ホームズの家を実現するために必要不可欠な家具が暖炉です。21世紀の暖炉オプティミストは水蒸気によって炎を再現する画期的な製品です。我が家のリアルな蒸気式暖炉をご紹介します。
だが、そのわたしでさえ、限度はある。葉巻を石炭バケツの中にしまったり、パイプ煙草をペルシャ・スリッパのつま先に入れたり、返事を出していない手紙を木製マントルピースの真ん中にジャックナイフで刺しておいたりする男を見れば、文句のひとつも言いたくなるというものだ。
シャーロック・ホームズ物語の暖炉
シャーロック・ホームズ物語を読んでいると、しばしば暖炉が登場します。『マスグレイヴ家の儀式書』ではマントルピースに手紙を刺しておくというホームズの癖が紹介されていますし『青いガーネット』では、訪ねてきた男を「火のそばが一番だ」と暖炉に促したり、『まだらの紐』ではロイロットが暖炉のそばの火かき棒をねじ曲げたりしています。
使っていくうちに前の暖炉に不満が……
以前作った書斎にも暖炉はありました。気に入ってはいたのですが、後付で電気暖炉を購入したのでデザインがちぐはぐな感じがしていました。また電気暖炉の炎は近くで見るとライトで作られた偽物だと分かってしまうのもやや残念に感じていました。

薪やガスの暖炉は無理
今回のリフォームでは、まず暖炉ありきで部屋の設計を考えました。ただしガスや薪を使った暖炉はリビングに設置できる場所がありませんでした。そこでもっとリアルな電気暖炉がないかと、半年前からあちこち探し回りました。
ディンプレックスの最新式電気暖炉
そしてとうとう見つけました! 従来の電気式暖炉からはるかに進化したDimplex社の最新暖炉オプティミスト Optimystです! ディンプレックス社は世界最大の電気暖房器メーカー。以前購入した電気暖炉も同じディンプレックスの製品ですが、オプティミストは水蒸気を使って本物そっくりの炎を再現しているのです。
【動画】スーパーリアルな炎の電気暖炉
まずは動画でどれだけ本物そっくりなのかをご覧ください。引出しを開けると水を入れるタンクが格納されています。右側にスイッチ。炎(水蒸気)の大きさもターンスイッチで調節できます。もちろん見た目だけでなく、温風も噴出すようになっていますので暖房機として使えます。
1/fゆらぎを実現する水蒸気の炎
オプティミストの炎は、水タンクから発生した水蒸気を下からハロゲンランプで照らすことで作られます。従来の電気暖炉はモーターに取り付けられたライトで炎を再現していたので、動きが一定でした。しかし水蒸気のゆらめきは、炎のゆらぎと同じく完全にランダム。この1/fのゆらぎが心を落ち着かせるのです。
コンセント一つあれば設置可能
暖炉を設置する場所は矢印の部分。薪式、ガス式では煙突や配管設備が必要ですが、電気式なのでコンセントだけあればOK。壁をベニヤで補強して、ちょうどすっぽりオプティミストが入る穴を開けてもらいました。
暖炉の隣の穴は隠し扉
隣にあいている穴は、ブルーレイ、DVDプレイヤーなどAV機器とゲーム機器を格納するための棚です。ここは腰壁に溶けこむようにデザインされた隠し扉になっています。隠し扉のことはテレビ周りについての記事に詳しく書きますね。

おなじみアーティストリーさんに制作依頼
マントルピースが設置されました。このマントルピースも、腰壁や収納棚と同じく、職人集団のアーティストリーさんに制作を依頼しました。以前の書斎のマントルピースもアーティストリーさんに作ってもらったものだったので、今回のデザインの打ち合わせもすんなり運びました。

耐火レンガに火かき棒、ファイヤースクリーン
マントルピースの下の部分には本物の暖炉のように耐火レンガを貼ってもらいました。ここには以前から使用している火かき棒や火バサミのセット、ファイヤースクリーンを置きます。電気式だから炭の手入れの道具は必要ないんですけどね。
マントルピースの上には動く絵画
マントルピースの上に薄型テレビが設置されました。テレビはホームズの時代にはもちろん存在していませんが、当時はマントルピースの上には鏡(『鏡の国のアリス』は暖炉の上の大鏡を抜けて鏡の国に行くのでしたね)や絵画が飾られていました。テレビは昔の絵画の代わりですね。

蒸気式暖炉オプティミストを設置
オプティミストが設置されました。タンクに水を入れて初めて電源を入れた時には本当に感激しました。近くで見ても本物の炎にしか見えません。
セット販売のマントルピースは背が高すぎる
ディンプレックスでは電気暖炉とセット販売されているマントルピースがあります。でもなぜわざわざ特注したのかというと、セット販売のものはどれも背丈が高いマントルピースしかなかったからです。マントルピースが高いとテレビも上の方に取り付けねばならず、見上げるようにしてテレビを見なければなりません。そこでぎりぎりの低さで作ってもらったのです。
現在の暖炉の様子
現在の暖炉周りです。普段はファイヤースクリーンと火かき棒セットを置いています。どちらもオークションで入手した19世紀末のイギリスのもの。ファイヤースクリーンは火の粉が飛ぶのを防ぐためのついたてですが、電気暖炉では必要ありません。これも火かき棒セットと同様、ホームズの部屋を再現するための小道具です。
安全でクリーンな電気暖炉
電気式暖炉は薪やガスの暖炉よりもクリーンで安全。我が家のように犬を飼っていたり、小さいお子さんのいらっしゃる方にお勧めです。前の書斎と同じく今回も、愛犬のシュガーに暖炉の前の特等席を取られてしまいました。現在では毎晩暖炉の炎に癒やされつつ、毎晩のように映画を楽しんでいますよ。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
