模型キットで作ろう! 鳩の形のレトロ軍用機・エトリッヒ・タウベ

エトリッヒ・タウベ
まるで鳥のような形をしているでしょう? これはタウベ(Etrich Taube)という軍用飛行機です。この模型飛行機の制作レポートと共に、タウベについてご紹介します。

ディーゼルパンクの雰囲気たっぷりのタウベ

エトリッヒ・タウベ
スチームパンクは一般的に第一次世界大戦前までの世界観がメインです。タウベはディーゼルパンク時代のものですね。でも鳥のような形状が現代の飛行機にはないノスタルジックな雰囲気を醸していますので、記事で取り上げてみることにしました。

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第一次世界大戦時の軍用機

エトリッヒ・タウベ

Photo credit: Hawkeye UK via Visual hunt / CC BY-SA

タウベ(Etrich Taube)は第一次世界大戦で活躍した軍用機です。オーストリアの設計者のイゴー・エトリッヒにより1910年(明治43年)に開発されました。見た目が鳩(ドイツ語で”Taube”)に似ているので、そう名付けられました。

タウベの歴史

エトリッヒ・タウベ

Photo credit: Cat Sidh via Visual Hunt / CC BY

当初イゴー・エトリッヒはドイツのルンプラー社と契約していたのですが、ルンプラ-社は契約を無視して勝手に大量生産しました。怒ったエトリッヒ社は特許を放棄してしまいました。

そのおかげでアルバトロス、アルバース、DFWゴータ、ハルバーシュタット、LVG、ローランド、スタヘルツなど世界中の会社でこの形の飛行機が生産されました。タウベはいろんなバージョンがあるんですが、今回作ったのはエトリッヒのタウベです。

1915年には引退

エトリッヒ・タウベ

Photo credit: Jacob Surland via Visual hunt / CC BY-NC

タウベは戦争に使われた最初の飛行機です。第一次大戦の初期、ドイツ軍の持っていた軍用機の半分近くがタウベでした。タウベは青島戦では日本軍の「モ式」と戦っています。

タウベは飛行安定性はとても良かったのですが運動性が悪かったため、1915年(大正4年)には引退してしまいました。それにしても平和の「鳩」が戦争に使われるのは残念な気持ちがしますね。

模型キットで作ってみよう!

エトリッヒ・タウベ
今回の木製模型はこのような模型キットで作りました。日本製で「DOM trading Co.」とはあるものの、パッケージの説明文など全て英語で会社の情報など全く書かれていません。詳しいことはよく分からないのでご存知の方がいらっしゃいましたら情報お伝えください。

白木クラフトの模型飛行機

エトリッヒ・タウベ
ともかく組み立ててみましょう。このような白木の板が4枚入っています。それぞれのパーツは切り込みが入っているので、手で押すと簡単に外れます。でもまだ外さないでくださいね。

【1】パーツに番号を書き込む

エトリッヒ・タウベ
中に入っている説明書を見ながら、同じパーツに番号を振ります。鉛筆などで薄く小さく書くと良いです。全部で100パーツ以上ありました。

【2】パーツを取り外す・ペーパーがけ

エトリッヒ・タウベ
パーツを割ってしまわないように丁寧に板から外していきます。細かい部分を親指の爪で押すようにすると簡単に抜けます。どうしてもバリ(木のささくれ)が出ますので、切り口をサンドペーパーできれいに仕上げます。数字が消えないように注意しましょう。

【3】パーツを並べる

エトリッヒ・タウベ
パーツを全部外しました。形別に並べておきます。番号の若い順に並べておくと分かりやすいです。ほとんどのパーツに二つ以上数字が入っているので自分が分かりやすい順番で大丈夫です。

【4】組み立て

エトリッヒ・タウベ
組立作業に移ります。数字の「1」と「1」、「2」と「2」──のように、同じ数字を機械的に合わせて組み立てます。時々パッケージの写真で確認すると良いでしょう。切り込み部分に乾くと透明になる木工用ボンドをはみ出さないよう塗って組み立てます。

【5】組み立て終了!

