キネティックアートとは、物理的に動くアート作品。テクノロジーとアートが融合した新しいタイプの芸術作品です。学研『大人の科学マガジン』ふろくのミニ・ビーストを作ってみました。
キネティックアートとは何か?
キネティックアートにおいて、現在最も注目を集めているのが、オランダ人芸術家のテオ・ヤンセン(1948〜)氏です。
風を受けるとまるで生物のように複雑な動きを見せる巨大なストランドビースト。ヤンセン氏は20年ほど前からプラスチックチューブを使って巨大なビーストを作り続けています。
動画で見るストランドビースト
これはストランドビースト(Strandbeast)。まるで生き物のようですね! こんな巨大なものが風力で動いているなんて感動を覚えます。
大人の科学マガジン『テオ・ヤンセンのミニビースト』
学研の『大人の科学マガジン』30号の特集はテオ・ヤンセン。ヤンセン氏のビーストを、小型の模型キット『テオ・ヤンセンのミニビースト』(定価3,500円)として発売してくれたんです。スチームパンク趣味をお持ちの方ならきっとお好きなはず。
動画で見るミニ・ビーストの動き
ミニ・ビーストの動きを見ていただきましょう。風が強い日に庭で撮影しました。地面があまり平坦ではないのに、結構なめらかに動くでしょう? (最後に映っているのは愛犬のシュガー。犬もビーストに興味津々)
【1】ランナーから部品を切り離す
ではではキットを組み立ててみましょう。本誌に組み立て方と使い方のページがあります。箱の中に袋詰めされた部品がみっしり入っていますね。ランナーでつながっていますので、丁寧に切り離します。
できればやすりもほしい
必要な道具は「はさみ、カッターなど」と書かれていますが、やすりもあった方がきれいに作ることができます。
【2】バリとり
ランナーからパキッと部品を折り取ると、赤い矢印のような「バリ」が残ってしまいます。これをやすりで取っておくと出来上がりがより美しくなります。
【3】部品組み立て
部品が多いので工作が苦手な人はちょっと尻込みしてしまうかもしれません。でも大丈夫。説明書きがとても丁寧だし、たぶん小学校高学年ぐらいの子なら完成させることができると思います。
見た目ほど難しくはない
同じパーツをいくつも作るので、最初だけややこしいですが一度要領が得られるとサクサクと組み立てが進みます。ジグソーパズルみたいで楽しい!
メカメカしい説明書きも良し
説明書きにあるクランク、ロッド、シャフト、フレームといった言葉にワクワクします。どっちかというとビーストにグッと来るのは男性が多いようですが、こんな素敵メカを男性だけのものにしておくのはもったいない。女性諸君もぜひ挑戦していただきたいです。
【4】完成
完成! 作業時間は1時間半ほどでした。思ったよりも簡単にできました。
ミニ・ビーストの手動の動き
ミニ・ビーストは風だけでなく、付属の回転シャフトで動かすことができます。お尻のところにシャフトを挿し込んでクルクル回すと、スピードを自由に調整して動かせます。わっしわっしと脚を動かしているところがなんとも可愛い。生きているみたいですね。
【5】カスタマイズ
ここで完成でも良いけど、『大人の科学マガジン』にはミニビーストの様々な改造方法が載っています。複数個連結させたり、LEDのライトを仕込んだり、ゴム動力や太陽電池で動かしてみたり……。そこで私は簡単にスチームパンクなゴールドの羽をつけてみました。
【6】真鍮の針金で羽を作る
真鍮の針金をラジオペンチで曲げて、関節部分に差し込みます。針金はあとで取ることもできるようにマスキングテープで脚に巻きつけます。針金はすべて同じ角度に曲げて、他の脚や関節に接触しないようにします。切り抜いたメタリックペーパーをセロテープで針金に接着してできあがり。
ちょっとだけスチームパンク?
扇子であおいで風をあててみました。室内で撮影しましたが、太陽の元で歩かせるとキラキラと光を反射してきれいですよ。いろいろとカスタマイズしてあなただけのミニ・ビーストを楽しんでみてくださいね。
頭脳を持つまでに進化
ヤンセン氏のビーストはこの20年でさらに進化し、今や地面に垂れたホース(ウレタンチューブ)の感触器で水を察知して方向転換する「考えるビースト」になっています。過去に水を感知した記憶を用いて、水際前でストップすることもできるそうですよ。ミニ・ビーストを可愛いいな、けなげだなと思うのは私だけではないはず。機械を愛でる心がある方にぜひお勧めしたいメカです。【蒸気夫人(マダムスチーム)】