ラジオメータは光で回る不思議なサイエンスグッズです。市販のラジオメーターを、階差機関的な歯車とともにディーゼルパンク風にリメイクしました。ライトを当てるとガラスの中の歯車がくるくると回ります。
2008年5月にラジオメータの記事を書きました
「あれ、この記事見たことあるような……」そんなあなたはとても記憶力の良い方ですね。2008年5月にラジオメーターについての記事を書きました。購入してからもう10年以上の月日が経つんですね。ずっと長い間壊れもせずにクルクルと回り続けてきました。
ラジオメータの動きを動画でどうぞ
ラジオメーターは太陽光や電球で光を当てるとガラス内の歯車が回りはじめ、そのまま光を当て続けると速い速度で回転します。そして光を遮ったり電気を消すと羽車は失速しはじめやがて止まってしまいます。
動画をご覧ください。こんな感じで回りますよ。13年前の2008年時の動画ですので画質が荒く申し訳ありません。
ラジオメーターの仕組み
羽の片方を黒く、片方を白く塗った羽車に日光など光を当てると、光の吸収が大きい黒い羽が白い羽の面よりも温度が高くなります。そのように生じる温度差で羽の周囲の気体に対流が起こり、羽が回転するのです。このラジオメーターは右回りになります。
【1】土台作り
「光子が羽車に当たってその反作用で回る」「光の粒子の圧力で回る」とよく誤解されているんですが間違いです。中学生の時の理科の先生が光子論で説明してました。でももし光子によって羽車が回るなら、白い面が押されて回るはずですよね。
【2】カシメの装飾と塗装
確かに光が光圧(放射圧)を持っているのはマクスウェルの電磁波理論によって説明されていますが、ものすごく小さな力です。理論的には不可能ではありません(※)が、この大きさで光圧だけでで羽車を回転させる装置を作るのは技術面で難しそう。
【3】階差ギアを作る
ラジオメータ(Radiometer)はライトミル(Light Mill)とも呼ばれます。1875年にイギリス人科学者・ウィリアム・クルックス(William Crookes 1832~1919)によって発明されました。
クルックスはクルックス管やラジオメータなどの発明者&物理学者としての顔よりも、学研『ムー』の愛読者の間では、心霊研究家としての顔の方が有名です。空中浮揚で知られるダニエル・ホームを本物だと断言したり、霊媒師のエクトプラズムや心霊写真を撮影したり。かなりトンデモな学者さんです。
【4】組み立て
でもコナン・ドイル、アルフレッド・ウォーレス、オリバー・ロッジなどなど当時の学者、有識者はこの手の研究に興味津々だったので、クルックスだけがトンデモってわけではありません。
【5】底にフェルトを貼る
以上転載・加筆修正記事でした。
さて、このラジオメーター。我が家のあちこちを転々としてきました。ある時は窓際に、ある時は温室に、ある時は寝室のテーブルに……。でも終の棲家として旦那様バーのテーブルにインテリアとして飾ることにしました。でもそのままだとつまらないので、ディーゼルパンク風にリメイクしてみたのです。
【6】完成!
完成! 金色のギアと黒鉄のコントラストがカッコいいですね。ラジオメーターは電力で動いているわけではないので、コードもなくスッキリしています。土台は木製なので見た目よりはずいぶん軽く感じます。
天気管と並べて飾ってみました
前回ご紹介しました天気管(Storm Glass)と同じデザインにしましたよ。そして前々回の記事のフロアスタンドライトで光を当てています。薄暗いバーでクルクルと回り続けるラジオメーター。いつも思いますが、光で動き出すなんてなんだか生き物のようで愛らしいガジェットですね。(2019年12月12日制作)
【蒸気夫人(マダムスチーム)】