懐中時計。スチームパンク・レトロファッション好きの方なら、1つ2つお持ちではないですか? 懐中時計を小粋に身につけられるアルバートチェーンをとチェーンホールの作り方です。
懐中時計の歴史
懐中時計が日本に渡ってきたのは徳川時代のことです。当時鎖国状態にあった日本ですが、わずかな数の時計がオランダ経由で日本にもたらされました。当時の愛用者は大名や旗本たち。明治天皇陛下も金時計のコレクターとして有名だったそうですよ。庶民が懐中時計を手にできるようになったのは大正時代から昭和の始めにかけて。昔は贅沢品だったんですね。
昔の写真で見る懐中時計の鎖
昔の写真を見ると上着の下のベストにチェーンをひっかけています。これらの鎖はアルバートチェーンと呼ばれるものです。ヴィクトリア女王の夫・アルバート公(1819〜1861)の名にちなんでそう呼ばれています。アルバート公の亡くなった1860年からイギリスで大流行しました。
シャーロック・ホームズも愛用のチェーン
ジェレミー・ブレッド演じるシャーロック・ホームズもこのアルバートチェーンの愛用者。真ん中にぶら下がっているのは、『ボヘミアの醜聞』でアイリーン・アドラーからもらった金貨です。シャーロキアンを嬉しがらせる心憎い演出ですね。こんな風に自分のこだわりをチェーンで表現するのも当時のオシャレでした。
アルバートチェーンの構造
アルバートチェーンの構造はこうなっています。T字型の金具に鎖がつながっていて、その端に懐中時計を下げます。T字型の金具をベストのボタンホールに引っ掛けて、懐中時計はベストのポケットに入れます。
アルバートチェーンの鎖の本数
T字型の金具は二股になっているもの、1本だけのものなどいろいろあります。T字型の金具のすぐ下に、コインやボタンなどの飾りをぶら下げることが多いですね。アルバートチェーンは上着に隠れてはっきりとは見えませんが、当時の人々の隠れたオシャレとして流行していたようです。
【1】材料を揃える
では早速アルバートチェーンを作ってみましょう。懐中時計、チェーン、マルカン、カニカン、T字型の金具、工具を用意します。
【2】各パーツをマルカンでつなぐ
銀の懐中時計には銀のパーツ、金の懐中時計には金のパーツが合いますね。チェーンを適当な長さに切って、各パーツをマルカンなどでつなげるだけ。パーツさえ揃えば10分ほどでできてしまいます。
【3】チェーンの長さを調節
チェーンの長さはベストのポケットやボタンの位置によるので、ベストに合わせながら調節しましょう。懐中時計と逆側の端には、ネックレスをとめるカニカンのパーツをつけてポケットにひっかけます。
【4】完成!
スチームパンカーは中央のモチーフに歯車のパーツを使うと素敵でしょう。写真を入れたロケットパーツ、鍵、ミニUSBフラッシュメモリなども面白いですね。ぜひあなたの個性を発揮してくださいね。
アルバートチェーンの鎖の本数
チェーンも1重にしたり、2重にしたりとご自由にアレンジしてみてください。私は女性なので細いチェーンを使いましたが、男性の場合はもっと太いチェーンもお似合いになるはずです。
このボタンホールは何?
三つ揃いのスーツをオーダーなさったことがある男性はご存知でしょうが、ベストの下から2番めのところに、タテに開いたボタンホールがついていることがあります。これは懐中時計をつけていた時代の名残りのチェーンホール。ボタンの穴にT字金具をとめると外れやすいので、もしチェーンホイールがあいていれば、こちらに金具をつけましょう。
ベストにチェーンホールを作る
チェーンホールがあいてない場合、自分でボタンホールを縫ってしまうのも手です。これは私が愛用しているベストですが、チェーンホールがないのでミシンで作ることにしました。場所はポケットの位置よりやや上の、ボタンとボタンの間です。
ミシンでボタンホールを縫う
最後にニッパーで穴をあけるときはザックリいかないように、まち針を端にとめてから布を裂くといいですよ。ちょっとした裏技でした。
ぜひアルバートチェーンを楽しんでください
私はベストが大好きなのですが、なかなか理想のベストに出会うことができません。女性用って妙に腰が絞ってあったり、ポケットが飾りポケットで物が入らなかったりするんですよね。クラシカルなベスト姿の男性ってすごく素敵。個性的なアルバートチェーンでぜひオシャレを楽しんでくださいね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
関連商品・参考文献
- 懐中時計
- チェーン
- カニカン
- マルカン
- フック留め具・引っ掛けバックル・トグルパーツ・マンテル(呼び方はいろいろです)
- ラジオペンチ
- ニッパーなど