「アンティークな本作り」目指せ洋書革装丁の図書室

私の愛読書をアンティーク装丁してみました。私の本に関する夢は蔵書をデジタル化して電脳図書館を作ること、お気に入りの本に革張りの装丁を施すこと、個人の図書室を作ることです。
革張りの本作り

目の前真っ暗のHDDクラッシュ

ブックカバーを作っていた時点(2010年04月)では、所有していた本を電子書籍化し、長年の夢が叶ったとホクホク顔。しかし08月にHDDが突如クラッシュし、私は3500曲の音楽データ、500冊の電子書籍、8000枚の画像素材、200本の動画を失ってしまいました。

中でも珍スポット旅行の資料、チケット、パンフレットが全て消えてしまったことが大変ショックで、しばらくひどい欝状態になってしまったほどでした。こまめにバックアップを取っていなかった私が全面的に悪いんですけどね。この体験は大変良い教訓となりました。
そんなこんなでしたが、去年の年末にはなんとか立ち直り、今は再び必要な本を買い集めたり、書類の整理をしたりしています。また、1年に1度以上読む本や今後10年は読むだろう愛読書は、PDFデータだけでなくちゃんと本の形で手元に置いておこうと皮革装丁にチャレンジしました

【1】書籍をScanSnapでパソコンに取り込む

革張りの本作り
まずは書籍をScanSnapでデジタル化します。いわゆる自炊。ScanSnap自炊は実践している人がたくさんいて、ブログの記事もネット上にわんさかありますからここでは割愛。一つご注意を。後で背表紙を接着する必要があるので、裁断する時にはなるべくギリギリ背表紙側で切ってください。

【2】丸み出し

革張りの本作り
これは「丸み出し器」──と勝手に呼んでいる道具。本の背表紙は「丸背」と「角背」があります。古い洋書などは背表紙が丸くなっていますよね。プロの職人さんは親指でぐい〜っと本文を押し出して、美しい丸背を作ることができるのですが、ど素人の私には無理。そこでこのような器具を自作してみました。

【3】丸み出し器の作り方

革張りの本作り
硬くて弾力性のあるゴムの輪っか(何ていうの、これ? 東急ハンズで購入)を半分に切って、木の板にまっすぐ並ぶように釘で打ち付けます。以上。これにバラバラになった本文を束ねて、トントンとやると、丸い背が自動的にできてしまうという優れもの──。数百円で作れるので、本の厚さによって様々な大きさのゴム輪で作っておくといいですね。私は練習のために丸背と角背両方作ってみましたが、どちらもそれぞれ味があっていいなあと思います。

【4】製本器の作り方

革張りの本作り
丸くなった本文をしっかり固定しておくための「製本器」。これも自作しました。木の板にドリルで穴をあけて、蝶ナット(手で締めたり緩めたりできるナット)とボルトつけて出来上がり。本文をこの道具でしっかり挟んでページが動かないようにします。プロは「箔押し用プレス」を使ったりしますが、専門道具は高価なので自分で作った方が良いです。これをプラスチックのケースなどに乗せて使います。

【5】耳出しと切れ込み

革張りの本作り
丸み出しの後、背をイチョウ型に少し開いておきます。これを「耳出し」と言います。そして製本器に挟んだまま、背に切れ込みを入れます。これは、ページがバラバラにならないよう、しっかりと糊づけするための作業です。接着面積を増やすためですね。ルーターでやるとあっという間ですが、糸ノコでギコギコやるのもOK。

【6】背固め・グルースティック法

革張りの本作り
背の接着は「背固め」と言います。製本専用の糊もありますが、私は手軽に「グルースティック法」を使いました。グルーガンで使う、ホットボンドのスティックを使った接着法です。下にくっつかないようにクッキングシートでグルースティックを挟み、上からアイロンで熱を加えてグーっと押します。するとグルースティックが熱で溶けて平べったくなります。

【7】背固め・糊作り

革張りの本作り
どの程度まで薄く伸ばすかは何冊かやってみると慣れる──としか言いようがないです。薄すぎるとページがばらけやすいし、厚すぎると背表紙がぼってりしたり本が開きにくくなります。グルーが冷えてから、クッキングシートからはがします。冷えていればきれいにはがれますよ。

【8】背固め・接着

革張りの本作り
本の背表紙より5ミリほど大きめに切って、先ほど切れ込みを入れた背表紙にあてます。クッキングシートを上にかぶせて、アイロンで熱を加えます。再びグルーがじわ〜っと溶けて背固め完了。冷えたらクッキングシートをはがします。ちゃんと背表紙が接着できていることを確認して、はみ出したグルーをカッターで切断します。

自炊しない場合は上の作業はいりません

革張りの本作り
ここまではScanSnapなどで、本をバラバラにした場合の作業でした。でもPDF化はせずに、装丁のみしたい場合は本の表紙・裏表紙をカッターで切ってはがすだけで良いです。見返しにカッターを入れると簡単に外れますよ。

【9】小口マーブリング

革張りの本作り
ここで前々回に記事を書いた「小口マーブリング」を施します。この工程は解説済みなので細かい説明は省きますね。

「マーブリングの技法2」小口マーブリング
小口とは本の部分の名称で、本の糊や糸などで閉じられていない3方の辺のことです。ここをマーブリングで染めたものが小口マーブリングです。今回はマーブリングの技法のハウツーです。

