ティーポットの中で『不思議の国のアリス』のアリス、マッドハッター、三月兎、ネムリネズミがお茶会をしています。「ティーポットの中のお茶会」という入れ子のようなテラリウムです。
有名な気違いお茶会のシーン
たぶん『不思議の国のアリス』で最も有名なシーンではないでしょうか。当時使われていた「帽子屋のように頭がおかしい(as mad as a hatter)」という言い回しから作られた気違い帽子屋、同じく「三月兎ののように狂っている(as mad as a March hare)」からの三月兎。何から何までおかしい気違いお茶会に、アリスも面食らっていますよ。
頭の麦わらは「頭がおかしい人」の意味
ジョン・テニエルの挿絵では、三月兎は頭に何かつけていますね。これは麦わらで、当時は頭に麦わらをつけているのは頭がおかしい人を表していました。シェイクスピアの『ハムレット』でも、発狂したオフィーリアを演じた女優は麦わらを頭に飾っていたそうです。
ティーポットに詰め込まれるネムリネズミ
眠たげなネムリネズミ (dormouse) はヤマネのことだとも言われています。この後ネムリネズミは帽子屋と三月兎にティーポットに詰め込まれてしまいます。かわいそうに!
でもヴィクトリア朝ではヤマネをティーポットに入れて飼ったり、ティーポットに入れたヤマネを人にプレゼントしていたんですって。
【1】背丈の高いガラスティーポットを用意
テラリウムの容器にはこのガラスティーポットを使いました。苔だけのテラリウムの場合は浅い容器でも大丈夫ですが、観葉植物を入れるテラリウムは石、水苔、土などいくつもの層を作るのでなるべく背の高い容器が向いています。その方が根もしっかり張れますしね。
【2】ミリオンAを入れる
根腐れ防止剤(ミリオンA)を底に適量入れます。これがあると水が腐りにくくなるので、テラリウムの植物を長期間生育しやすくなります。100グラム入りでテラリウムを数十個は作れます。切り花の水や普通の鉢植えの底に入れたりできますので一袋あると便利です。ミリオンAの代わりに活性炭を入れても構いません。
【3】小石を入れる
水の濾過のために小石を入れます。まず直径1〜1.5cmほどの石、次に1cm以下の小石を入れます。石の層は2〜3cmほどにします。石の色をそろえると見た目も良いですね。
【4】水苔と培養土を入れる
熱湯で戻した水苔をしっかり絞って小石の層の上に1cmほど敷きます。これは土が石の間に入り込まないためです。熱湯を使うと、水苔に混入している虫の卵や雑菌を消毒できますよ。くれぐれもやけどにご注意を。
水苔の層の上には培養土を入れます。普通の観葉植物用の土でも構いませんが、ガラス容器の場合側面から土の層が見えるため、真っ黒で粒上になっている水草育成用土(水草一番サンド)が美しくてお勧めです。植物の育成に必要な養分や薬剤も入っていますので手間がかかりません。層の厚さは2〜3cmです。
【5】苔のレイアウトを決める
苔をざっとレイアウトしてみました。今回使用した苔は
アラハシラガゴケ
スナゴケ
ハイゴケ
の三種類です。
【7】ポットの国のアリス完成!
また水槽レイアウト用の石など入れるとアクセントになりますよ。私は縞模様が美しい紫光石を選びました。さあ「ティーポットの国のアリス」のテラリウムが完成!
気違い帽子屋についてのトリビア
映画版ではジョニー・デップが演じていた気違い帽子屋。ヴィクトリア朝の英国では、帽子作りに水銀を使用していました。そのため水銀の蒸気を吸って水銀中毒になる帽子屋が続出。水銀中毒になると幻覚症状が出たり、錯乱状態になることもあります。だから本当に頭がおかしくなってしまった帽子屋さんがたくさんいたんですね。なんともブラックなお話です。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
参考文献
- フィギュア
- ガラス瓶(なるべく高さのあるもの)
- ミリオンA(または活性炭)
- 小石
- 乾燥水苔
- ミニ観葉植物各種
- 観葉植物用の土または水草用の土(水草一番サンド)
- コケ各種
- 箸かピンセット
- ステンレス釘
- ホットボンド
- 印刷用紙
- 透明ニス
- 霧吹き
- 剪定用のハサミ(水槽用の長いハサミ)