「ヴィクトリア時代の恐竜ブーム」と骨格コレクション

寝室に置いてある私の恐竜骨格標本コレクション。アーサー・コナン・ドイルが書いたSF小説『The Lost World(失われた世界)』、そして恐竜についてのコラムです。
恐竜

もちろんレプリカの骨格標本です

真ん中の棚の小動物の骨格標本は、私の曾祖父から譲り受けたものです。彼がイギリス留学していたときに、知人のエドワード・ダン・マローン氏から頂いた標本です。マローン氏が南米アマゾン探検の際に手に入れた、非常に貴重な動物の骨なんですよ。

なーんちゃって! 最初からバレてたと思いますがこの恐竜の骨格標本はレプリカ。本の虫のあなたは「ああ、ドイルの『失われた世界』ね」と膝を打ったことでしょう。なぜ恐竜を取り上げたかという理由はそこにあります。

今回はシャーロック・ホームズシリーズで有名なヴィクトリア朝の大作家・アーサー・コナン・ドイルが書いたSF小説『The Lost World(失われた世界)と恐竜について書いてみたいと思います。

コナン・ドイルのSF『失われた世界』

恐竜
『失われた世界』は、新聞記者・エドワード・ダン・マローンと古生物学者・チャレンジャー教授が、南米アマゾンで恐竜探しの探検をする物語です。切り立った巨大な台地に、取り残される形で生き延びていた恐竜、そして猿人たち。プテラノドンにステゴサウルス! 血湧き肉躍る、冒険に次ぐ冒険。果たして探検隊一行の運命やいかに。

恐竜SFの元祖

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恐竜がもし現代にいたら──というSFはいくつも映画化されていますね。『ジュラシック・パーク』(※)が一番有名でしょうか。その元祖が100年も前に書かれたドイルの『失われた世界』です。ドイルと言えばシャーロック・ホームズ。ミステリの印象が強いドイルですが、晩年にはチャレンジャー教授が大活躍するSFをいくつか書いているんですよ。

『ジュラシック・パーク』は恐竜マニアにとって噴飯もののシーンが続出する。竜脚類のブラキオサウルスは現在ではそれほど首が高く上がらな かったという説が一般的だが、映画ではキリンのように首を高く上げていることや、ティラノサウルスは動かなければ見つからないと博士が言及していること、 ヴェロキラプトルが大きすぎたり、羽毛が生えていないことなどなど。

しかしこれは当時の定説を考えると仕方のないことだし、この映画は世界的に恐竜好きの子どもを増やしたという功績はあると思う。ちなみに荒木一成師匠のディプロドクスは最近の学説に基づき、首が高く上がらないポーズで作られている。

恐竜

この後、心霊学に傾倒したドイルは交霊会や心霊に関する論文を次々に発表、かの有名な「コティングリー妖精事件」に巻き込まれることになるのですが、これはもう既に別サイトで書きましたので割愛いたしますね(幻想画廊「コティングリー妖精事件」)。

ヴィクトリア時代の恐竜ブーム

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19世紀前半に初めて恐竜を発見したギデオン・アルジャーノン・マンテル(1790~1852)から始まった恐竜学。各地で化石の発見が相次ぎ、ヴィクトリア時代には一大恐竜ブームが巻き起こりました。

以下は『ヴィクトリア朝空想科学小説』の高山宏氏による解説からの引用です。

自分の名も綴れない稚(いた)いけな子どもがラテン語で恐竜の名をいくつも列挙できるなどと聞けば、まさしくこの頃のウルトラマン大好きキッズたちの怪獣狂いそっくりだが、まさしくヴィクトリア朝とはそういう時代だった。百科事典で「恐竜」の項を引いてみよう。すると博物学趣味のヴィクトリア朝人士がある日掘りだしたふしぎな骨からすべて始まることがわかるだろう。われもわれもというので仕事も学校もない日曜日にはごく普通の市民が恐竜の骨さがしに、新種のシダさがしに、珍しいイソギンチャク狩りに海辺や山の中にどっと繰り出した。

『ヴィクトリア朝空想科学小説』

いつの時代も子どもは恐竜が大好き

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当時のイギリスは博物学の全盛期。博物学から分派した古生物学において、上流階級の紳士たちは金に糸目をつけずに化石を買い集め、そこらじゅうの土を掘り返しては大発見のために奔走しました。ドイルの『失われた世界』はそういった下地があって生みだされたものと言えます。

それにしてもいつの時代にも子どもは恐竜が大好きなんですね。あなたも昔、恐竜の名前をたくさん覚えたリトル恐竜博士だったのではないですか?

