

蝶の標本
そんなH先輩は教育大学に進んで理科の先生になったと聞きました。たぶん授業中にしょっちゅう脱線して蝶の話ばかりしてる変な先生になってるだろうなあ。自宅の壁は自分で捕らえた蝶の標本でびっしり埋まっているのかもしれません。

──あ、そんなH先輩と私の恋愛話を期待しても無駄です。蝶の知識については尊敬してましたが、あまりに変人すぎて私はついていけませんでした。はい。

消えた昆虫採集セット

蝶の標本
それはともかく。昆虫採集というと、昔駄菓子屋や文房具屋で「昆虫採集セット」って売ってましたよね。注射器とA液(虫をころすくすり)、B液(虫をくさらせないくすり)とか入ってるあの箱。

今はあれ、見なくなりましたね。ガキンチョは大人が身震いするような、超危険な使い方をしますからね。父兄の苦情がメーカーと学校に殺到ですよ。また「自然を大切にしよう」というスローガンのもと、昆虫採集バッシングもあったのかもしれません。

『学研の図鑑 飼育と観察』読み比べ

蝶の標本
このことに関して、『学研の図鑑 飼育と観察』1971年版『ニューワイド学研の図鑑 飼育と観察』2001年版を読み比べたことがあるのです。

1971年版では飼育よりも観察中心。生き物の飼い方についての記述もあるものの、絵や写真も自然の中にいる生物の生態や生物の一生の図説にウエイトがおかれています。

つまり「生き物は自然の中で観察するにとどめ、やたらと捕獲しないように」という趣旨で書かれているんですね。この時代は公害問題で自然に対する意識が高まってきた時代でした。

そんな教育方針だったからでしょうか、70年代・80年代に少年少女だった方は、昆虫採集に対して罪悪感を持っている方や、昆虫が嫌いな人も多いようです。昆虫採集セットが消えてしまったのもこの辺りが関係してるんでしょう。

方針が180度変わった図鑑

蝶の標本
一方2001年版では飼育中心。ほぼ全てのページで虫や小動物の育て方を懇切丁寧に図説するハウツー本になってます。「まずは生き物を触ったり、捕らえたり、飼ってみよう。死んでしまうこともあるだろうけど、その中で命の尊さを学び、自然への関心を高めよう」というコンセプトみたい。

虫や小動物を怖がる子どもが増えてしまったのでしょうか。あまりに生物離れが進んでしまったので慌てて内容を変えたのかも。他の版も見てみると、どうも80年代後半から90年代にかけて教育方針の大転換があったようです。

頑張れ!ネオ理科少年少女

蝶の標本
現役理科少年少女のみなさんは、虫なんてへっちゃら!という頼もしい子が多いのかもしれませんね。壁一面の標本箱に対して目を輝かせたり、捕虫網を持って野山を駆けまわったり、飼育ケースで昆虫を大切に育てたり。

ゲームのムシキングだけで終わらず「大人になったら標本でいっぱいのブンダーカンマーを作るんだ!」という子が増えるといいなあ。

蒸気夫人

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