【10】見返し接着

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見返し」をつけます。見返しは色画用紙ややや厚手のアート紙などが良いです。もちろん自分で作ったマーブリング紙を用いてもステキですね。半分に折った見返しの紙を、本文に接着します。背表紙を強化するために和紙を貼ります。この後本当は「寒冷紗(かんれいしゃ)」という、ガーゼみたいな目の粗い布を貼るのですが、入手できなかったので和紙のみにしました。

【11】花布

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花布(はなぎれ)」をつけます。本の背の天地についている飾りです。絹糸で丹念に編まれたものや、革製の花布などいろいろあります。私は菱形模様の着物地の布を使いました。裏に接着芯を貼り、直径数ミリの紐を挟んで接着。両面テープがお勧めです。本の厚さに合わせてカットして、接着剤で背につけます。

花布の役割

革張りの本作り
花布の役割は背表紙の補強や、背の接着部分を隠すことです。もちろん本の装飾も兼ねています。表紙をつけてしまうとほとんど見えなくなってしまいますが、本の種類ごとに違う布を使ったりするのも密かな楽しみです。専門店で市販もされていますが、手芸で余った布を使って手作りするのも良いかと思います。

【12】表紙作り・布について

革張りの本作り
いよいよ「表紙作り」に入ります。以前ブックカバー作りの時には、合皮を使用したと書きました。ポリウレタン合皮は安価で見た目は本革そっくりなので、インテリアファブリックや衣料品など幅広く使われています。

まるで魔法書! アンティークな洋書革装丁風のブックカバーをDIY
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しかしただ一つ重大な欠点があります。ポリウレタン素材は製造して3年ほどで劣化してしまうのです。10年読み続けたい本の装丁に使うのには向きません。

そこで本を読んで調べたところ、ポリエステルで作られた革そっくりの布があることを知りました。私が購入したこの布は、表面にデコボコとしたシボがあり、色も様々なものが作られています。これならポリウレタンのような劣化を心配しなくてすみます。

【13】表紙作り・ボール紙

革張りの本作り
ボール紙で表紙を作ります。この工程は「洋書革装丁風ブックカバーの作り方」に書きましたので省略します。背表紙にあたる部分は、ゆがみがでないように裏側に接着芯を貼っておきます。

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【14】表紙作り・スタンピングリーフ

革張りの本作り
布に背表紙の「箔押し」をします。ホントは箔押しでなく、まいどおなじみスタンピングリーフを使うんですけどね。この工程は「洋書革装丁風ブックカバーの作り方」、「箔押し・金文字の方法スタンピングリーフの使い方」を参考にしてください。

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スタンピングリーフの仕組みと使い方・金色の薔薇模様を入れてみた
キラキラした箔押しを入れたい時に活躍するのがスタンピングリーフです。スタンピングリーフを使ってバインダーに金色の模様をを入れました。仕組みと使い方のハウツーを解説します。

スタンピングリーフのコツ

革張りの本作り
もうくどいぐらいに使っているスタンピングリーフ。ホントこれ好きなんですよ。何度もやっているのでコツがつかめてきました。スタンピングリーフのキモはアイロンの温度ですね。温度が高すぎると金箔が乗りすぎて文字が潰れるし、低すぎると上手く接着できません。一発勝負でやりなおしがきかないので、温度には最新の注意を払いました。

【15】表紙作り・背バンド

革張りの本作り
古い洋書は背に写真左上のような山がいくつかついていますね。これは「背バンド」と言います。背バンドの作り方は、厚紙を細く切って、背表紙となるボール紙に貼り付けるだけ。ブックカバーを作ったときにはロープを使ったのですが、厚紙の方が接着しやすくて良いと思いました。

【16】表紙作り・布貼りと角の処理

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表紙のボール紙に、布を接着します。ここも「洋書革装丁風ブックカバーの作り方」で説明したので省きます。角の折り返し部分の処理方法です。まず重なった部分を持ち上げてはさみで45度に布を切って接着剤をつけ、熱したコテでジュッと押して貼り込みます。角を少し丸くしておくと見た目が良いです。

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【17】本文接着・溝つけ

革張りの本作り
背表紙と表紙・裏表紙のボール紙を離しておいた部分に接着剤を塗り、本文を表紙に挟みます。この時表紙を折り返す部分に溝を入れるために、紐でくくり、竹ひごを溝にはめる形でクリップで固定します。一晩おいて紐と竹ひごを取ると右下の写真のように溝がくっきりついて、本文と表紙が接着できています。

【18】見返し接着・蔵書票つけ

革張りの本作り
見返しの紙を表紙・裏表紙に接着します。スプレーのりを使うと手軽で美しく貼ることができます。最後に「蔵書票」を見返しに貼って完成! 蔵書票についてはもう説明はいりませんね。「蔵書票 あなたの本にエクス・リブリスを」という記事をご覧くださいませ。

「蔵書票の作り方」あなたの本にエクス・リブリスを
蔵書票とは、本の見返しの部分に貼る「これは自分の本ですよ」ということを表すカードのことです。たいてい和紙やアート紙で作ってあって、蔵書印が捺印されていることもあります。

いつかは欲しい、マイ図書館

革張りの本作り
ふっ、ふっ、ふっ。またしても私の野望が叶ってしまいました。ホントは私だけの図書室を作り、私専用の司書に全ての蔵書を本革で装丁してもらうのが理想ですが、大富豪でない私は自分でやるしかないのであります。でも死ぬまでにはいつかマイ図書館作がほしいなあ!

道具・材料
蒸気夫人

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