スチームパンクと言えば頭に浮かぶモチーフは歯車でしょう。今回はフォトショップを使った歯車の描き方を解説します。歯車ブラシを使って様々な歯車を描き、立体的に見せる方法です。
10年前のサイト「幻想画廊」
私は2001年から2006年までマリア・ガルシア(※)という名前で「幻想画廊」というサイトを運営していました。当時はデザイナの仕事をしていて、フォトショップを習得する必要がありました。そこで毎週セルフポートレートをフォトショップで加工し、練習を兼ねて掲載していたのです。今の私が昔の稚拙なテクニックや表現を見ると猛烈に恥ずかしいです。でもそういった成長過程も何かの記録になるかと思い、ネット上にサイトを残しています。

おかげさまで1700万アクセス
メインコンテンツは、合成画像のギャラリーとコラムなのですが、サブコンテンツで「フォトショップ講座」という記事を書いていました。つたない講座でしたがたくさんの方が見に来てくださいました。更新を終了した今も毎日6000〜8000アクセス、2010年12月現在のアクセス数は1,719万です。
【1】歯車のプラグインブラシをダウンロード
今回の記事は幻想画廊の出張フォトショップ講座、「歯車の描き方編」です。歯車はイラストレータなどで自分で描くのが一番ですが、時間がない方は歯車のブラシのプラグインをダウンロードすると良いですよ。redheadstockさんが様々な歯車を描けるブラシGears Vectors Brushesを無料公開されています。
【2】ブラシを読み込む
フォトショップのブラシの追加方法は簡単です。ツールの中からブラシを選び、ブラシのウィンドウ横の▲をクリックして「ブラシファイルの読み込み」を選択。その際、先ほどダウンロードしたGears Vectors Brushes(SS-gears.abrという名前になってます)を選びます。
【3】好きな歯車ブラシを選ぶ
様々な歯車がブラシパレットに並びましたね。どの歯車も結構大きいサイズですから、大きさをスライダで調節して使いましょう。お好きな歯車を選んでください。
【4】歯車をモノトーンで描く
新規のファイルを作って、カラーを「黒」にしてから好きな歯車のブラシでクリックします。一瞬でモノトーンの歯車が描けました。
【5】アルファチャンネル1
ここでチャンネルパレットを表示してください。歯車の輪郭を選択して、チャンネルパレットにアルファチャンネルを作ります。チャンネルパレットやアルファチャンネルについては「幻想画廊 フォトショップ講座」のフォトショップ道場をご覧になってください。

【6】アルファチャンネル2
次にこのアルファチャンネルの複製を作り、そこに歯車の画像をコピー&ペーストします。
【7】アルファチャンネル3
さらにそのアルファチャンネルの複製を作り、「フィルタ」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」をかけます。ぼかしの数値は解像度によるので、この画面のぼかし具合を参考に。現在「アルファチャンネル1(白く抜けた歯車)」「アルファチャンネル1のコピー(モノクロの歯車の画像)」「アルファチャンネル1のコピー2(ぼけた歯車)」の3枚(※)があります。
【8】黄色でレイヤーを塗りつぶす
レイヤーの画面に戻ります。レイヤーを一面こんな感じの黄色で塗りつぶします。色は後で「イメージ」→「色調補正」→「色相・彩度」などでいくらでも変えられますから大丈夫。今回は真鍮色のゴールドにしたかったので黄色ですが、ステンレス製のようにしたい場合は灰色で塗りつぶしてください。
【9】照明効果フィルタをかける
「フィルタ」→「描画」→「照明効果」を選択します。
【10】照明効果を調節する
照明効果のウィンドウが開きます。右下のテクスチャチャンネルで「アルファチャンネル1のコピー2(ぼけた歯車)」を選びます。すると歯車の形が浮き上がった画面が表示されます。光の方向、強さ、光沢などスライダを動かして、好みのイメージになったら「OK」をクリック。
【11】歯車のエンボスができる
まるで真鍮板にエンボスしたような歯車が出来上がりました。これは左上から光がさしているようにしましたが、光の方向、強さで結構イメージが違ってきますからいろいろ試してみましょう。
【12】歯車の選択範囲を作成
次にこの歯車を真鍮板から切り抜きましょう。「選択範囲」→「選択範囲を読み込む」で「アルファチャンネル1(白く抜けた歯車)」を選びます。
【13】背景を切り抜く
すると歯車の輪郭で選択範囲が作られますから、背景の余分な部分を削除しましょう。きれいに切り抜けましたか?
【14】表面にテクスチャ加工を施す
これで完成でも良いのですが、ちょっとザラザラした質感を加えてみましょうか。「フィルタ」→「テクスチャ」→「テクスチャライザ」を選びます。
【15】テクスチャ・砂岩を実行
こんな感じのウィンドウが表示されますから、テクスチャに「砂岩」を選んで、スライダを動かしてみてください。お好きなイメージになったらOKをクリック。
【16】歯車のテクスチャ
表面がザラザラした感じになりましたね。ツルッとした質感が良い方はこの工程は飛ばしてください。
【17】いろんな歯車を作る
この調子でいろんなブラシを使って歯車を作っていきます。大きさや色など変えてみると良いですね。私はさらにリアルにするために、歯車にサビやキズなどを乗算モードで重ねたり、ブラシで汚しを加えたり、光の反射のホワイトを入れていますよ。
【18】歯車の大きさ・ドロップシャドウ
できた歯車を合成したい画面にコピー&ペーストして、「編集」→「自由変形」で大きさを変えたり位置を動かしたりして重ねます。「レイヤースタイル」→「ドロップシャドウ」を選ぶと、歯車の下に影をつけることができますから、もっと立体的に見えますね。
歯車の画像加工完成
いかがでしたでしょうか。当ブログの真鍮歯車のパーツはこんな感じ作りました。実はこの歯車の描き方、「24:金属加工で、ファンタジー!」というページで解説したものの焼き直しでして。合成画像に興味のある方は「幻想画廊」のフォトショップ講座もどうぞご贔屓に。【蒸気夫人(マダムスチーム)】