女性スチームパンカーとしてはどういった着物を着ればよいのでしょうか? 私の勝手な判断基準ですが「武器が似合うかどうか?」がポイントではないかと。動画で着物を解説しました。
スチームパンク界の女性たち
西洋諸国のサイト・ブログ、映画、アニメ、ゲームなどスチームパンク関連のメディアをざっと見てみると、スチームパンク女性はアクティブな人が多いようです。ヴィクトリア朝の女性の服装は締め上げたコルセットにロングスカートですが、時にスカートをたくし上げ、時に男装して、ライフルや剣を片手に敵をバッタバッタとなぎ倒す格好いいヒロインが目立ちます。
スチームパンクヒロイン=闘う女
もちろんちょっとしたことでもすぐに気絶してしまうヴィクトリア朝的淑女もいるのでしょうが、スチームパンク作品の女性は勇気あふれる闘う女であってほしいと個人的に思っています。そう考えると着物のヒロインは日本刀や銃で敵と互角に渡り合う大和撫子であるべきではないでしょうか。
年代別に動画で着物を紹介
前回は様々な着物の種類について書きました。女性スチームパンカーとしてはどの路線で行ったら良いのでしょう?

現代ではわりとゆるくはなりましたが、着物には結構シビアな年齢制限があります。そこで、10代、20代、30代、40代以上の年齢別に武器の似合うスチームパンク的な着物を、前回の記事をふまえて動画と共に4種ご紹介したいと思います。
10代は「キモノヒメ族」
10代スチームパンカーにお勧めなのはキモノヒメ族です。アンティーク着物と現代ファッションを組み合わせてみてはいかがでしょう。サングラスに腕時計、帽子などの小物。でも着ているのはカラフルでダイナミックな絵柄の銘仙。こんなミスマッチも10代なら許されます。『サクラ大戦』の真宮寺さくらみたいに、着物に袴、靴もオツですね。
20代は「タイショウロマン・ショウワレトロ族」
20代にお勧めはタイショウロマン・ショウワレトロ族の着物。動画は映画『夢二』のトレイラーです。アレンジを加えずに、大正・昭和初期そのものの着付けの仕方で、半襟を多めに見せてアンティーク着物を着てほしいです。普段は竹下夢二や高畠華宵の絵そのものの楚々とした女性でも、いざとなれば長い振袖をまくりあげ、白い肌もあらわにライフルをぶっ放すイメージでしょうか。
30代は「アネサン族」
30代ならアネサン族。動画は『緋牡丹博徒 花札勝負』。『緋牡丹博徒』のお竜さんは衣紋をぐっと抜いて、帯を下の方で粋に締める着付け。火の国の女が結ぶのは九州の博多帯。手にする武器は日本刀。ピストルも似合いますね。
梶芽衣子の『修羅雪姫』
こちらは梶芽衣子の『修羅雪姫』。クエンティン・タランティーノがこの映画の影響を受け『キル・ビル』で元ネタにしたことで有名になりました。母にかわって復讐を誓い、厳しい修行の末剣の達人となる雪。縞の着物に真っ赤な蹴出し(裾よけ)、博多帯に後見結びが決まってます。
池玲子の『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』(閲覧注意)
そしてポルノ映画ではありますが、池玲子の『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』。エンディングの殺陣(たて:映画などの日本刀アクション)は実に素晴らしいですよ。ポルノ映画と見くびってはいけません。胸をはだけさせ、血まみれで斬りかかるお蝶姐さんの美しいことといったら! この壮絶な死闘を演じた池さんは名女優だと思います。
40代以上は「ウツクシイキモノ・キモノサロン族」
最後の40代以上はウツクシイキモノ・キモノサロン族。ただしクロウト系のいわゆる『ゴクツマ』っぽい着物です。動画は『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』。武器はマシンガン。鎖骨が見えそうなほど開けた衿、一筋の毛の乱れも許さない夜会巻き。一般に着物にはNGとされている、(超高級)腕時計、煙草、ネックレスなどのアイテム使いもカッコいいです。
着物で闘うのは無理?
ただ正直言うと、着物はやっぱり冒険活劇的アクションには向いていないです。裾をからげないと走れず、長い袖は腕を振り上げにくく、激しく動けば襟元が着崩れてしまいます。それでも着物で闘う女は美しいですね。動きにくさのハンデを物ともせずに華麗に闘うという部分が、日本的美学に通じるからかもしれません。【蒸気夫人(マダムスチーム)】