今回から女性が着るための燕尾服一式を手作りする記事を連載します。第一回は靴。こんなメンズライクなハイヒールを購入しました。靴磨きとハイヒールにおける女のダンディズムです。
9cmピンヒール、ポインテッドトゥ
21cm、9cmのピンヒール、ブラックレザーのポインテッドトゥです。正装用にバルモラルタイプ(内羽根)のものが欲しかったのですが、ピンヒールでメンズライクなオックスフォードタイプがほとんどなく、不本意ながらブルーチャー(外羽根)のものしか見つかりませんでした。でもデザインはスタイリッシュで気に入っていますよ。
靴の内羽根式と外羽根式の違い
ここでシューズのアッパー(甲の部分)のデザインについて解説しますと、バルモラルタイプ(Balmoral:内羽根式)はフォーマル、ブルーチャー(Blucher:外羽根式)はカジュアル寄りのイメージになります。
外羽根式は着脱が簡単でもともと軍靴に採用された歴史があるからです。冠婚葬祭など正装にはバルモラルを選んだほうが良いですね。私のシューズは本当は燕尾服向きではないのですが、眼をつぶることにしました。
やせ我慢で乗り越える0.5cmの壁
私が普段履いているダンスシューズは8cm。このシューズは1cm高い9cmヒールです。靴屋さんで削ってもらったのですが、バランスを考えると5mm削って8.5cmにするのが限界でした。たった0.5cmですがかなり踊りにくいです。でも「ダンディズムとはやせ我慢である」の言葉を噛み締めつつ我慢することにしました。
私の靴のサイズは21cm
私の靴のサイズは21cmです。身長(159cm)の割にかなり小さい足なので、靴屋さんに在庫がないことが多く、いつも取り寄せか通販になってしまいます。 靴屋さんで試着して「わあ、ぴったり! 履いて帰ります」をやったことがありません。足の小さい人(または大きい人)は分かってくださるのでは。
ダンサーにとって足が小さいことはハンデ
ハイヒールで踊る社交ダンスやアルゼンチンタンゴのダンサーにとって、足が小さいことは大きなハンデとなります。 競技会ではヒールの高さが決まっていることが多いのですが、足の大きさにかかわらず皆同じヒール高で踊らなければならないからです。足が小さいほど高いヒールでバランスを取るのは難しいのに……。
足の大きさによって足にかかる負担が違ってくる
直角三角形で考えるとわかりやすいかと思います。 同じヒールの高さでも辺の長さが違うと角度が違ってしまいます。角度が大きくなるほど爪先立ちのようになって歩くことが困難になります。
極端な例を出せば、足の大きさが9cmしかない人は9cmヒールの靴を履けるでしょうか? 無理ですよね。足が小さい人は大きい人に比べて高いヒールを履くのはずっと難しいのです。
『最高級靴読本 究極メンテナンス編』
さて、Amazonでこんな本を見つけました。紳士服の雑誌『Men’s EX』特別編集の『最高級靴読本 究極メンテナンス編』です。靴磨きのマエストロが使えるアイテムやハウツーを解説しています。写真が多くて靴のケアが一目瞭然。これは分かりやすい!
オシャレ男子の流行・靴磨き
最近オシャレ男子の間では靴磨きが流行っているんですね。東急ハンズの靴メンテナンスグッズコーナーが充実していることからも分かります。男もすなる靴磨きといふものを、女もしてみむとてするなり。 私も本を見ながら靴磨きに挑戦。
靴磨きグッズ
とりあえず家にあった靴磨きグッズを揃えてみたのですが、こんな感じでいいのかしら。単身赴任中の旦那様が家に残していってくれたものでやってみることにしました。『最高級靴読本 究極メンテナンス編』には懇切丁寧に方法が解説されているのでありがたいです。
鏡面仕上げ(ハイシャイン)でピッカピカ!
靴磨きの中でもピカピカに磨く鏡面仕上げ(ハイシャイン)という方法が人気のようです。本を見ながらやってみると、ホコリでうっすら白くなってしまっていた本革の靴がピッカピカに。私の顔が映り込むほど美しく輝きました。
私の所有している靴
ちなみに私が所有している靴はこれだけです。 タンゴシューズや室内履きを除けば、1シーズン2、3足のみです。男性だと普通かもしれませんが、女性は季節ごとに靴を変える(※)ものですから女性としては靴はかなり少ないと思います。一足買ったら一足捨てる主義。でも一足一足を大事に使っていますよ。
ピンヒールもハイシャイン
ピンヒールのブルーチャーシューズもピカピカの鏡面仕上げにしましたよ。まずは足元が決まりました。女のダンディズムを極めるために、これから燕尾服を少しずつ作っていくことにします。【蒸気夫人(マダムスチーム)】