【インタビュー】レトロゴージャスな「Steampunk MINI」(れんさん)

Steampunk BMW MINI CLUBMAN
ゴールドのライト、カッパー色のアルミホイール。スチームパンクのロゴも眩しい、クラシカルなBMW MINI CLUBMANです。オーナーのれんさんにインタビューいたしました。

れんさんインタビュー

まずはお名前をうかがってもよろしいですか?

れんと申します。

どんな関係のお仕事をなさっているんでしょうか?

個人薬局を営んでおります。

ご趣味、現在はまっているものはありますか?

趣味は洋服やアクセサリー収集で、旧い車やオートバイと言った旧車関連も大好きです。今はスチームパンク関係の物に一番力を入れています。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

簡単な自己紹介をお願いします。

変な収集癖がある、ごく普通の薬屋さんです。怪しげな蚤の市とか大好物です。

MINI CONNECTION 2012のMyMINI CONTEST『MINI賞』受賞おめでとうございます。MINI CONNECTIONというイベントについてご説明くださいますか?

2006年から2年に1度行われるBMW MINIのオフィシャルオーナーズイベントで、MINI CONNECTION 2012は2012年10月20日に千葉の袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催され、約800台のMINIと1300名の方が参加致しました。
BMW MINIオフィシャルページやオフィシャル動画を見て頂くと多少当日の雰囲気が伝わるかと思います。

BMW MINI CLUBMANというクルマについて、一般の方に分かりやすいようにお教えください。

BMW MINIでは現在6車種を展開していますが、その中でCLUBMANはスポーツワゴンモデルと言う位置付けになります。運転席側(右側)と後部に観音開きのドアが採用されていて他の車種とは少し違った雰囲気を持っています。MINIシリーズの中では一番レトロさを出しているモデルだと思います。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

その中のMyMINI CONTESTではどのようなクルマが賞に選ばれるのでしょうか?

いわゆるスタイルコンテストと言う物で、オフィシャルサイトにまずコンテスト参加希望オーナーがそれぞれ自分のMINIの写真を送りまして、MINIJAPANのスタッフやモータージャーナリストの審査員が上位30台を選び、イベント当日に上位選抜車を展示します。
そこで一般参加者投票が行われ、獲得投票数とBMW MINI本社役員の審査によって幾つかの賞が頂けるのですが、その中で『最も独創的で自由な発想で、まさにMINIらしいMINI』に贈られる『MINI賞』を頂きました。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

MINI CONNECTION はスチームパンクのイベントではないわけですが審査員や観客のみなさんにスチームパンクの概念は伝わっていましたでしょうか?

そこがコンテストに出る上で一番気になる所でした。上位選抜車の中でも明らかに異質でしたし、実際コンテスト当日に車両を展示している際、色々な方にお言葉をかけて頂いたのですが『スチームパンク』の存在を知っている方は一人もおりませんでした。
ただ逆にスチームパンクと言うジャンルを知らないけれど『何だか良く判らないけれどとても綺麗ですね!
このMINIが一番カッコ良いです』とか『凄いこだわりのあるMINIですね。家に帰ったらスチームパンクと言う単語を検索してみます!』と言ってくださる方がいた事がとても嬉しかったです。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

BMW MINI CLUBMANを改造のベースとして選ばれたのはなぜでしょう?

元々旧い車が好きで、新車だけれどもどこかレトロな雰囲気を醸し出していたMINI CLUBMANに一目惚れをしまして購入に至りました。当初はレトロフューチャーをコンセプトに改造を加えておりました。

改造にかかった期間、金額などさしつけなければ……

2008年に購入して以来ちょこちょこと改造してきましたが今の形が完成したのは2012年の6月位です。金額に関しては、中古のMINIが一台買える位、と言うあたりでしょうか(笑)

すべてご自分で自作、改造なさったのでしょうか? 改造を得意とするお店などもご存知でしたらお教えください。
自分ではアイデアを出すだけで基本、制作・施工は全て業者の方にお願いを致しました。以下、場所をお借りして車の紹介をさせて頂きます。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

マフラーについて

コンセプトである『レトロフューチャー』と言う所を踏まえ、レトロな雰囲気が出るマフラーを制作致しました。具体的には、1969年に発売された初代フェアレディZの上位グレード『Z432』が装着していた縦デュアルマフラーを参考にワンオフで制作致しました。
制作・施工は東京の福生、横田基地沿いにあります志村工業さんとなります。細かい形から音量まで全てフルオーダーが可能で且つ、とてもリーズナブルで親切なお店さんです。

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アルミホイールについて

こちらもレトロさを出すため旧車ではおなじみのRSワタナベをチョイスしました。ここ最近では扁平タイヤを大口径のアルミホイールで引っ張り目に履くと言うのが定番ですがそれではレトロさが出ませんのでホイールサイズを小さくしてあえてタイヤを太くしてあります。
色はオリジナルなので何とも言えないのですが、新品の10円玉の色(赤銅色)で塗装をお願いしました。こちらの作業は別業者さんとなります(こちらの業者さんはネットでのご紹介不可)。
横浜にあるRSワタナベさんに直接お伺いするとその場でそれぞれの車に合ったホイールサイズをフィッティング、ご希望のスタイルにあったホイールをオーダーで作って頂けると思います。

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モールなど金属パーツの塗装はどのようにされたのでしょうか?

