木製のライトフライヤー号を作ってみませんか? ライト兄弟が1903年に有人飛行を成功させた記念すべき飛行機です。白木クラフト工作はたった2日で完成させることができますよ。
スチームパンクと飛行
スチームパンクの世界では空を飛ぶことは特別な意味を持っています。アビエイター(飛行士)のコスプレをしたスチームパンかーをあなたも見たことがあるでしょう? スチームパンク時代 まっただ中の19世紀末から20世紀初頭の人類の夢が、まさに空を飛ぶことだったからです。

空をとぶ夢に取り憑かれた兄弟
アメリカ人のウィルバーとオービルという二人の兄弟も、幼い頃からの「空を飛ぶ夢」に取り憑かれていました。そして複葉機型のグライダーを作り、ノースカロライナ州のキティホーク近くの砂丘地帯で有人飛行の実験を繰り返しました。そして1903年には動力で飛ぶ飛行機を作り「フライヤー」と命名しました。
世界初の有人動力飛行は36メートル
1903年12月17日。午前10時35分。たった5人の観客の前で、フライヤーは12秒間、36メートルの飛行に成功しました。たった36メートル。でもそれが世界初の有人動力飛行だったのです。4回めの飛行実験では59秒間、259メートルも飛ぶことができました。この兄弟の名は、もちろんみなさんご存知のライト兄弟です。
週末の8時間で作りませんか?
そんな夢とロマンあふれる飛行機・ライトフライヤーを、スチームパンク感たっぷりの木製で作ってみました。難しそう? いえいえ、そんなことはありません。小学生でも根気よく作れば2日で完成させることができますよ。土曜日に4時間、日曜日に4時間、計8時間。週末にチャレンジしてみませんか?
子供の頃から大好きな工作
私が今回購入したのはこの木製工作キット。GENWOOD(ジェンウッド)シリーズの「ライト・フライヤーⅠ」です。以前ご紹介したタウベと同じシリーズです。私は小学生の頃からこの白木クラフトの工作キットが大好きでよく作っていたんですよ。恐竜とか自動車とかね。

