メカニカルな造形はもちろん鍵には「秘密」の香りがして惹きつけられます。鍵と錠前(じょうまえ)の歴史と鍵束・シャタレインについて。アンティークなキーカバーもご紹介します。
鍵の歴史と文化
辞書を引くと「鍵とは錠を開閉するための金属の器具」とあります。紀元前2000年頃のエジプトの寺院の壁画から古代エジプト人は歯ブラシ型の木製の鍵を使っていたことが分かっています。これが世界最古の鍵です。
ドイツでは鍵はおまもりとしても使われた
「閉ざされたものを開く」という目的から、ドイツでは昔より妊婦が鍵を持っているとつわりやお産が軽くなると考えられていたり、ゆりかごに鍵を入れておくと妖魔に赤ちゃんと魔物をすりかえられないですむと言われていました。
世界各国の魔除けとしての鍵
他にもギリシア、イタリア、フランス、ドイツ、ハンガリーなどヨーロッパ諸国には鍵が天災や病気、鎮火のまじない、悪魔よけとして使われていました。中国や韓国でも鍵をお守りとして身につける風習があるそうですよ。今でもアクセサリーとして鍵のモチーフは人気ですよね。
錠前の複雑な機構は魅力的
一方鍵によって開閉する錠前。金属のパーツが組み合わさった複雑な機構はとても魅力的。特にそれがアンティークな真鍮製ならなおさらです。
読者の方より「お宅を大改造なさるのなら、ぜひ鍵と扉の錠にもこだわってみてください」というメールをいただきました。でもすでに扉に設置してある錠前を取り替えるのは難儀です。そこで今回は簡単に、錠の方でなく鍵を変えてみることにしました。
コッポラ監督の映画『秘密の花園』
ところでフランシス・F・コッポラ制作総指揮の『秘密の花園』をご覧になったことはありますか? バーネット原作の映画化です。子どもの頃リライトされたこの児童文学作品を読んだことがある方もいらっしゃるでしょうね。
美しい風景と愛らしいメイド
美しい田園風景、豪華な伯爵の屋敷、演技の達者な子役たちなど見所満載の映画。でもなんと言っても登場する少女メイドのマーサが、本当に本当に素直可憐で可愛らしいんですよ。毎回登場するたびに変わるエプロン姿に頬が緩みます。ああ、こんなメイドさんがうちにいてくれたらなあ。
鍵束に注目
映画の中でやっているおっかないメイド頭をマギー・スミスが演じています。ハリーポッターのマクゴナガル先生役の方です。彼女は屋敷の部屋の鍵を腰にじゃじゃらとぶら下げています。この鍵束をシャタレイン(chatelaine)と言います。館の女主や、メイド長がこのシャタレインを身に着けていました。
昔の下っ端メイドはこのじゃらじゃらを聞くと雷を落とされないように気を引き締めたそうですよ。
鍵カバーでアンティーク風に
私もあんな鍵束が欲しい。でも現代の鍵はステンレスのフツーの形でなんか味気ないなんですよね。そこでアンティークな鍵カバーを購入しました。金属製でなかなか重厚感があります。
鍵カバーの取り付け方
取り付け方です。専用ドライバーでねじをはずして鍵を挟み込み、ねじを締めるだけ。鍵によっては取り付けられないものもあるのでサイズに気をつけてください。小さい鍵でぐらぐらする場合には、フエルトを切って挟み込めばがっちり止まります。
細かいところもレトロに
シルバーや、ゴールドのエンブレム、クラウン型、ハート型もあるみたいです。これを真鍮のリングに取り付ければ、昔の鍵束のよう。細部にまでこだわりたいというレトロ趣味なあなたにお勧めです。【蒸気夫人(マダムスチーム)】