森でチェシャ猫と出会うアリス。チェシャ猫は木の上からニヤニヤ笑いをしています。斑入りハクチョウゲの盆栽にスナゴケを貼って『不思議の国のアリス』のフィギュアをあしらいました。
チェシャ猫ってどんな猫?
チェシャ猫ってどんな猫でしょう? 実はチェシャ猫という種類の猫は存在しません。これは「grin like a Cheshire cat(チェシャ猫のように笑う)」という表現が、ルイス・キャロルの時代にはよく使われていたことから創作されたもの。でもその由来ははっきり分かっていません。
明治43年の丸山英觀による『不思議の国のアリスの翻訳』、『愛ちやんの夢物語』ではチェシャ猫を苦肉の策で「朝鮮猫」と訳しています(音は似ていますね)。実は『不思議の国のアリス』は英語特有のダジャレが満載なので翻訳がとても難しいのです。でも当時の読者は「いったいこの朝鮮猫とやらはなんだ?」と頭をひねったことでしょうね。
海洋堂とフルタの食玩『人形の国のアリス』シリーズ
今回も海洋堂とフルタの食玩『人形の国のアリス』シリーズからチェシャ猫とアリスのフィギュアを使いました。本当は手を上げているアリスは、『鏡の国のアリス』のハンプティ・ダンプティとセットになっているもので、ジョン・テニエルの挿絵のアリスは腕を後ろで組んでいます。でも木の上のチェシャ猫を見上げる姿がぴったりなので使用しました。
【1】材料をそろえる
今回は盆栽を使ったジオラマを作ります。材料を揃えて机の上に並べました。土で周りが汚れますので養生をしっかりしてくださいね。
【2】穴のあいた盆栽鉢を用意する
植え替え用の盆栽鉢は益子焼の足付三角鉢を購入しました。マットな白色で和風であるものの、三角形のモダンなイメージ。足つきなので水切れもよく安定しています。
【3】穴を園芸ネットと水苔でふさぐ
土がこぼれないように園芸ネットを穴が隠れる大きさに切り、水苔を少し敷きました。この工程は絶対に必要というわけではないので、いきなり土を入れても構いません。
【4】お好きな盆栽を用意する
これは斑入り白丁花(フイリハクチョウゲ:白鳥花とも書く)の、岩付き根上がり盆栽です。アカネ科ハクチョウゲ属の植物。細かい白い斑点が入っていて(斑入り)、5〜7月に小さな白い花を咲かせます。常緑ですが、寒くなると若干落葉します。2000円ほどでした。安い!
【5】盆栽の根上がり仕立てとは?
根上がり仕立てなので、根が岩の上にからまるように露出しています。高さ20センチほどの小品盆栽ながら、岩を抱き込んでいる根がダイナミックでまるで巨木のように見えるんですよね。チェシャ猫が座っている木にぴったりです。
【6】盆栽を植え替える
こんもりとした丘の上の木に見えるように、土を盛り上げてハクチョウゲを植え込みます。急斜面にする場合は、粘土質の園芸用土・けと土を使うと良いでしょう。けと土は団子状に丸めるのも簡単なので、よく苔玉作りに使われます。
【7】土に苔を貼る
土の部分を隠すようにスナゴケを貼りました。盆栽は見栄えをよくするためによく苔を貼ります。ただ土が乾いているかどうか分かりにくいので、水やりのタイミングが難しくなるのと、下までしっかり水が浸透しないことがあるというデメリットがあります。でもやっぱり青々とした苔があると盆栽が映えますよね。苔を土に乗せて、手で上からしっかりと押さえます。
【8】フィギュアを配置する
フィギュアの底にはステンレス製の釘を接着剤でつけます。そうすると土にしっかりとさすことができてフィギュアが安定します。毒々しいキノコのフィギュアも配置しました。真っ赤なキノコが生えていると不思議の国の森らしさが出ますね。完成です!
盆景やホンノンボでは人形を飾ります
盆栽にフィギュアなど邪道だ! なんて怒られそうですが、盆栽の生まれ故郷・中国では「盆景」と言って、小さな人形とともに鉢植えを楽しむ文化があります。
また中国からベトナムに伝わった盆景はミニチュアのフィギュアをふんだんに飾った「ホンノンボ」という伝統的な園芸に発展しました。盆栽の大家に怒られたら「いいえ、これは日本の盆栽でなく、盆景(またはホンノンボ)なんです」と言い張れば大丈夫ですよ。【蒸気夫人(マダムスチーム)】
参考文献
- 小品盆栽(小さめの盆栽)※ここでは斑入りハクチョウゲ
- 盆栽鉢
- 園芸ネット
- 水苔
- けと土(または盆栽用の土)
- 苔 ※ここではスナゴケ
- フィギュア各種
- ステンレス製の釘
- 接着剤
- 園芸用品一式