「木目塗装の方法」プラスチックをマホガニーに

この玉子は実は透明なプラスチックカプセルを、柾目や杢、こぶ模様など、木目模様で塗装したものです。スチームパンクDIYに欠かせないテクニック「木目塗装」について解説します。
木目塗装

スチームパンクグッズにおけるメイン素材は、木と真鍮。でも現代の素材の主役はプラスチックです。しかし! スチームパンカーたるもの、プラスチックよりも木に囲まれた生活をしたいもの。たとえそれがフェイクであっても。

フェイクの塗装フォーフィニッシュ

このような塗装は「フォーフィニッシュ(FAUX FINISH)」と呼ばれ、ヨーロッパでは長い歴史を持つ装飾技法です。クルマのカスタマイズをするマニアには割りとよく知られた技法で、メーターパネルやコンソールボックスなどを木目調にペイントする方も多いんですよ。木目だけでなく大理石や石目、布、レザーなど様々な素材をフェイクの塗装で再現するフォーフィニッシュですが、今回は木目塗装のみをご紹介します。

【1】使用する素材と塗料の相性を調べる

木目塗装
もとのプラスチックカプセルです。東急ハンズで購入で2つ150円ぐらい。一応ご注意ですが、プラスチックは様々な種類があり、物によってはラッカー塗装、ウレタン塗装ができません(溶けたりします)。塗料のラベルには塗装できる素材が書かれていますので、事前によく調べておきましょう。

【2】サンドペーパーで素材を荒らす

木目塗装
プラスチックはツルツルしているので塗料が剥がれ落ちやすいです。剥離を防ぐために、サンドペーパーで表面をザラザラに荒らしておきます。と言ってもあまりにデコボコにすると仕上がりが美しくないので、400番ぐらいのサンドペーパーで十分です。

【3】表面を細かい目のペーパーで整える

木目塗装
さらに800番ぐらいで表面をととのえます。右が元のカプセル、左が表面を荒らしたもの。白く濁るぐらいに全体を均一に荒らします。

【4】ポリパテで盛り削り

木目塗装
こもし表面に傷や凹みがある場合は、ポリパテを盛って、乾いたら同じくサンドペーパーで表面をならしておきます。ポリパテとはプラモデルコーナーなどで売っている、造形用素材です。正式にはポリエステルパテと言います。いろいろ種類があって、色、粒子の細かさ、硬化時間などが違います。

【5】塗装用の持ち手をつける

木目塗装
立体物の塗装の時は、持ち手を作っておくとやりやすいです。今回はカプセルのおしりのところに竹串をさして、グルーガンで仮止めしておきました。

【6】脱脂(洗浄)

木目塗装
手の油がついていると上手く塗装がのりません。中性洗剤で表面を洗って油を落とします。そして乾燥。水に濡らすことができない素材の場合は、脱脂綿にアルコールをつけてふくとよいでしょう。塗装前に脱脂綿のわたが表面に付着していないか確認してください。

【7】サーフェイサーを吹く

木目塗装
塗装のつきをよくするために、下地剤(サーフェイサー)を吹きます。プラスチック用、金属用など分かれていて、色も透明、グレー、白などいろいろ。白色の下地剤は発色が良くなるのでお勧めです。完全に乾燥するまで待ちます。

【8】表面を磨く

木目塗装
下地を吹いた時、気泡が表面についてしまうことがあります。細かいことですが、こういった気泡もサンドペーパーで削って表面を磨いておきます。

【9】第一塗装・イエロー

木目塗装
いよいよ塗装にうつります。黄色のラッカースプレーを吹きます。色は写真のようなオーソドックスな黄色で構いません。1回吹くごとに乾かして、2、3回重ねて吹くと良いでしょう。

【10】第二塗装・木目模様

木目塗装
黄色の塗装が乾いたら木目を書きます。塗料はアクリル絵の具かエナメル系の塗料を使います。下地の黄色がラッカー系なので、木目塗装にはラッカー系塗料は使わないこと! アクリル絵の具は水性で使いやすいですが、少し厚みが出てしまうのと色にくすみがあるのが難点。エナメル系は油性でプラモ塗装によく使われるものです。乾燥にやや時間がかかりますが、艶があってお勧めです。色は黒色を使います。

【11】木目の描き方(杢)

