スチームパンクを知るにはこの映画!『スチームボーイ』

スチームパンクについて説明するのに最も良いアニメ作品は?──と聞かれたら、『スチームボーイ』をお勧めします。2004年に公開された、大友克洋監督によるSFアニメです。
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蒸気機関が発達した1866年イギリス・マンチェスター。ある日、3代にわたる発明一家・スチム家の少年レイのもとに、発明家の祖父・ロイドから球体型をした謎の物体が届きます。これこそ世界を変える世紀の発明品「スチームボール」! ところが突如現れたオハラ財団の手下に、レイはスチームボールとともに誘拐されてしまいます。

レイが連れてこられたのは、オハラ財団と父・エディが建設を進めている巨大な「スチーム城」。レイはそこで蒸気機関の科学力に圧倒され、技術者として働き始めます。

一方ロイドは、蒸気の力を戦争に利用しようとするエディと対立し、彼らの企みを阻止しようとします。祖父と父の間に挟まれ悩むレイ。そして世界が注目する万国博覧会が開催される日が迫ります。はたしてスチームボールはいったい誰の手に渡るのか? レイの運命やいかに!

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素晴らしい機械と風景

最初から最後まで、胸躍らせるすばらしい機械が出ずっぱり。吹き出す蒸気、回る歯車。スチームパンク好きな人なら一瞬たりとも見逃せない、素晴らしいメカニックデザインです。そしてヴィクトリア朝の物語ではおなじみの、万博会場・クリスタルパレスや、テムズ川、キングスクロス駅などの風景がリアルに再現され、胸が苦しくなるほど感激。

声優陣について

あまりに大道具、小道具、背景が素晴らしくて、ほとんど人物が目に入らないです。逆に言うとはっきり言って声優陣が……。なんでプロの声優さんを使わないで、女優さんや俳優さんを採用したんですかね。プロモーション的に仕方ないのかもしれませんが。

確かに小西真奈美ちゃんとか、とっても上手です。鈴木杏ちゃんも好きな女優さんだし。でもキャラクタがしゃべるたびに「女優さん(俳優さん)が演じてる○○」というノイズが頭の中に響いてしまって、純粋にお話に入り込めません。彼らの顔が浮かんでしまって現実に引きずり戻されてしまうから、一生懸命考えないように努力してました。どうしてこんな努力をせねばならないのか。

最近のジブリアニメをはじめ、タレントさんを使うアニメが多いですね。大人の事情? 何かの陰謀? せめてDVDは『ザ・シンプソンズ MOVIE』のように、タレント声優を一掃してプロ声優が吹き込み直して発売してくれたら良かったのに……。

ストーリーについて

ストーリーは、少年が世界を救うために画面狭しと駆け回る冒険活劇。私はこんな少年の冒険小説が好きです。ただ一点惜しいなと思うのは、昔の冒険活劇のような勧善懲悪の物語でなかったこと。「でも敵の言い分も分かる」てな感じで主人公が悩んだりするので、観客もその葛藤に感染してしまい「やれやれー! やっちまえー!」とならないんですよ。

観客に「科学とは何のためにあるのか?」と考えさせるためと思えば良いのですが、ノスタルジックな冒険活劇を狙うなら「完全な悪人と完全な善(主人公)」という図式の方が観客がノれたんじゃないかなと思いました。むかしの冒険小説ってそんな分かりやすさがありましたしね。

この映画の見どころ

この作品の一番の見どころはため息もののメカニックデザインですよ。まばゆく輝く真鍮の機械の見事なことと言ったら! スチーム城の中央動力室のインターフェイスは必見ですよ! 一輪自走車、スコープライフル、スチームボール。みんな背筋がゾクゾクするほど美しいです。これぞスチームパンクってメカがぎっちり詰まった2時間でした。

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