はりこのネオヴィクトリアントップハット(シルクハット)の作り方

トップハットの作り方
トップハットはヴィクトリア朝の紳士がフォーマルな場に出席する時、必ず着用しなければならない帽子でした。はりこの技法を使ってネオヴィクトリアンなトップハットを手作りしました。

「冗談じゃない。こんな古ぼけた帽子から、なにが推理できるっているんだ?」

「ここに拡大鏡がある。ぼくのやり方はしっているだろう。きみなら、こいつをかぶっていた男についてどんな推理をする?」

『青いガーネット』光文社文庫『シャーロック・ホームズの冒険』 P277

『青いガーネット』帽子の名推理

トップハットの作り方

The Adventure of the Blue Carbuncle Sir Arthur Conan Doyle Sidney Edward Paget

ホームズ物語の中で最も印象的な帽子と言えば、『青いガーネット(The Adventure of the Blue Carbuncle)』に登場する帽子でしょうね。ホームズは帽子を観察するだけで、持ち主の人となり、経済状態、年齢、身体の特徴まで言い当てます(現代は廃れてしまった骨相学を持ちだしているのはご愛嬌)。帽子の趣味というのは意外に性格が出るものなんですね。

紳士の常識・トップハット

トップハットの作り方

Photo credit: The British Library via Visual Hunt / No known copyright restrictions

『ヴィクトリア朝百科事典』では、1900年に出版されたファッションの指南書『衣服と男性』の文章を引用しています。

街に出ているとき、君はラウンジ・スーツとボウラー・ハットで人前に出てはならない。朝のうちに仕事で人に会う予定があるなら、むろんのことフロック・コートかモーニング・コートにトップ・ハットを着用するがよい。

『ヴィクトリア朝百科事典』 P79

休日やヴァカンスなどのカジュアルなお出かけにはボウラーハット(山高帽)でも大丈夫。でも街中ではトップハットを着用するのが常識だったみたいですね。

フェルトハットのつばの形を変えるには? 簡単な帽子の整形法
スチームパンクファッションがお好きな方ならこんな山高帽を持っていらっしゃるのでは? 色はいいけど形がちょっと……というフェルトハットは、自分で簡単につばの形を変えられます。

私の理想のトップハット

トップハットの作り方
私の好みは円筒状の部分(クラウン)が上に向かって反っていて、つば(ブリム)もカーブを描いているもの。そして頭ぴったりのものは男性的すぎるからやや大きめ。巻き(リボン)は光沢のある黒、内側の裏地は目の覚めるような真紅。さらに女性らしい羽飾りと、後ろ側にコルセットリボンの飾りがついている華やかなデザイン。

ブリムを持ち上げて挨拶したい

トップハットの作り方

それから人に会った時にはこんな風に帽子を取ったり、持ち上げて挨拶したいものです。でもこれ実は本来ハットは両手で扱うもので、ブリムを片手で持ってはいけないのです。でも両手でズボッと持ち上げるのはかっこ悪い。だからブリムが頑丈なものが欲しい。

こんな細かい好みに合ったものが市販されているはずもなく、オーダーするにしても時間がない。そこでいつものあの言葉。「売ってないなら、作ればいいじゃない!」ですよ。

【1】針金を輪にする

トップハットの作り方
自分の頭ピッタリの大きさに針金をカットして、輪を作ります。それともう一つ一回り大きめの輪も作ります。

【2】画用紙をカット

トップハットの作り方
円の直径と同じ長さに画用紙をカット。下数センチを残して写真のように切れ込みを入れます。

【3】画用紙と輪をランプシェード状にする

トップハットの作り方
画用紙をテープで針金にとめます。片方の輪が大きいので、ランプのシェードのように開いた形になります。

【4】マスキングテープを貼る

トップハットの作り方
シェード型の筒に、マスキングテープを縦、横に貼ります。

【5】ブリムをとめて形を整える

トップハットの作り方
画用紙でブリムを作ります。ブリムの縁に針金をテープでとめます。ブリムをシェード型の筒の下側(輪の小さい方)にテープでとめて、針金を好きな形に曲げます。これで帽子の土台ができました。

【6】和紙をちぎる

トップハットの作り方
和紙を用意します。100円ショップで、包装紙の和紙、障子紙用の和紙、お花紙などが手に入ります。和紙を細くちぎります。

【7】和紙を土台に貼る

トップハットの作り方
木工用ボンドを水でシャビシャビに薄めて、土台に貼っていきます。1層貼ったら必ず完全に乾かすこと。一度に貼り重ねると下の方の層が湿ったままになってしまいます。

【8】土台を破り取る

トップハットの作り方
何層重ねるかは和紙の厚さによりますが何層か重ねるとかなり硬く頑丈になります。和紙の色を変えているのは何層貼ったか分かりやすいようにするためです。ある程度硬くなったら、最初の土台を破ってとりはずします(そのためにマスキングテープを使いました)。

【9】硬くなるまで貼り重ねる

トップハットの作り方
硬く丈夫なハットの原型ができました。

【10】縁をカット、縁に和紙を貼る

トップハットの作り方
縁の和紙がはみ出している部分をはさみでカット。縁に薄い和紙を貼って、広がらないようにします。

凸凹はなだらかになります

トップハットの作り方
最初は表面が凸凹していますが、貼り重ねるとエッジが甘くなって滑らかになってきますよ。

【11】表布を貼る

トップハットの作り方
厚みのある、黒い布を表側に貼ります。ベロア調のストレッチの効いた生地が良いと思います。必要なところは縫い縮めます。

【12】縁にリボンを縫う、ハトメでコルセット状にする

トップハットの作り方
ブリムのふちに、グログランリボンを縫い止めます。後ろ側は布を二重にしてハトメを打ちました。グレーのリボンをコルセット状に通して飾りにします。

【13】内布を縫い付ける

トップハットの作り方
内側はつややかな真紅のサテンを縫って袋状にします。内側のトップは芯に園芸用のネットを楕円形に切って、サテンを縫い絞ります。裏布をハットの内側に縫い付けます。

【14】帽子テープ、トップを縫う

トップハットの作り方
額に当たる部分にテープ状のクッションを入れます。これは額に帽子の跡がつかないようにするためです。クッションを隠すように帽子テープを縫います。同じように黒い共生地を抜い絞ったクラウンのトップを縫い止めます。

【15】飾りをつける

トップハットの作り方
ホットボンド造花の黒いバラ、羽飾りなどを接着します。帽子の周りにヘアーネットを縫い止めます。これで完成!

ネオヴィクトリアントップハット完成

トップハットの作り方
はりこの乾燥時間が必要だったので想像していたよりも時間がかかってしまいました。でも思った通りの女性用トップハットができあがりましたよ。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

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材料・道具
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