ビーチコーミングというのは、浜辺に落ちているものを拾い集める遊びのことです。浜辺で見つけた美しい貝殻や珊瑚やおみやげ屋さんで入手した貝を、博物学的に飾ってみませんか?
ヴィクトリア朝の人々が熱狂した「博物学」
ヴィクトリア朝の人々の間で大流行していたのが「博物学」です。老いも若きも、貴族も労働者階級も、男も女も、あらゆる人々が熱中しました。
彼らの家の中は、押し花のスクラップや蝶の標本など博物的蒐集物であふれました。海岸では網やバケツを持った男女でいっぱいだったほどと言います。子供でさえ、花のラテン語の学名をスラスラと口にしたというのだから驚きですね。
旅の思い出を標本に
当時の人は旅行先で見つけた草花や、海岸で拾ったりした貝や珊瑚にラベルをつけたり、分類したりして楽しんだみたいですよ。私たちもヴィクトリア朝の人々にならって、旅の思い出を標本にしてみようではありませんか。(※)
【1】貝の下ごしらえをする
おみやげ屋さんで入手した貝はそのままで良いのですが、拾った貝はよく洗浄して乾燥させてから使います。もし貝の軟体部(貝の体の本体)が入ったままの場合は、まず貝をお湯でゆでて軟体部をピンセットなどで取り除いてから使いましょう。
【2】木のつまみにカシメを接着
木製のつまみを用意します。つまみは家具の取っ手部分で、ホームセンターや東急ハンズなどで手に入ります。つまみにドリルで穴をあけて、カシメを入れて接着します。
【3】つまみに真鍮棒を差し込む
つまみの頂点にもドリルで穴をあけて、直径3ミリほどの真鍮棒を差し込みます。穴の部分を隠すように内径3ミリのハトメを通して接着します。
【4】金色に塗装
下地剤(サーフェサー)を吹いてから、金色のラッカースプレーで塗装します。
【5】木の大きさに合わせて飾り台を選ぶ
貝の大きさに合わせて木製の台を用意します。小さめの貝は一辺が6センチの正方形の飾り台を使いました。
【6】飾り台の表面を整える
塗装の前にサンドペーパーでささくれをとって表面を整えます。
【7】飾り台をステインで着色
木製のステイン(着色剤)で飾り台を塗装します。マホガニーブラウン色を使いました。
【8】表面にニスを塗る
ステインが乾いたら、水性ニスを塗ります。スプレーでも筆塗りでも良いです。
【9】貝に穴をあける
貝の底にルーターで穴を開けます。最初は1ミリ以下の細いドリル刃を使って、徐々に穴を大きくし、最終的に真鍮棒が通る大きさにします。
【10】スタンピングリーフでラベルを作る
黒い色画用紙に、貝の和名・学名・採取地・日付などを書いたラベルを印刷します。拾った貝や珊瑚の同定は難しいので、ひょっとしたら間違っているかもしれませんが……。金色のスタンピングリーフをアイロン転写して、金文字のラベルが出来ました。
【11】厚紙でラベルを補強する
印刷したラベルを切り離し、同じ大きさの2ミリの厚紙に貼ります。背面にも黒の色画用紙を貼り、側面はマジックで黒く塗りました。
【12】ラベルにニスを塗る
ラベルの上に水性のニスを塗ります。
【13】飾り台につまみ、貝、ラベルを接着する
飾り台に金色に塗装したつまみを接着します。真鍮棒に貝を通して接着剤で固定します。黒いラベルは木製台の前面にグルーガンでつけました。
【14】飾り台の底にフェルトを貼る
木製台の裏にフェルトを貼ってピッタリの大きさに切ります。
【15】完成!
出来上がり! 標本台をつけると、単に貝殻をそのまま飾っておくよりずいぶん見栄えがしますよ。
補足:真鍮線でとめる方法
珊瑚など棒に突き刺して飾るのが難しいものは、木製の飾り台にドリルで穴をあけて真鍮線でとめて飾りましょう。2、3ヶ所で固定すればガッチリとまります。
ビーチコーミングを楽しみましょう
ビーチコーミングでは貝だけでなく、カニやウニの殻、魚や鳥の骨の他、海外から流れ着いたユニークなゴミ、木の実などいろんなものが見つかります。無料で手に入れられる思い出のコレクションをぜひ飾ってみましょう。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
関連商品・参考文献
- 貝殻など標本にするもの
- 木製の飾り台
- 真鍮棒
- カシメ・ハトメ
- 色画用紙(黒)
- 厚紙
- 水性ニス
- 木製用ステイン(マホガニー色)
- 工作道具一式
- 塗装道具一式