紳士淑女のたしなみ・手袋。でもスマートフォンを扱う時にいちいち手袋を取るのはエレガントとは言えません。あなたのお気に入りの手袋をスマホ対応にする方法をご紹介します。
淑女は手袋をつけたまま食事!?
『第二のしみ』に登場する、ベルミンスター公爵令嬢にして大臣の妻・ヒルダ・トリローニー・ホープ夫人は、ホームズの部屋で手袋をつけたままで話をしています。この時代、女性はめったに手袋をとることがありませんでした。食事も手袋をしたままだったのです。
ヴィクトリア朝と現代の手袋のマナー
『ヴィクトリア朝百科事典』(谷田博幸)によると、当時のマナーでは女性に限らず男性も手袋を着用するべきで、当時は良家の婦人が素手でティーカップを持つのははしたないと思われていたそうです。
それは「家事労働をメイドなどの使用人にまかせていて、手袋を脱ぐ必要がない身分」ということを表していたからです。握手ももちろん手袋をしたまま。
ただし現代では、たとえば分厚い革製やニットなど防寒のための手袋は室内では脱ぐべきでしょうね。晩餐会など正式な場では手袋着用で食事の直前に脱ぐというマナーもあります。手袋をどうすべきかは参加する会の格式、手袋の素材などによって変わるようです。
レザーとレースの手袋
手袋はスチームパンクファッションやネオヴィクトリアンファッションにとって重要なアイテム。これは私の愛用の手袋です。総レースだとグリップがきかないのですが、この手袋は手の内側がレザー。そして手の甲側がシルクレースだから室内でつけたままでもそれほど失礼に見えません。黒いものと白いもの二種類を持っています。
手持ちの手袋をスマホ手袋にするには……?
他の手袋。スチームパンク用、犬の散歩用、自転車用、正装用など服装によって使い分けています。
ところでスマートフォンを使う時、スマホ対応でない手袋のままでは無理ですよね。でも手袋をいちいち取る動作はどうも野暮ったくて格好悪い。それに市販品のスマホ手袋はデザインが今ひとつ──どうしたものか以前から困っていました。
導電糸を縫い付けるとスマホ手袋に変身
スマホ手袋にするツールとしては、液体タイプ、シールタイプいろいろありますが、今回は導電糸を使います。文字通り電気を通す糸。電気を通す炭素の粒子を混ぜて作られた合成繊維。手袋の指の部分に縫い付けるとタッチパネルに反応するようになるんです。お値段は500円。(※2015年現在)
ふにゃふにゃと縮れていますが、とても柔らかくて普通の糸と全く変わりがありません。だから表面をなでてもタッチパネルに傷がつくことはありません。
導電糸を手袋に縫いつけよう
自分がスマホを使う時にどの指をよく使うか、指のどの部分が画面に接しているかを確かめます。その部分に刺繍の要領で糸を縫い付けます。大きさは直径3mmから大きくても1cmぐらいで十分です。
注意点としては、必ず布(革)の裏側まで針を突き通すようにし縫うことです。単に導電糸を手袋の指に巻き付けたり、表面に貼っただけではダメです。
スマホを指で操作できるのはなぜ?
スマートフォンは指先がタッチパネルに触れる時に生じる電気的変化を検知しています。人体は電気を通すのでタッチパネルに触れると、電気的な変化を引き起こすのです。一方手袋は電気を通しません。したがってiPhoneは電気的変化を検知できません。
これは導電糸を使って人体(指)の電気をタッチパネルに伝えてやってiPhoneに認識させるという仕組みです。だから「指」「導電糸」「タッチパネル」が電気的につながっている必要があるんです。
手持ちの手袋が全てスマホ手袋に変身
全部の手袋に縫い付けました。スマホの操作も全く問題ないです。私は四角形に縫ってみましたが、刺繍が得意な方は、★、◎、◆、✕などの模様にしたり、イニシャルを縫ったりして楽しんでみてくださいね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
関連商品・参考文献
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- 導電糸
- 裁縫道具一式