『アバンチュリエ』あなたはもう読みましたか? 舞台はスチームパンク時代末期のフランス。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンの冒険を描いた森田崇先生の傑作コミックです。スチームパンカー必見!
ルブランの怪盗紳士・アルセーヌ・ルパン
「アバンチュリエ(aventurier)」とはフランス語で冒険家という意味です。言うまでもなく怪盗アルセーヌ・ルパンそのものを指す言葉ですね。アルセーヌ・ルパンはフランスの小説家・モーリス・ルブラン(Maurice Leblanc 1864〜1941)が20世紀初頭に書いた傑作シリーズの主人公です。
20世紀初頭のフランス、ベル・エポック時代
時代背景は、ヴィクトリア朝のスチームパンク時代後期からディーゼルパンク時代にかけてのフランス。この時代をベル・エポック(Belle Époque 良き時代)と呼びます。1905年のパリ万博が象徴するように花の都・パリが最も繁栄した、まさしく古き良き時代です。若きアルセーヌ・ルパンはベル・エポック時代のパリを中心に、怪盗紳士として名を馳せます。
ルパンファン森田崇先生によるコミック化
『アバンチュリエ』は、ルブランの原作を元に、森田崇(もりたたかし)先生が手がけたコミックです。2018年03月現在、講談社から『アバンチュリエ 新訳アルセーヌ・ルパン』が5冊、小学館から『怪盗ルパン伝 アバンチュリエ』が5冊と、「登場編」「金髪婦人編」をまとめた2冊が出版されています。
圧倒的な画力とストーリーテリングの力を誇る森田崇先生がコミック化してくださって本当に良かった! 森田先生は漫画界きってのルパンファンだからです。
一気に読むのがもったいない面白さ
1巻をkindleで読んであっという間に惹き込まれました。あまりに面白すぎて、すぐに紙のコミックも一括購入。でも一気に読んでしまうのがもったいなかったので、毎日1冊だけと決めて、美味しいお酒をちびちびやるように読み進めました。そして何度も読み返しています。
ルパン三世シリーズの銭形警部の有名なセリフ、映画版『シャーロック・ホームズ』の構図など、マニア心がくすぐられる遊びも各所に入っていますよ。
胸がすくような痛快な気持ちに
若き日のアルセーヌ・ルパンは高い自尊心を持つ挑戦的な若者です。大胆不敵、神出鬼没! わざわざ挑戦状まで送りつけ、どうみても不可能と思われる状況で華麗に宝物を盗み出します。パリ警視庁のガニマール警部の悔しそうな顔を見ると、読者である私も「どうだ!」と胸がすくような痛快な気持ちになるのです。
そして様々な美女との恋に身を焦がすロマンチックな青年でもあります。愛する女性にまずいところを見られてルパンが赤面するシーンは最高にカワイイですよ。
実は子供の頃、ルパンが嫌いでした
実を言うとアルセーヌ・ルパンは嫌いでした。小学生の時、江戸川乱歩シリーズ、シャーロック・ホームズシリーズと読み進んだ私は、怪盗ルパンシリーズにも手を伸ばしました。最初に読んだのは『奇巌城』。
こんなのホームズじゃない!
『奇巌城』は少年探偵イジドール君が活躍します。少年少女にとって読みやすいと思われるから子供向けのリライト版ルパンの第一作になることが多いのです。
奇巌城にはルパンのライバルである、世界的名探偵シャーロック・ホームズも登場します。しかしシャーロキアンにとって非常に屈辱的で不愉快な描かれ方がされており、ホームズファンの子供がショックを受けるような描写があるのです。
「こんな卑怯者、ホームズじゃない! ルブランなんか嫌いだ! もう二度と読まない!」と憤慨した私はルパンシリーズを読むのをやめてしまいました。
原作通りのハーロック・ショームズ
しかし森田崇先生版では原作通りに、シャーロック・ホームズではなく、ハーロック・ショームズ(Herlock Sholmès)。ルパン世界での世界的名探偵となっています。そして登場人物の心理描写が丁寧にされていて、読者としてもラストは納得のいく落とし所となっています。だからシャーロキアンの皆さんも安心してお読みくださいね。
ルパンを好きになることができました
『アバンチュリエ』のおかげで、私はアルセーヌ・ルパンを好きになることができました。そして子供の時にはよく分からなかった建物の構造や、ファッション、フランスの地理などが絵で見て理解できました。数十年ぶりに「ああ、奇巌城ってこうなっていたのか!」と膝を打ちましたよ。
漫画って本当に素晴らしい。こんな素敵な本との再会をさせてくれるなんて!
kindle版のコラムも必見!
『アバンチュリエ』は奇巌城に至るまでの経緯を時系列に沿って読むことができるだけではありません。森田先生による素晴らしいコラムも掲載されています。スチームパンカー、ディーゼルパンカーにとってこれほど頼もしい資料はありません。物語を楽しむとともに当時の文化歴史も学べるなんてお得ですね。
さあ、次は名作として知られる『813』ですよ!
待て、しかして希望せよ!【蒸気夫人(マダムスチーム)】
追記1:森田崇先生からコメントが!
『アバンチュリエ』作者である森田崇先生からコメントをいただきました。なんと、当ブログもご存知で、スチームパンクもお好きなんだそうですよ。スチームパンカーにとってこれは嬉しいニュースですね。森田先生、これからも応援しています!
凄い!こんなにガッツリ読んで頂いて光栄です!
シャーロキアンの方に受け入れてもらいたい…というのはアバンチュリエの一つの大きな目的でしたので、とても嬉しいです!
そう。1、「ハーロック・ショームズ」であること。2、奇巌城に至るまでの二人のドラマがあるのが重要 …だと思ってます! https://t.co/SMQHGwHOaC— 森田崇@ルパン帝国再誕計画 (@TAK_MORITA) 2018年3月15日
あっ!このサイトの方でしたか!
以前拝見して「カッコイイ!!」と痺れました。
スチームパンク大好きです!!! https://t.co/bSOBZUNRb4— 森田崇@ルパン帝国再誕計画 (@TAK_MORITA) 2018年3月15日
追記2:ルパン帝国再誕計画
『アバンチュリエ』公式サイトでは様々な計画が進行中です。これは期待大。ぜひ森田崇先生のツイッター(森田崇@ルパン帝国再誕計画(@TAK_MORITA))をチェックしましょう!