【1】キット、道具、材料を用意
箱の中には厚さ5ミリほどの板が6枚と説明書、サンドペーパーが入っています。他に用意するものは、鉛筆、木工用ボンド、糸、瞬間接着剤、カッター、ハサミです。
道具なしでも作れます
木の板にはパーツの形に切り込みが入っています。だから糸ノコやルーターカッターがなくても手で押すだけでパーツ抜きができます。この気楽さが良いですね。
【2】 数字を板に書き写す
最初にパーツがついたままの板を、説明書の番号照合図と同じように並べ、図に書かれた数字を板の同じ場所に鉛筆で書き写します。数字は組み立てた後にはみ出ないように、なるべく小さく薄く書きます。
漏れなく丁寧に書くこと
数字を正しく、同じ位置に書くことが重要です。書き写し漏れがあると後で苦労しますのでしっかり確認。なお数字を書き終わるまで絶対にパーツを抜いてはいけません。似たようなパーツが多くて訳が分からなくなりますからね。番号は80番代までありました。ここまででの作業時間は20分ぐらいです。
【3】板からパーツを抜く
数字を写し終えたら、板からパーツを注意深く抜きます。細かい部分は親指の爪で押すようにすると簡単に抜けます。あせってパーツを割らないように気をつけてください。万が一割れてしまっても、木工用ボンドでくっつきますから大丈夫です。
【4】数字ごとにパーツを分類
パーツは抜きながら、書かれた数字別に分類しておきます。1〜10の山、11〜20の山、21〜30の山……みたいな感じに。ほとんどのパーツには複数の数字が書かれているので、おおよその分類で構いません。
【5】バリをヤスリで削る
もしパーツにバリ(きれいに土台の板から抜けずに、板のギザギザが残っている状態)がある場合は、付属のサンドペーパーで削っておきます。ルーターのヤスリパーツを持っている方はルーターでバリを取り除くと楽です。ここまでで45分が経過しました。
【6】数字を合わせて組み立てる
いよいよ組立。一番楽しい時間です。説明書の写真を参考にしながら、注意深く組み立てます。パーツに書かれた数字を見て、同じ数字どうしの部分を噛みあわせます。たとえば、1と1、2と2……といったように。
組立の順序とボンドつけ
大まかな組立順序は、「機体本体」→「前後尾翼」→「主翼」→「プロペラ」です。立体のジグゾーパズルをやっているみたいで楽しいですね。この時かみ合わせ部分に木工用ボンドを塗っておくと丈夫に組み上がります。ボンドがなくても組立出来ますが、壊れやすいのでできれば接着しておくと良いですね。
【7】組み立て終了
全部のパーツが組み上がりました! ここまでで工作を開始してから2時間が経過。あっという間に出来上がりました。ここで終了すると素朴な雰囲気のライトフライヤー号になりますね。もう少し手を加えたいという方は次の作業にとりかかりましょう。
【8】水性ステインで着色
さて、工作再開。レトロな色に着色する工程です。使うのは木製品を着色するのに使う水性ステインです。水性なので着色も楽。様々な色のステインがありますので、お好きなものを選びます。
塗り方、塗料はなんでもOK
水性なので濃すぎる場合は水で薄めつつブラシで塗っていきます。全体を塗って乾かしたら2度塗り。私は3度塗りしました。少しぐらいムラがあってもかえって古びた味わいが出て素敵です。面倒という方はスプレーで一気に塗装するのもいいですね。何色に塗ろうが、どんな方法で塗ろうが自由です。
【9】2〜3度塗りする
3度塗りが終わりました。美しいチョコレート色になりましたよ。塗装は2時間ぐらいかかりました。工作開始から4時間弱が経過しました。
【10】ニス塗り
さて工作1日目の最後はニス吹きです。私はウレタンニスの透明クリヤーを使いましたが、筆で水性ニスを塗ってもいいし、スプレーニスを吹いてもいいしお好きな方法でどうぞ。乾燥させるために今日の作業はこれでおしまい。本日の工作時間は4時間でした。
【11】糸張り
さて翌日。ニスはすっかり乾いています。今日の作業は糸張り(リギング)です。この工程もやりたい方だけで結構です。糸はポリエステルでも木綿でもシルクでもお好きな素材・色の糸を使います。
ネット上のライトフライヤー号の復元模型を見ながらナイロンのコードワイヤーをを張って行きました。
瞬間接着剤が楽
瞬間接着剤を使うと楽ですね。糸がたるまないようにピンと貼るのがコツ。糸の端は長めにしておいて、接着剤が乾いた後にカッターナイフで切り落とすときれいにできます。
糸張り終了!
糸を全部張ることができました。糸張りの作業は2時間かかりました。細かい作業で大変だけど、糸があるのとないのとではイメージが全然違いますね。
【12】ウェザリング(汚し)
そして最後の仕上げ、ウェザリングです。あまりにピカピカだとリアルじゃないから、濃い色の絵の具で汚れたように色を入れるのです。アクリル絵の具を綿棒や細筆でこするように機体に塗っていきます。
リアルになり立体感が増す
写真だとよくわからないのですが。木と木が組み合わさった角や隅の方に緑色、青色、茶色で混色した絵の具を塗っているんです。こうすると使い込んだような味が出ますし、影が濃くなったように見えて立体感が強調されますよ。そしてウェザリングも終了。本日の作業は4時間。2日の工作時間の合計は8時間。完成です!
航空機模型は天井から吊るそう
自分の工作の力量に合わせて作ることのできる白木クラフト。凝り性の方はみっちり塗装までやっても良いし、シンプルに白木のままで終了しても良いという自由さが好きです。
私は部屋の一角の天井にこれまで作ったリリエンタールグライダーやタウベをワイヤーで吊るして飾っていますよ。このライトフライヤーも今度吊るしてみよっと。
情報求む!
【情報をお寄せください】この白木クラフト・ジェンウッドシリーズは他にゴールデンハインドとカティーサークという2種類の船舶模型があります。しかし発売元の稲美産業はなくなっているらしく、もはやデッドストックしか存在していない状態です。
ここ数年ずっと探し続けているのですが、国内外のオークションにもめったに出ないようです。もし「これなら近所の玩具屋にあったよ」みたいな情報がありましたら、ぜひ管理人までご一報くださいませんでしょうか。ご親切な方からの情報をお待ちしております。
追記:情報ありがとうございました!
読者のKさん、Hさんより、ジェンウッドのゴールデンハインドとカティーサークの情報をいただきました。お陰様で購入することができました。本当にありがとうございました! すぐに作ってしまうのはもったいないので、しばらく楽しみを取っておくことにしました。また制作後に記事を書きたいと思います。重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
追記:2017年10月04日
カティーサーク号の模型を作りました。温室の壁の棚に飾りました。ソーラーLEDライトは夜になると自動的にライトが点灯します。幻想的な装飾品になりました。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

関連商品・参考文献
- 鉛筆
- 木工用ボンド
- 糸
- 瞬間接着剤
- ルーター
- カッター
- ハサミ
- 電気ゴテ
- 木部着色剤(ステイン)
- ニススプレー
- アクリル絵の具
- 塗装用具一式