エッチングで作る、真鍮プレートのクラシカルなメモカバー

真っ赤なレザーにタロットカード風の絵柄の真鍮を打ち付けたメモ帳カバー。アイデアを書き留めるためのメモ帳は私にとって必需品です。エッチングの技法について詳しく解説します。
クラシカルメモ帳

ポケットにはいつでもメモ帳

クラシカルメモ帳
子どもの頃から日記はもちろん、本の感想、買い物記録、夢の内容、アイデアなど、やたらと紙に書いてとっておくクセがあります。20年ほど前からコンピュータにデジタルデータとして記録するようにもなりましたが、紙のメモ帳は今も現役。

そう言えばシャーロック・ホームズも『海軍条約文書事件』でカフスにメモを取っていましたね。

ウォーキング時のアイデアもメモ

クラシカルメモ帳
毎朝1時間のウォーキングにもメモ帳を持っていきます。「歩いている時までメモしなくても……」と言われそうですが、歩いているとアイデアや将来の夢、日々の細々したToDoなどがどんどん浮かんでくるのです。でもこれは私だけのことではありません。

古代ギリシャの歩く哲学者・逍遥学派

クラシカルメモ帳
古代ギリシャにはアリストテレスの弟子たちによる逍遥(しょうよう)学派という哲学者のグループがいました。逍遥というのは「散歩する」という意味です。歩きながら思索を深めたんですね。

散歩するとアイデアが浮かびやすくなる

クラシカルメモ帳

人間の脳は一定のリズムで揺さぶられると、ベータエンドルフィン、セロトニンなどの脳内ホルモンが分泌されて精神が落ち着いてきます。そして脳が深い思索をするのにベストの状態になると言われます。古代の人は経験的にそのことを知っていたんですね。

デジタルよりやっぱりアナログのメモ帳

クラシカルメモ帳
歩きながら思いついたことはすぐにメモ。携帯のデジタルなメモアプリもありますが、紙のメモは起動時間のロスタイムがなく、手で書くことによって考えがまとまりやすいんです。私にとってはメモは必需品。そんなメモ帳のカバーを手作りしてみることにしました。

【1】台紙と布をカット

クラシカルメモ帳
まずはメモ帳よりもやや大きめに台紙をカット。台紙は灰ボール紙という、厚手の紙を使いました。表紙は革のように見えるポリエステル合皮。ポリウレタン合皮の方が本革っぽく見えるのですが、3年で劣化してしまうのが欠点ですね。

【2】台紙を剥がす

クラシカルメモ帳
中央に真鍮のプレートをはめ込むので、ボール紙に切れ込みを入れて真鍮の厚みの分だけ剥がします。直接プレートがモノに触れないので傷つきにくくなります。

【3】布を台紙に接着

クラシカルメモ帳
布を台紙に接着します。スプレーのりを使うと手軽で美しく貼れます。

【4】角の処理

クラシカルメモ帳
角の処理の仕方です。45度に布をつまんでカット。木工用ボンドをつけて電気ゴテでジューっと押さえつけます。直角のところも押しつぶして丸くしておきます。

【5】コテで筋付け

クラシカルメモ帳
剥がしておいたボール紙の部分(真鍮プレートをはめ込むところ)も、電気ゴテでくっきりとスジをつけておきます。

【6】内側台紙作り

クラシカルメモ帳
これはメモ用紙を差し込めるようにした内側の布・台紙です。黒のコットンを使いました。表紙のボール紙よりもやや小さめに切った厚紙に布をはりつけ、ポケットを縫っておきます。

【7】ポンチ・ハトメ・ゴムつけ

クラシカルメモ帳
表紙がパタパタしないように、ゴムでとめられるようにしました。表紙にポンチで二箇所穴をあけます。そこにハトメを打って、黒い平ゴムを通して裏側で接着。

【8】鏡取り付け

クラシカルメモ帳
も取り付けることにしました。鏡の大きさに合わせて、さきほどの内側の布をくり抜き、窓枠を黒い色画用紙で作ります。両面テープで表紙に貼り付け、内側の布と表紙を接着剤で張り合わせます。

【9】ペンホルダーつけ

クラシカルメモ帳
ペンを差し込めるようなホルダーも作りました。以前自転車のベルベットフレームカバーを作ったときに余ってたハイミロンを縫って、内側台紙と表紙の間に挟んで接着します。

ベルベット風のフレームカバーを自作「昭和レトロ自転車改造記【6】」
自転車フレームに巻き付いている布はフレームカバーといいます。これもエンブレムや風切りとともに現代の自転車からは姿を消してしまいました。今回はフレームカバーのDIYです。

【10】真鍮プレート作り

クラシカルメモ帳
続いて真鍮エッチングに移ります。タロットカードの「女教皇(The High Priestess)」の絵柄です。『禁書目録』のインデックスちゃんにイメージが似てるなと思って使ってみました。

