『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』は犯罪界のナポレオン・宿敵モリアーティ教授とシャーロック・ホームズとの戦いを描いたロバート・ダウニー・Jr版ホームズの第二弾です。
イギリス、フランス、ドイツ、スイスを舞台に
前作『シャーロック・ホームズ』では、真鍮の歯車満載のメカやホームズ&ワトソンのお部屋、ヴィクトリア朝ロンドンの超絶リアルな再現など、スチームパンカーにとって見所の多い映画でしたが、今作ではイギリス、フランス、ドイツ、スイス──と舞台を目まぐるしく移動するアクション性の高いストーリーになっています。
原作通りの肉体派ホームズ
ハリウッド映画におけるお約束の一つがアクションです。本作においてもそれはきっちり守られており、ホームズと元軍人・ワトソンもは敵にパンチを浴びせ、蹴りをくらわせの大乱闘を演じます。ホームズがボクシングやバリツなど格闘技の使い手であることは原作通りですね。世界を股にかけ、拳銃片手に大暴れのホームズが見られますよ。
頭脳派ならではのアクション
ガイ・リッチー監督のホームズで目を見張ったのは、アクションでさえもホームズの頭脳の素晴らしさを引き立たせる材料として使ったことです。ホームズは敵と殴りあうその瞬間に、相手の動きを完璧に推理し頭の中で構築します。それがバレットタイム(Bullet-time)という技術によって、非常に効果的に映像化されているのです。
ああ、そういう意味だったのか
計算されつくしたアクションだけではありません。ホームズの何気ないしぐさ、何気ない発言、すべての行動が推理によって成り立っており、映画を見ている我々は後から「なるほど、あれにはああいう意味があったのか」とため息をつくばかりです。
宿敵・モリアーティ教授との一騎打ち
しかし天才数学者でありボクシングのチャンピオンでもある宿敵・モリアーティ教授はそう簡単にはいきません。ホームズとモリアーティの一騎打ちは見ものです。それはまるで剣の達人が刀を構えただけで、すでに心の中で戦っているがごとくです。「お主できる」なんてね。
自分と全く互角だったらどうするの?
ところで。大学時代の部活の先輩は数々の将棋大会で優勝していたアマチュア選手でした。彼曰く「シンプルな将棋だったら20手先まで読める」。先輩は「20手先まで読む男」と呼ばれていました。
その先輩との会話でこんな話も出ました。
そこで先輩はしばらく考えて「そうだなあ、あらゆる可能性を読んでだめだった時点で投了するしかないな。完全に詰まされる前に『負けました』と言って頭をさげるんだよ」。将棋の世界では自分の負けを認める潔さが必要なんですね。
投了しないためにはどうするホームズ?
頭脳戦においても肉弾戦においてもホームズの何手先も読んでくるモリアーティ教授。西洋将棋であるチェスで闘うシーンは圧巻です。はたしてホームズが投了を回避するためにとった行動とは? 原作を読み込んでいるファンなら思わずニヤリとしてしまうセリフやシーン、登場人物満載の第二作。もちろん前作と同じくブラザーロマンスも健在です。
一瞬たりともぼんやりしてはいけません
なお、思わず「ちょ、ちょっと待って、もう一度巻き戻して!」と叫びたくなるシーンが2度ほどあるので、一瞬たりともぼんやりしていてはいけませんよ。【蒸気夫人(マダムスチーム)】