エトリッヒ・タウベ
組み立て終わりました。ここまでは約2時間ほどです。ジグソーパズルをやってるみたいで楽しいですね。ここで完成でも良いのですが、書斎の雰囲気に合うように塗装と糸張りをします。

【6】塗装1

エトリッヒ・タウベ
塗装は木部用の水性ステインで行います。クラシカルなイメージになるようにマホガニー色を選びました。大量にバケツに入れてジャボンと浸ければ一瞬ですが、私は筆でチマチマ塗りました。塗り終わったら乾燥させます。

【7】塗装2

エトリッヒ・タウベ
左からステイン1回塗り、2回塗り、3回塗り、4回塗りです。色の濃さはお好みでどうぞ。木工用ボンドがはみ出ていて、ステインをはじいてしまう時には、同色のアクリル絵の具で塗って修正しておきます。さらに私は上に水性のウレタンニスを2度塗りしました。このステイン+ニス塗りでだいたい2時間ぐらいかかりました。

【8】ドリル穴あけ

エトリッヒ・タウベ
つぎは糸張り(ローピング)です。設計図を見ながら糸を張る部分を確認し、何本も糸が通る部分にはピンバイスミニドリルで穴をあけておきます。

【9】ローピング1

エトリッヒ・タウベ
お好きな色の糸(今回は黒の木綿糸)を針に通して、ドリルであけた穴に通し、糸を張っていきます。順序は決まっていませんが、なるべく糸を切らずに連続的に張れるように(つまり一筆書きのように)、考えながら糸を通していきます。

【10】ローピング2

エトリッヒ・タウベ
糸の端はピンセットの先でつまみながら、瞬間接着剤で固定していきます。後でぎりぎりのところで切断しますので、糸の端っこははみ出てしまってかまいません。糸がたるませずピンと張れるよう、根気強く接着してください。

【11】仕上げ

エトリッヒ・タウベ
全部糸を貼り終えたらはみ出た糸をハサミやカッターで切ります。

完成!

エトリッヒ・タウベ
完成! 糸を張るのに2時間かかりました。合計6時間。休日の趣味の工作としてはぴったりですね。私はテグスをつけて、天井から吊るしていますよ。飛行機模型は吊るす展示が一番良いですね。

天井にぶら下げてみました

エトリッヒ・タウベ
ソファに座って天井を眺めると、そこには風に揺れるリリエンタールグライダータウベ。空を飛びたくなりますね。同じシリーズでライト兄弟のライトフライヤーも購入したのでそのうちレポートしますね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

リリエンタールグライダー・ドイツ滑空王リリエンタールの空を飛ぶ夢
空を飛ぶことはかつて人類の夢でした。揚力によるグライダー飛行に成功したオットー・リリエンタール、そして彼の発明品であるリリエンタールグライダーについて解説します。

追記:2013年03月20日ライトフライヤー

エトリッヒ・タウベ
タウベを作ってから3年後。ライトフライヤーも作ってみました。以下の記事もぜひご覧ください。

週末2日で完成するホビー・白木のライトフライヤー号を作ろう!
木製のライトフライヤー号を作ってみませんか? ライト兄弟が1903年に有人飛行を成功させた記念すべき飛行機です。白木クラフト工作はたった2日で完成させることができますよ。

追記:2017年10月4日カティーサーク

白木クラフトのカティーサーク号
さらにライトフライヤーを作ってから4年後。カティーサーク号も作ってみました。以下の記事もぜひご覧ください。

白木クラフトキットで作ろう! カティーサーク号の木製模型
カティーサークは19世紀のイギリスの帆船です。中国から英国まで紅茶を運ぶティークリッパーと呼ばれた船。温室の装飾用に優雅で美しいカティーサーク号の木製模型を作ってみました。

追記:2019年5月22日ゴールデンハインド

ゴールデンハインド
さらにライトフライヤーを作ってから8年後。ゴールデンハインド号も作ってみました。以下の記事もぜひご覧ください。

大海のロマン! 白木クラフト・ゴールデンハインド号を組み立てました
我が家蒸気邸の玄関の帆船模型・ゴールデンハインド。スチームパンク時代よりもずいぶん前の16世紀の船ですが、ある理由から組み立てて飾ることにしました。大海原へ向けてようそろー!

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