これがホントの禁書目録!?『とある魔術の禁書目録』を皮革装丁しました
『とある魔術の禁書目録(インデックス)』は鎌池和馬氏によるライトノベル。本書をさらにリアルにすべく、禁書的装丁に改造してみました。これがホンモノの『インデックス』だっ!
女教皇の正位置の意味は「知性、平常心、洞察力、客観性、優しさ、自立心、理解力、繊細、清純、独身女性」(Wikipedia)。

【11】真鍮プレートデザイン

クラシカルメモ帳
スキャナーで取り込んだタロットカードをフォトショップで修正して白黒反転。さらに鏡像化します。これはエッチングのための処理です。

【12】印刷・アイロン転写

クラシカルメモ帳
FUJIFILMの「画彩(かっさい)」マット仕上げ(通称「ぶどう」)にレーザープリンターで印刷します(ぶどう以外の紙は使えません)。

印刷した紙を真鍮板にのせて水で濡らし、アイロンを中ぐらいの温度にしてプレスします。滑らせないように上から押し付けるのがコツ。乾燥したらもう一度水で濡らして同じようにアイロンを押し当てます。

【13】マスキング

クラシカルメモ帳
白く乾いた紙をまた水で濡らし、そっとはがすと絵柄が真鍮板に転写されています。上手く転写されずにトナーが剥がれてしまったところは、油性マジックで黒く塗っておきます。裏側や側面にマスキングテープを隙間なく貼り付けます。

【14】エッチング

クラシカルメモ帳
エッチング液(金属腐食液:塩化第二鉄溶液)を用意します。40度ぐらいのお湯で説明書きの通りの分量で薄めます。真鍮板をジップロックに入れ、適温の腐食液を注ぎ込み、プレートを入れます。同じく40度前後のお湯で湯煎します。

【15】洗浄

クラシカルメモ帳
時々触ってみてどのくらい腐食が進んだか確かめます。片面のエッチングで0.1mmほど腐食させるのにだいたい2時間ぐらいかかりました。時間は季節やお湯の温度、真鍮板の銅の割合、エッチング液の量など様々な条件で変わってくるので、あくまで手で触った感覚で頃合いを見計らいます。調度良い腐食具合になったら真鍮板をジップロックから出して洗浄します。

この時に使用したエッチング液、そして洗浄に使った水は、決してシンクなどの流しに捨てないこと。金属部分が腐食して大変なことになります。庭や川に捨てるというのもだめです。廃液を安易に捨てるのは違法です。

【16】プライマー・ラッカー吹き

クラシカルメモ帳
色がのりやすいように金属用のプライマーを吹き乾燥させます(写真は以前ヘッドバッヂを作ったときのもの)。次に黒いラッカースプレーを全体に吹きます。真っ黒になりますが心配ご無用。

【17】サンドペーパーがけ

クラシカルメモ帳
余分な部分に乗ってしまった色を、サンドペーパーで削り落とします。使用するサンドペーパーは、150番、400番、1000番、1500番。番号が大きくなるほど細かいサンドペーパーになりますので、低い番号から順にかけていきます。角材にサンドペーパーを巻きつけて削ります。

【18】ニスがけ

クラシカルメモ帳
四隅にドリルやルーターで穴をあけます。仕上げに艶出しのために透明ウレタンニスを塗ります。私は筆で塗りましたが、スプレー式でもOK。乾燥するまで待ちます。

【19】ビス留め(カシメ打ち)

クラシカルメモ帳
カシメをプレートに通し、表紙に接着します。上に書いてある「LA PAPESSE(ラ・パペッス:女教皇)」はフランス語。別に何語でもいいんだけど、なんかカッコイイかなって。

【20】完成

クラシカルメモ帳
完成です! 一連の皮革装丁やメモ帳などは、直接スチームパンクとは関係ないかもしれません。でも私はスチームパンク的ガジェットは、レトロでクラシカルな部屋に置かれてこそ生きると思っています。スチームパンクとは一つの生き方、美学であると考えているので、インテリアや小物、生活全般にもこだわりたいのです。

蒸気夫人

関連商品・参考文献

道具・材料

※情報修正2017年05月

この記事をシェアする

五十嵐麻理をフォローする

関連記事
「スチームパンク大百科S」書籍化
当ブログ「スチームパンク大百科S」が書籍化されました。
あなたのスチームパンクライフのお役にたてますように。
  • 著者 五十嵐麻理
  • 価格 ¥ 1,944
  • 出版日 2014/05/08
  • 大型本144ページ
  • ISBN-10476612653X
  • ISBN-139784766126532
  • 出版社 グラフィック社

注意事項

■当ブログに掲載されている情報は、予告なしに変更する場合があります。

■当ブログに掲載されている情報には情報作成時期におけるものです。情報が更新された際には修正を心掛けておりますが、内容の正当性及び正確性、安全性を保証するものではありません。

■当ブログに掲載されております情報(文章・画像全て)の転用・複製・販売等一切はしないでください。特にまとめサイト、キュレーションサイトなどの使用を固く禁じます。無断使用の場合はサイト管理者に使用料を請求します。
スポンサーリンク
トップへ戻る