時計、ライター、万年筆。これらは一昔前によく言われた「男の三種の神器」だそうです。万年筆はスチームパンク時代にぴったりの筆記具。お気に入りの万年筆とブロッターについてです。
あなたの三種の神器は?
昔は「腕時計はオメガ、ライターはロンソン、万年筆はパーカー」と言われていましたが、現代は「ロレックス、ダンヒル、モンブラン」へと人気のブランドは移り変わっていったようです。
男性はこういう「こだわりのモノ」がお好きですね。私自身はあまりブランドには興味がないのですが「いつかはこれを手に入れるぞ!」という若人の意気込みや、何十年も使い込んだモノに対する紳士の愛着は、ロマンチックで素敵だなと思います。
ブロッターとは何か?
これはブロッター(吸取器)という道具です。パッと見、黒板消しみたいですね。万年筆で紙に書いたときに、余分なインクを吸い取るためのもの。木でできているブロッターが一般的ですが、金属製、陶器製、ガラス製なんてものもあるようです。しかしながらボールペンの普及で今ではすっかり廃れてしまいました。
ルビナート・ブロッター
曲面の部分に紙を挟み、紙面のまだ乾いていないインクに押し付けて使います。万年筆を使う時には必需品です。私が使っているブロッターは普通よりちょっと小さめのもので、イタリアの筆記具メーカー、フランチェスコ・ルビナート社の製品です。
ブロッターの使い方
上のつまみがネジになっていて、上の板をスライドさせることができます。ここに別売りの吸い取り紙を挟んで板を元通りにずらし、ネジを締めて使います。それだけの単純な道具なのですが、インクが乾くまでノートを開いて待つ必要がないので大変重宝しています。
吸い取り紙は手作りで
吸い取り紙はインクを吸ってだんだん汚れていきますから、限界になったら取り替えます。ただルビナートの専用紙は10枚840円もします。私は色画用紙や和紙を切って使っている方もいらっしゃるみたい。全く問題なくインクを吸いますし、好きな色で作れるのでお勧めですよ。
一工夫でアンティーク風に
このブロッターをカスタマイズしてみることにしました。手芸店で購入した真鍮のアクセサリーパーツを、金属バサミで4分割。接着剤で四隅につけて終了。あっという間にアンティークブロッターになりました。
パイロット・万年筆キャップレスシリーズ
こちらは私が愛用しているPILOT(パイロット)社のキャップレス万年筆です。上がキャップレス・デシモのFCT-15SR-HY(ハーベストイエロー)。下がキャップレスのFC-15SR-B(ブラック)、名入れをしてもらって大切に使っています。
ノック式の万年筆
「キャップレス」の名の通り、ふた(キャップ)のない、ノック式の万年筆です。ボールペンのようにペンの上の部分をカチカチとやるとペン先が出たり入ったりします。ノック式の万年筆を出しているメーカーは世界でもパイロットただ一つ。1963年の発売以来人気のシリーズとなっています。
ホルダーをつまんで持つ
キャップレス万年筆のペン先は、普通の万年筆のペン先がある部分とは逆です。つまりホルダー側にペン先があります。最初違和感があったのですが、ホルダーを指で挟んで持つので、意外に書きやすい。ブラックは細字(F)のペン先に黒インク、ハーベストイエローには中字(M)のペン先にブルーブラックのインクを入れて使い分けています。
ギミックが面白いキャップレス
キャップレス万年筆はあまりアンティーク風のデザインではないのですが、ペン先がせり出したり、格納される様がメカニカルで面白いんですよ。また書きたい時にカチっとやるだけの手軽さ、機密性のあるキャップでインクの乾きが全くない利便性が素晴らしいです。
ペリカーノジュニアもお手頃
以前私はPelikan(ペリカン)社のペリカーノジュニアを使っていました。ヨーロッパの子どもたちが、最初に持つ万年筆として人気が高いものです。でも子ども向けとあなどってはいけません。グリップに3箇所のくぼみがあって、正しい持ち方でペンをホールドできます。鉄筆だから丈夫で書き味もなめらかです。
お値段いろいろ万年筆
一般的な万年筆の相場は10,000円〜30,000円ほどだそうですが、100円ショップ万年筆からウン十万円の高級品までお値段は様々。世界で最も高価な万年筆は2007年にモンブランが発表したミステリーマスターピースだそうです。なんと7,900万円! でも万年筆は値段ではありません。あなたもお気に入りの万年筆&ブロッターが見つかるといいですね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
追記:2016年02月24日
この記事を書いてから5年後。万年筆立てとブロッターを自作しました。歯車いっぱいのスチームパンクテイスト。キャップレスデシモも相変わらず使い続けています。今後も万年筆を愛用したいと思います。