巨匠・荒木一成氏による恐竜骨格モデル

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話変わって、私の恐竜骨格モデルのコレクション。これは市販のプラモデルを自分で塗装したものなんですよ。このシリーズをぜひともあなたにお薦めしたい。なぜならこの原型制作は、現代の恐竜造形作家の中ではピカイチの巨匠・荒木一成氏が手がけたものだからです。

素晴らしい荒木恐竜の世界

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荒木師匠の制作した恐竜作品はおよそ450点以上。その躍動感溢れる造形は、恐竜モデルのエポックメイキングと言えます。荒木師匠の作品が現れる前と後では明らかに恐竜模型界の方向性が変わったと言われるほど。彼の恐竜は見る人を圧倒する迫力、そして生き生きと動き回るさまを想像させる力があります。

福井県立恐竜博物館はお薦めです

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日本各地の博物館から展示作品のオファーが殺到するというのもなるほど理解できます。特に「日本珍スポット100景」でご紹介した「福井県立恐竜博物館」の10分の1スケール、恐竜生体復元模型30点は圧巻。正直「福井県立恐竜博物館」は豪華すぎて珍スポットではないんですが、ぜひぜひ足を伸ばしてほしいと強力にプッシュいたします。

荒木先生の恐竜モデルがこの値段で!

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その荒木師匠の35分の1スケールの「ティラノサウルスサウルス」「ディプロドクス」「トリケラトプス」がたったの1680円、3200円、2480円ってんだから。大人ならなんてことないこの値段。しかも全ページカラーのムック付き。ティラノサウルスの造形の美しさと言ったら! 今まで見たどんな骨格標本よりもカッコイイポーズ(※)。ディプロドクスなんて組み立てると長さ1メートルもあるんですよ。
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昔のティラノサウルスの模型は、ゴジラのように直立している体勢をとっていた。しかし近年の発掘調査により、尾をひきずった跡が見つからないことや変温動物である可能性により速く走れたと予測できることから、ティラノサウルスの模型は前傾姿勢に変わっていった。今後科学の発達によって、復元された恐竜のポーズ、動き、皮膚の色などはどんどん変化していくかもしれない。

本物の骨の色に塗装

恐竜
ただね。このお値段なら仕方ないんですが、どうもプラスチックのテカテカした質感が安っぽいんです。だから自分で本物の骨色に塗装してみました。実際に骨格標本を目の前に置いてその通りの色を塗ったからリアルですよー。台座や支柱もプラスチックのものをやめて、木製の飾り台にニスを塗り真鍮棒を立て、古びた標本ラベルを貼りました。

塗装の仕方

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塗り方です。最初塗料の食いつきが良いようにサンドペーパを全体にかけて、中性洗剤で洗って脱脂。下地に「Mr.ベースホワイト1000」を吹きました。実物の骨は真っ白ではなく、全体にクリーム色がかっていてあちこちいろんな色が混じっています。できれば博物館などで骨格標本を観察して彩色するといいですよ。

ティラノサウルスは筆塗り。ディプロドクスとトリケラトプスはエアブラシ+筆によるウェザリングで仕上げました。最後に固定のために「つやなしラッカー」を塗って終了(トリケラトプスはつやありを塗ってしまったんだけどこれは失敗だった)。ティラノサウルスは3日、ディプロドクスとトリケラトプスはそれぞれ1日かかりました。(※)

余談

プラモデルを見ると思い出すことがあります。以前ある男性に自作のガンプラを見せてもらった時、非常にショックを受けました。塗装、ウェザリングはおろかランナーからちぎったと思しきバリがくっついたまま、表面処理もパテ埋めもせず、あまつさえパーツを逆にくっつけてしまったあとで間違いに気づき、接着剤で無理に固定させた部分がありました。

当時私は、男性が「女性はみんな料理が作れる」と思いこんでいるのを嘲笑していました。しかし私自身が「男性は全員プラモが作れる」と誤解していたのです。人のことが笑えるのか。そのガンプラを見て「ジェンダーにおける偏見の根はここにある」と愕然とし、大いに恥じ、反省しました。

料理が下手な女性がいたって、ガンプラが上手く作れない男性がいたって別に良いのです。

探検隊のおじさんで遊ぶ

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別件で購入したタミヤのプラモデルの中に探検隊のおじさんが入ってたから、ついでに塗装。同じ35分の1スケールだから、ティラノサウルスに食べさせてみたり、ディプロドクスの背中にのっけたりして遊んでみました。ティラノサウルス体トリケラトプスの夢の対決とかもできるし楽しい!

ヴンダーカンマーへの道

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巨匠の作品を勝手に塗装していいのか? とか思ったんですが、トリケラトプスのムックに「恐竜の基本は骨格です。付録のトリケラトプスの骨格を、色をつけて塗り替える、頭の中で筋肉や皮膚をつける、色を想像するなど、あなただけの恐竜を想像してみるのに役立ててもらえたら嬉しいですね」という荒木先生ご自身のお言葉が。

ヴィクトリア時代には恐竜がよく似合います。ヴンダーカンマー実現のために、ぜひこの美しい恐竜骨格モデルを手に入れましょう!




蒸気夫人
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