シャーロック・ホームズシリーズで有名なアーサー・コナン・ドイルのSF小説『失われた世界』と恐竜についてのコラムです。ヴィクトリア朝の恐竜ブームとは何だったのでしょうか?
『失われた世界』あらすじ
恐竜SFの元祖・『失われた世界』
アーサー・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle 1859〜1930)は英国ヴィクトリア朝を代表する大作家。医師でありオカルト研究家であり、政治活動家でもあります。
恐竜がもし現代にいたら──というSFはいくつも映画化されていますね。『ジュラシック・パーク』(※)が一番有名でしょうか。その元祖が100年も前に書かれたドイルの『失われた世界』です。ドイルと言えばシャーロック・ホームズ。ミステリの印象が強いドイルですが、晩年にはチャレンジャー教授が大活躍するSFをいくつか書いているんですよ。
『ジュラシック・パーク』は恐竜マニアにとって噴飯もののシーンが続出する。竜脚類のブラキオサウルスは現在ではそれほど首が高く上がらな かったという説が一般的だが、映画ではキリンのように首を高く上げていることや、ティラノサウルスは動かなければ見つからないと博士が言及していること、 ヴェロキラプトルが大きすぎたり、羽毛が生えていないことなどなど。
しかしこれは当時の定説を考えると仕方のないことだし、この映画は世界的に恐竜好きの子どもを増やしたという功績はあると思う。
心霊学にはまっていったドイル
この後、心霊学に傾倒したドイルは交霊会や心霊に関する論文を次々に発表、かの有名な「コティングリー妖精事件」に巻き込まれることになります。ドイルと妖精事件については以下の記事をご覧ください。
ヴィクトリア時代の恐竜ブーム
19世紀前半に初めて恐竜を発見したギデオン・アルジャーノン・マンテル(1790~1852)から始まった恐竜学。各地で化石の発見が相次ぎ、ヴィクトリア時代には一大恐竜ブームが巻き起こりました。
以下は『ヴィクトリア朝空想科学小説』の高山宏氏による解説からの引用です。
いつの時代も子どもは恐竜が大好き
当時のイギリスは博物学の全盛期。博物学から分派した古生物学において、上流階級の紳士たちは金に糸目をつけずに化石を買い集め、そこらじゅうの土を掘り返しては大発見のために奔走しました。ドイルの『失われた世界』はそういった下地があって生みだされたものと言えます。
それにしてもいつの時代にも子どもは恐竜が大好きなんですね。あなたも昔、恐竜の名前をたくさん覚えたリトル恐竜博士だったのではないですか?【蒸気夫人(マダムスチーム)】