理科趣味的な味わいのあるヒヤシンスの育て方(水栽培)の解説です。観察日記の写真、成長のタイムラプス動画もあります。あなたの毎日に小さなワンダーを提供してくれますよ。
4ヶ月も楽しめる冬の園芸
小学生の頃、理科の授業で水栽培をしたことがあるという方もいらっしゃるでしょうね。私も理科室に並んだ球根のガラス容器を思い出します。切花はせいぜい1週間ほどですが、ヒヤシンスは育て始めから花の終わりまで4ヶ月も楽しむことができますよ。
美青年の名にふさわしい可憐な花
我が家では毎年ヒヤシンスの水耕栽培を行なっています。去年は青色と白のヒヤシンスでした。ヒヤシンスには赤や黄色など様々な花色があります。ギリシア神話の美少年ヒアキントスから名付けられたように、可憐で繊細な小花が集まっています。花言葉は、遊戯、スポーツ、悲哀、しとやかさ……。
【1日目】容器選び
さあ、ヒアシンス水耕栽培の第1日目です。ヒヤシンスの水栽培は10月下旬〜11月初旬に始めます。まずは容器選び。プラスチックの水栽培容器もありますが、ノスタルジックな理科趣味ならガラス製がいいですね。プラスチックよりはややお値段が高いですが、劣化が少なく何年も使うことができます。
良い球根の選び方
次に球根選び。私はネットで購入しましたが、ホームセンターや園芸品店でひとつ数百円で手に入ります。「水栽培用」として売られているものもありますが、若干球根が大きいぐらいで特に土植え用と違っていることはありません。できるだけ実がしっかりしていて、ずっしりと重いものを選ぶと良いですよ。
【1日目】水を入れる
ガラス容器に球根を置いて水を入れます。水は球根の底にギリギリ触るぐらい入れましょう。なお、水は1週間に1度取り替える必要があります。「毎週●曜日」などと決めて、忘れずに入れ替えます。「水」の日として水曜日が覚えやすいですね。
【1日目】冷蔵庫に入れる
秋植えのヒヤシンスは、一時的に気温が低くなることで花をつける性質があります。水栽培をスタートした時点で十分気温が低ければ良いのですが、暖冬の場合は1ヶ月ほど冷蔵庫に入れて育てる必要があります。擬似的に冬を体験させておくんですね。また土の中は暗いですから、扉が閉まっていて電気が消えた状態の冷蔵庫はうってつけの環境なのです。これで1日目の作業は終了。
【7日目】根が伸びてきた
冷蔵庫に入れて7日が経ちました。ちょこっと根が伸びて来ましたよ。球根が目覚め始めた証拠です。
【14日目】 根がたくさん出てきた
14日目。根がわさわさと出て来ました。1センチほどに伸びました。
【21日目】水位を下げる
21日目。根は2センチ〜5センチほどになりました。根が伸びるにつれて水の水位を下げます。根が全部水に浸っていると腐ってしまいますから注意してください。
【28日目】冷蔵庫から出す
28日目。約1ヶ月経ちました。球根の頭のところから小さな緑の芽が出て来ましたよ。芽が出始めたら冷蔵庫から出して大丈夫です。ガラス容器を室内の日の当たる窓辺に置きます。暖房が効いている部屋なら、ベランダの方が良いです。根の長さは5センチ〜10センチに。
【35日目】芽が成長する
35日目。芽が少しずつ成長しています。一つの球根からは、側面からも芽が出てきました。
【42日目】さらに芽が成長する
42日目。ニョキニョキ芽と根が成長しています。
【49日目】もっと芽が成長する
49日目。日当たりが良くなるよう、ガラス容器は時々位置を変えています。芽の高さは2センチ。
【56日目】花のつぼみが出てきた
56日目。おや、一つの球根の芽の間に花のつぼみが見えて来ました。みっしりと小花のつぼみが集まっています。
【63日目】他の球根にもつぼみが
63日目。他の球根にも花のつぼみが出て来ました。
【70日目】つぼみが開花
70日目。つぼみの一つが開花しました。淡桃色でかわいい。
【73日目〜77日目】タイムラプス撮影
私の愛用しているPENTAX WG2というカメラには、タイムラプス動画(インターバル撮影)モードがあります。時間間隔を開けて撮影した静止画を、連続して動画にしてくれる機能です。三脚にカメラを固定して、「30分おきに1枚、4日間撮影」の設定にしてみました。周りには暗くなると自動点灯するLEDライトを設置。
動画で見るヒヤシンスの開花
30秒ほどのヒヤシンスの開花・タイムラプス動画です。花がぐんぐん伸びていく様子がご覧いただけますよ。押し出されるように花が開いていきます。初めて撮影したタイムラプスですが、なかなか面白い動画になりました。
【84日目】茎が伸びる
84日目。ヒヤシンスはまず下の方で花が咲いて、その花が茎の成長によって上方向にぐーっと上がっていくような成長の仕方をします。この時期には茎が勢い良く伸びていくので、毎朝見るのが楽しみになります。
【91日目】ヒヤシンス最盛期
91日目。3ヶ月目がヒヤシンスの最盛期です。小花がびっしりと咲いて目にも華やか。花の香りも部屋いっぱいに広がります。
【98日目】花がしおれてきた
98日目。最初に咲いたヒヤシンスは花がしおれてきてしまいました。このようになったら、早めに茎を切って次の花を咲かせるようにしましょう。
【98日目】茎を切る
葉を傷つけないように、茎の根元をハサミで切ります。この時点で球根の栄養分はかなりなくなってしまっていますが、余力で第二、第三の花を咲かせることができるかもしれません。この球根はもうひとつ葉と芽が出始めていますので花が咲くかも。
【105日目】第二花が咲く
105日目。3つとも球根の第一花を切ったところ、第二花が咲き始めました。でもやはり養分が少ないのか小花はまばら。でもヒヤシンスの爽やかな香りが漂っていますよ。
【112日目】第三花が咲く
112日目。水栽培を始めて4ヶ月が経ちました。第三花も咲いていますがそろそろ限界かもしれません。ヒヤシンスよ、よく頑張った。長い間癒してくれてありがとう。
【119日目】花が咲き終わったら土に植える
花が咲き終わった後のことです。もう球根には養分が残っていないので、来年花を咲かせることは難しいかもしれません。でも運が良ければなんとか持ちこたえてくれるでしょう。
日当たりの良い場所に、30センチほどの穴を掘って水をひたひたに入れます。根を切らないようにそっと球根を入れて土を足して植えます。2週間後ぐらいに薄めた肥料をまいて、あとはまた咲きますようにと祈るのみです。
生命の素晴らしさを体験できる4ヶ月
冬の間はずっと部屋中にヒヤシンスの良い匂いが漂うので、自然のフレグランスとしてもお勧めです。4ヶ月の間毎日生命の素晴らしさを見せてもらえる貴重な体験になりますよ。秋にはぜひチャレンジしてみてくださいね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
追記:2015年03月21日
2年前、水栽培後に植えたヒヤシンスの球根の花が咲きました。1年後の春は花が咲かなかったので諦めていましたが、2年後には開花して嬉しかったです。球根が再び養分を蓄えるのに2年かかったんですね。本当に植物の生命力は素晴らしいです。