悪漢モラン大佐の驚異の銃! スチームパンクライフルの作り方

Steampunk Rifle
スチームパンクライフルを作ってみました。ウィンチェスターをベースに、リベット留めされたライフルスコープ、アラベスク模様、先込め式の銃フリントロックでレトロに仕上げました。

きわめて独創的なすばらしい武器だ。音はしないし、おそろしく強力だし。故モリアーティ教授が、フォン・ヘルダーという盲目のドイツ人技術者につくらせたものだな。前から存在を知ってはいたが、実物を手にとって見るのは初めてだ。

『空き家の冒険』光文社文庫 P38

ライフルにフリントロック?

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デザインを元にしたのは、私の愛銃・ウィンチェスターライフル。機関部は歯車で飾り付けたキラッキラのゴールド。リベット留めされたライフルスコープ、引き金も金色。でもフリントロック(鳥頭と打ち金)がついているのはなぜか?

ライフルにフリントロック?

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フリントロックは17世紀から200年続いた、先込め式の銃です。『魔法少女まどか☆マギカ』の巴マミちゃんのマスケット銃が有名ですね。弾薬底の雷管を持つライフル弾を詰めて使うのだから火打ちのフリントロックはいったい何のために?とって思われるでしょうね。

モラン大佐の空気銃

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ジェレミー・ブレット主演『シャーロック・ホームズの冒険』14話「空き家の怪事件」にモラン大佐が使用する美しい空気銃が登場します。その特徴は銃床に埋め込まれたタンク。このアイデアを拝借しました。タンクの圧縮ガスをフリントロックで発火させ、ライフル弾を火薬とガスの力で吹っ飛ばすのです。だから普通のライフルの何倍もの飛距離があるという設定。

高性能スコープにレーザーライト

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そして長距離にいる敵を撃つために、高性能のスコープも設置しました。遠くの的もくっきりと見えるんですよ。スコープにはレーザーサイトもついています。ホントは赤色のレーザーポインタを組み込もうと思ったんですが、誤って人の目に光が入ってしまわないようにLEDでぼんやり青く光るようにしました。

エレガントなデザインは女性向き

Steampunk Rifle
そして一番力を入れたのが「エレガント」に見えるようにすること。優美で繊細なネオヴィクトリアンデザインにしようと思い、木製部分には金色のアラベスク模様を入れました。

【1】おもちゃの銃を分解

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さてでは作り方です。玩具の銃を3種類集めました。水鉄砲、フリントロックのついた昔風の短銃(短筒)、ライフル銃です。パーツをフルスクラッチする時間はなかったので、玩具の銃を分解してパーツ取りしました。

【2】型紙作り

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モデルにするウィンチェスター、M86Wの形を大きな紙に写し取り、各パーツを置きながら細かく修正をします。水鉄砲のタンクを銃床に組み込むため、実物のウィンチェスターよりちょっと大きめになりました。

【3】スタイロフォームを加工

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足りない部分をスタイロフォームで作ります。スタイロフォームはホームセンターなどで売っている、密度が高いスチロール材です。軽くて、カッターなどでさくさく切れるので、こういう造形物には欠かせない材料です。型紙の通りにマジックで写しとり、カッターで余分な部分を削いでいきます。

【4】表面を削る

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スタイロフォームは発泡スチロールと違って、サンドペーパーで削ることができます。表面がなだらかになるように80番ぐらいのサンドペーパーで整えます。猛烈に粉が飛ぶので、周りを養生して汚れても良い格好で。掃除機を用意してから作業しましょう。

【5】ジョイントを組み込む

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モラン大佐の銃のように、分解して持ち運べるよう塩ビパイプジョイントを組み込んでスタイロフォームと接着します。バレル(銃身)部分は塩ビパイプと角材を使用。他に足りないパーツは、厚紙で作りました。

【6】はりこ作業

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スタイロフォームは加工が楽な分もろいです。パッキリ簡単に折れたりしますから丈夫にするために和紙で表面をコーティングします。要するにはりこです。和紙は障子紙を細かく破って使います。水で溶いた木工用ボンドを筆で塗って、土台に貼っていきます。

【7】はりこ作業2

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1層だけ貼ったら一度乾かして、2層目を塗り重ねます。一度に何層も貼り重ねてはいけません。下の方が乾かないままになってしまうからです。よって1日に2層〜3層ぐらいしか貼れません。だいたい10層ほど貼り重ねると固く丈夫になります。

【8】粘土でコーティング

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次に粘土で表面をコーティングします。使うのは木のネンドという商品です。木の粉が袋詰めされて東急ハンズなどで売っています。仕上がりが本物の木のように固くなりますので、木材のように見せたい時重宝します。

【9】表面をならして乾燥

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水でペースト状に木のネンドを溶かして、ヘラで薄く塗りつけます。厚みは5ミリ以下にします。表面をならして乾燥させます。

【10】表面をサンドペーパーがけ

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サンドペーパーで表面をこすって、ツルツルになるようにします。80番→240番→400番とサンドペーパーを交換して仕上げます。

【11】ジェッソを塗る

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表面にリキテックスのジェッソを塗ります。ジェッソは塗装の下地剤です。白いものと黒いものがありますが金色にしたい時は黒い方が発色が良いようです。

【12】2度塗り

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全体を塗りました。乾燥させてから二度塗りします。

【13】表面を整える

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表面を400番のサンドペーパーでこすります。平面をこする場合は必ず当て木をしてください。私はサンドペーパー専用のゴムの当て木を使っていますが、角材の破片で構いません。

【14】木目塗装

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木目塗装をします。この方法は以下に詳しく書きましたので割愛します。

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【15】金模様を入れる

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木目部分にアラベスクの金模様を入れます。

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【16】ニス塗り

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上からウレタン系のニスを吹きます。ツヤッツヤにしたい方はツヤありのニスを3回塗り重ね。私は使い慣れた感じを出したかったので、1度塗りした後につや消しのニスを吹きました。

【17】歯車パーツでデザイン

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スコープ、タンク、機関部のデザインをします。歯車のパーツをビスや接着剤でとめたり、カシメをリベット留めのように接着します。フリントロックもネジ止めしました。

【18】ゴールド塗装

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木目部分をマスキングして、下地剤を吹き、各パーツをゴールドのラッカースプレーで塗装します。私がおすすめする下地材はミッチャクロンです。塗料の定着がかなりいいですよ。

【19】シルバー塗装

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バレル部分は金色にするとウソっぽいので、銀色に塗りました。真鍮や金だと衝撃に堪えられませんものね。

【20】ウェザリングで完成

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ところどころにウェザリング(汚し)アクリル絵の具で入れます。銃床と銃身にはライフルベルトを引っ掛けるための金具もつけました。

我が家の武器コレクション

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完成です! 我が家・蒸気邸の壁に飾ってみました。こういう銃を飾るためのガンホルダーもネットで購入できるのだから便利な世の中になりましたね。私の武器コレクションがまたひとつ増えました。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

関連商品・参考文献

材料・道具
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