こちらは塗装では無くオリジナルカラーのラッピングとなります。ボンネットストライプに絡ませたヘビ、ライトやモール類の金色のラッピング、リアガラスに貼ったスチームパンク的なオリジナルMINIエンブレムの画像制作・ラッピング施工は全て東京の武蔵村山にありますアートファクトリーさんです。
元々バイナルグラフィックの先駆者で映画『ワイルドスピード』の車両制作や痛車等、フルラッピングで有名ですが細かいラッピングにも丁寧に対応して頂けます。出来栄えは、MINIのスタッフの方が蒸着メッキと見間違える程です。

クルマの塗装や改造は、たとえばタイヤのアルミホイールの熱など高温・低温を考えねばならず難しいところがあると思いますが、温度に対する対策など何か工夫されていますか?

こちらは技術の発達とでも言いますか、ラッピング素材等品質が進化しておりまして耐久性は全く問題ありません。アルミホイールの塗装に関しても非常に耐久性の強い専用塗料を使っておりますので、熱や紫外線による経年劣化には十分に対応出来る様になっております。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

シール(ラッピング)はカッティングシートでしょうか。デザインはどのようにされましたか?

ボンネットストライプに絡むヘビや、リアガラスに貼ったスチームパンク的なオリジナルのMINIエンブレムのラッピングについてですが、まず大まかなデザインを考えましてラフ画をアートファクトリーさんに持ち込みます。その後、アートファクトリーさんのデザイナーの方とお話をしましてラフ画を元に幾つかのデザイン画を起こして頂き、その中から自分のイメージに一番近いものをチョイスすると言う工程を踏みました。

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正直、自分のラフ画を1とすると100くらいのデザイン画を上げてくれるアートファクトリーさんなのでデザインに関してはほとんど任せっきりと言っても過言では無いかもしれません(汗 今回のスチームパンクラッピングにあたり、デザイナーの方がスチームパンクに関しては初との事でしたので、スチームパンク関連の書籍を持ち込んで世界観を説明する所から始まりました。
ちなみにボンネットストライプのヘビは医薬のシンボル、アスクレピオスの杖を参考に。MINIエンブレムはもしスチームパンクの世界でMINIが車を出していたら、と言うコンセプトで作りました。

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こだわりの改造箇所について教えてください。工夫された点などもありましたらぜひ。

改造にあたり一番難しかったのはどこまでスチームパンク色を落し込むか、と言う事でした。普段使いもする車両ですし、道交法の兼ね合いもありますので、まず法律に違反しないように改造するという事が一点。
もうひとつは例えばショーカーベースとして車両を作るならそれこそド派手にフルラッピングなんて事も出来ますが実際に公道を走行するにあたり、余りにも派手過ぎると周りの方に不快感を与えかねないと言う思いも有りましたので、レトロ色を7、スチームパンク色を3くらいの割合を目指して車両制作しました。

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ゴーグルやアクセサリーなど室内の小物にも凝っていらっしゃいますね。

ゴーグルや室内のアクセサリーはEtsyにて購入しました。Etsyもスチームパンク大百科さんで知って以来、愛用しているサイトの一つです。

中折れ帽がファッショナブルですが、普段の服装もMINIに合わせていらっしゃいますか?

最近ですと若者の車離れや車にお金をかけるのは無駄と言った『車はあくまでも移動手段でコストパフォーマンスが全て』の様な考えが浸透していると感じますが、僕自身の考えは全く違い『車は自分のライフスタイルの一部』と思っています。なので服装と車はいつもワンセットで考えております。

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ここからはスチームパンクに関するご質問です。れんさんがスチームパンクをお好きになったのはいつごろですか? またそのきっかけなどありますか?

