一日の仕事を終えてオイルランプの明かりを灯すと、今日の疲れがすーっと消えていくような気持ちがしますね。炎は人の心を和ませる力があります。灯りの歴史とオイルランプについて。
人類の歴史と明かりの変遷
松明に始まって、ロウソク、ランプ、ガス、白熱灯、蛍光灯、そしてLED──と明かりは人類の進歩の歴史とともにありました。最近消費電力の高い白熱灯の製造中止を決定するメーカが増えましたが、その一方で寿命が数万時間もあるLED電球が普及し始めました。私が老人になるころには、また全く新しいタイプの照明が人気になるのかもしれませんね。
ビクトリア時代の照明
ヴィクトリア朝に使われた明かりの主役はろうそくやオイルランプでした。18世紀後半には石炭ガスの明かりが発明されましたが、庶民の家にガス灯が普及したのはもっと後の19世紀後半になってからです。そして20世紀初めからは電気の時代に。ヴィクトリア朝の普通の人々にとっては、オイルランプこそ最も身近で便利な明かりだったのでしょう。
オイルランプの構造
オイルランプは、オイルをいれてあるタンク部分(ガラスの瓶)、ロープの芯、口金でできています。芯となるロープがオイルに浸してあり、毛細管現象(毛管現象)によって吸い上げられたオイルが熱で気化され燃焼します。
ヴィクトリア朝では、鯨油・菜種油がよく使われていましたが、19世紀半ばに原油から生成されたパラフィンオイルが発明され、以後主流になりました。
オイルランプに使われるオイル
現在のオイルランプに使われる燃料に、ホワイトガソリン、灯油などがあります。ホワイトガソリンはバーベキューなどの燃料にも使われますが、揮発性と着火性が高いので家庭用のオイルランプには向いていません。また石油ストーブに使われる灯油は少し臭いがあるので、これもオイルランプには不向きです。
最も適したパラフィンオイル
パラフィンオイルは引火点が高いため安全で、臭いもほとんどありませんから、家庭で楽しむオイルランプに最適です。私の使っているものは香り付けがしてあるので、火をともすとほんのりバラの香りが漂います。予備のオイルはフラスコの中に入れて保存していますよ。
オイルランプの火のともし方
明かりをつけるときにはホヤ(ガラスの部分)を取り外して、芯に炎を近づけます。ムードを大切にしたい方は、昔ながらのレトロなマッチで。面倒な方はライターでどうぞ。火の取り扱いにはくれぐれもご注意を。また火をつけた後のホヤは熱くなっていますからやけどしないように。
灯りの強さを調節するには
オイルランプの明かりは口金の部分にある絞りで調節します。これを回して芯を多く出すと明かりが大きく(明るく)なり、芯を少なくすると明かりが小さく(暗く)なります。あまり出しすぎると危険です。私のランプはタンクにオイルが8分目ほど入っている状態で、だいたい6時間ぐらい明かりが灯り続けます。
真鍮の反射板は明るさを増幅するためのもの
このランプには後ろに真鍮の反射板がついています。炎の明かりを反射させて明るさを増すためのものです。でも劇的に明るくはなりませんので、飾り的な要素ぐらいに考えた方が良いでしょうね。芯は長時間使用していると燃えて短くなりますが、ランプを扱っているお店ではたいてい芯も別売りしてますからご安心を。
現代は明るすぎる
私は現代はどこもかしこも明るすぎると感じています。深夜に青白い光を放つコンビニ、蛍光灯がびっしり天井に埋まっているオフィス、ギラギラした街のネオン。こういったあまりにも強い光に、くたびれてしまうことってありませんか?
LEDでも黄色い光が人気
家を建てた時に、設計士さんから「白熱灯は生産中止で今後手に入りにくくなる経済的だから」とLED電球を勧められました。でも同じLEDでも青白い光のものより電球色LEDの方が人気なんだそうです。仕事を終えて家に帰ったら、暖かい光に癒されたいという方が多いんでしょうね。
夜寝る前の10分ほどでも部屋の電気を消して、オイルランプの黄色い光にほっとしてみませんか?──でも、くれぐれもちゃんと火を消してから寝てくださいね!【蒸気夫人(マダムスチーム)】