木目塗装
杢(もく)はケヤキやカエデ、マホガニーなどによく見られ、木目の乱れや髄線が美しい模様です。描き方はティッシュやスポンジに黒の塗料を含ませて、適当にポンポンと押し付けるだけ。かすれがあっても大丈夫。こんなテキトーでいいのか?ってぐらいテキトーになすりつけてください。そして乾燥。

【12】第三塗装・マホガニー色

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次にウレタンニスを吹きます。用意するのはマホガニー色と透明クリヤー二種類。注意点は、ラッカーニスを使わないことです。ラッカーニスだと下の黄色の塗料を溶かしてしまいます。1回吹くごとに乾燥させます。厚塗り厳禁。塗料がたれます。薄く塗って、乾かして、また薄く塗るを繰り返します。

【13】マホガニー色→透明クリヤーを吹く

木目塗装
写真左はマホガニー色のウレタンニスを1回吹いた状態。右は乾燥後2回目を吹いた状態。ニスを吹けば吹くほど茶色が濃くなってきますが、あまり塗り重ねると模様が目立たなくなりますので、3、4回が限界です。今回は3回吹きました。納得のいく色になったら、透明クリヤーのニスを吹き重ねるとつやつやになりますよ。もし気泡が気になるようでしたら、透明クリヤーを吹く前に細かい目のサンドペーパー(1000番ぐらい)で磨いておきます。

【14】木目の描き方(柾目・まさめ)

木目塗装
柾目(まさめ)は細い筆で縞模様を描きます。ところどころ薄め液でぼかしても良いです。おいおい、こんなアバウトでいいのか、と思うぐらいで大丈夫です。黄色が見えている状態だとあまりの雑さに不安になりますが、マホガニー色を吹き重ねると、そのたどたどしさが味になったりします。

【15】木目の描き方(こぶ)

木目塗装
コブの木目はちぎった厚紙に塗料をつけて、表面になすりつけて描きます。言葉で説明するのが難しいのですが……。筆でぐにゃぐにゃした模様を描いても良いです。これまたテキトー。ウレタンニスを重ねるとそれらしく見えます。木の模様は本物の木をお手本にして真似すると描きやすいですよ。

【16】マーブリングによる木目の描き方1

木目塗装
でもやっぱり美しい柾目模様が描きたい! というあなたは、マーブリングの技術を使いましょう。マーブリングの方法は以前「マーブリングの技法・櫛目模様の紙を作る」で解説しました。爪楊枝に黄色と黒の塗料を交互につけて、水面に木目模様を作ります。

「マーブリング(墨流し)の技法」櫛目模様の紙を作ってみよう
マーブリングとは、大理石(Marble)に似た美しい模様。革装丁の書籍だけでなく、日本の墨流し、イスラム文化圏の精密画など、世界各国にこの技法を応用した美術があります。

【17】マーブリングによる木目の描き方2

木目塗装
黄色の塗料を吹いたカプセルをマーブリング溶液に沈めると、美しい木目が一気につきます。しかしあまり色の定着がよくないのか薄い色になってしまうので、マホガニーのウレタンニスは一度しか吹くことが出来ませんでした。でも仕上がりはとてもリアルですね。マーブリング法は一番美しいのですが、水に濡れても良いもので、比較的小さいものしか出来ないのがネックです。

のんびり遊びましょう

木目塗装
今回は木目塗装のサンプルのためだけに偽木製玉子を作ってみましたが、なかなか楽しい作業でしたよ。ただしポリパテや塗料の乾燥時間があるので完成までかなり時間がかかります。気の短い人には向いていません。ちょっと吹いては1時間休み、2時間休み、削って吹いてまた削り──という根気のいる作業だからです。コーヒーでも飲みながら、一日かけてのんびりやりましょう。

最期にもう一度注意事項。第一塗装(下地の黄色)、第二塗装(木目)、第三塗装(マホガニー色)はそれぞれ塗料をバラバラにすることが大切です。つまり同じ油性塗料でも、黄色は「ラッカー塗料」、木目は「エナメル塗料」、マホガニーは「ウレタン塗料」というように。こうすることで模様が溶けて混ざりあうのを避けられます。購入の際に気をつけてくださいね。

いろんなものを木目にしよう!

木目塗装
木目塗装のテクニックを身につけると、様々なものを木製化することができます。たとえばこのライター、もとはピンク色だったものを高級素材のマホガニーに塗ってみました。私は喫煙者でないのでほとんど使うことはありませんが……。あなたも身の回りの物をスチームパンキッシュに変身させてみませんか?

材料・道具
蒸気夫人
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