元々大正浪漫や昭和レトロな雰囲気が好きで車もずっと旧車を乗り継いでいました。ただ旧車ですとメンテナンスが大変で都合の悪い部分も多々ありますので、新車だけれどもレトロなイメージのMINI CLUBMANを2008年に購入しました。
当初は縦デュアルマフラーやワタナベのアルミでレトロさを強調していたのですが、今ひとつ物足りなさを感じ、大正浪漫や昭和レトロで検索をかけ情報を仕入れて行くうちに、スチームパンク大百科さんのサイトを拝見しまして、その時が本格的なスチームパンクとの初対面となります。

Steampunk BMW MINI CLUBMAN

れんさんにとってのスチームパンクの定義(イメージ、方向性など)は何でしょうか?

真鍮や歯車、蒸気機関のイメージが大きいですが何よりも子供の頃に感じたワクワクドキドキを感じさせてくれるジャンルです。
日本におけるスチームパンクのムーブメントについて思うことはありますか?
過去にあったような一時的な流行では無く、一つの大きなジャンルとして定着すれば良いなと思っています。

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今後どのような活動、プロジェクトを予定されていますか?

今現在、目標が3つ程ありまして──。
現在ネットで『MINI steampunk』等でイメージ検索をかけるとポーランドのCarlex Designと言うカスタム業者さんが引っかかります。ちょうど僕のMINIが今の形に仕上がった後くらいにその業者さんがスチームパンクMINIを発表されました。
かたや本場ヨーロッパで専門業者が仕上げオマケに綺麗なコスプレさん付きのMINI、かたや日本の個人でただのおっさんが乗るMINIで非常に勝ち目は薄いのですが、日本のスチームパンカーも負けないぜ!の心意気で更にMINIを仕上げて行く事が1つ目。
ここ最近、日本の色々な所でスチームパンクのイベントが催されてるのを拝見します。MINIに限らずスチームパンクカーがもっと増えてそんなイベントに一同で参加出来たら。更にもっともっと増えてスチームパンクカーの集いみたいな物を作ってみたい、と言う事が2つ目。
最後に3つ目なのですが、これは目標と言うか昔からの夢なんですけど……。それはジブリのアニメ、魔女の宅急便に出てくるキキの実家のような薬局を作る事です。映画の冒頭、キキの母親がお薬を作るシーンで出てきますが怪しげな薬草や植物でいっぱいなあんな雰囲気の薬局を作れたらと昔から夢見てました。
そして今はそこにもう一つ要素が加わって、『キキの実家にスチームパンクを足した雰囲気の薬局を作る事』が夢になりました。薬局と言う性質上、薬事法における店舗構造条件等色々な問題がありますが、いつかは叶えたい夢です。

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最後に読者のみなさんへメッセージがありましたらぜひお願いします。

スチームパンクMINIを作り色々な方からお褒めの言葉を頂きましたが、『金ピカMINI』とか『派手過ぎ趣味悪い』と言ったネガティブな言葉も直接ではありませんが耳にします。万人に受けようとは思ってもいませんし人は人、自分は自分と思い自分の好きな事やりたい事を実行しようといつも心がけています。
ネット上にはスチームパンク大百科さんや他の素敵なスチームパンカーが大勢いて、とても楽しく刺激的なスチームパンクライフを送っているのを見ると更に元気づけられます。是非、皆様のスチームパンクが明るく楽しい物になりますように!

インタビューを終えて

スチームパンクMINIの写真を最初に拝見したときは、胸がドキドキしましたよ。これ公式のMINIなの? いよいよスチームパンクがクルマの世界にも!……なんて早合点してしまうほど素晴らしい出来のカスタマイズですよね。栄誉ある『MINI賞』受賞も頷けます。れんさんのおっしゃるように、もしスチームパンクなパラレルワールドでMINIがクルマを出したら──というイメージそのものです。

MINI CONNECTION 2012というイベント、参加者もスタッフ、キャストも全員楽しんで作り上げている雰囲気が伝わってきますよね。大盛況のMINI CONNECTION 2012で、スチームパンクという言葉が脚光を浴びたのも、とても嬉しいことでした。

れんさんのMINIをカッコイイと思った方が、スチームパンクの世界に興味を持って、さらにスチームパンキッシュなクルマ改造の輪が広がっていったらいいなあ。そしていつか本当にスチームパンクなデザインのMINIが発売されたら……なんて夢見てしまいます。

『キキの実家にスチームパンクを足した雰囲気の薬局』の夢も聞いているだけでワクワクしました。宮崎駿氏の絵でレトロで温かい雰囲気の薬局のイメージが浮かびましたよ。これはぜひ実現してほしい夢ですね。

れんさんのこだわりの改造は時間と費用をかけてコツコツつくりあげていったものなのですね。塗装やラッピング、小物、ファッションにいたるまで、れんさんの美意識がぎっしり詰まっているスチームパンクMINI。私もこんなクルマでドライブしてみたい! 夢広がる素敵なニュースを、れんさん本当にありがとうございました!【蒸気夫人(マダムスチーム)】

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