ベーカー街221Bに電話? ホームズ、我々の時代は電報だろう? まだまだだね、ワトソン君。ホームズ物語にはちゃんと電話が登場しているよ。今回はアンティークな電話についてです。
もうぼくがやってしまったよ。電話とスコットランド・ヤードの協力のおかげで、この部屋をでなくたって、ぼくはたいてい重要な情報を手に入れることができるんだ。
電報から電話の捜査へ
シャーロック・ホームズ物語のうち
『高名な依頼人(The Adventure of the Illustrious Client)』
『隠居した画材屋(The Adventure of the Retired Colourman)』
『三人のガリデブ(The Adventure of the Three Garridebs)』
『四つの署名(The Sign of Four)』
『唇のねじれた男(The Man with the Twisted Lip)』
『ギリシャ語通訳(The Greek Interpreter)』
には電話が登場します。でもホームズといえば「都合がよければすぐ来てくれ──都合が悪くても来てくれ S・H(『這う男(The Adventure of the Creeping Man』」という電報の文句が有名ですよね(※)。
電報から電話の捜査へ
ホームズも最初の頃は電報を使っていました。しかしロンドンに最初の電話局が設けられたのが1879年。それ以降に起こった事件では、ホームズも電報に加えて最先端のテクノロジーであった電話機を捜査のツールとして使っています。
本当に使えるクラシカル電話機
さてこの電話機、おもちゃではなくて本当に電話機として使用できるものです。携帯電話全盛の昨今、家電(いえでん=固定電話)をわざわざ設置するまでもないかもしれませんが。実際携帯の方が使用頻度が高いものの、どうせネットの光回線をつけているのだからとアンティークな電話機を選んで購入しました。
Paramount Electronics社のリプロダクション
メーカはParamount Electronics (Shenzhen)社。購入先はeBay。もちろんこれは本物のアンティークではなくて、アンティーク風に作られたリプロダクションです。だから現代でも普通に使用できるわけで。お値段は110ドル(約11,300円)でした。
機能は最低限しかありません
今どきの電話機は子機つきで5,000円ほど。このアンティーク風電話機はその倍もお値段がしました。しかもファックスも着信履歴機能もなし。ただ単に電話が鳴って、話せるだけのシンプル設計。でもまあいいのです。スチームパンク生活は不自由を楽しむものなのです。
ホームズ50代の時の電話
この電話機は1907年に発売されたものを再現しています。ヴィクトリア朝ではなく、その次のエドワード朝のものですが、20世紀初頭ならスチームパンクの時代もあてはまりますし、シャーロック・ホームズは当時まだ50代なので時代考証的にはばっちりです。
木と金属と布のアンティーク風
本体は木製、パーツは真鍮色の金属製(真鍮ではなさそう)。ダークブラウンのオーク材に渋いゴールドが良く似合っています。コードも布コードを使っていて好感が持てますね。なお右側のハンドルは飾りです。回すことはできますが、特に機能はありません。
なんで電子音にしたのよ
ただ一つだけ不満を言えば、着信音が電子音なのです。甲高いトゥルルという音が6回、その後はトゥルルルル〜という長めの音が繰り返し鳴るというもの。なんでここまで作りこんで、音を電子音にしたのか……。チリリンっていうレトロなベル音なら良かったのに……。

NOVELTY PHONEシリーズ
できれば日本のメーカに作って欲しいなあ。Paramount Electronics社では、Novelty Phonesシリーズというアンティーク風電話機をたくさん発売しています。卓上の電話機もありますよ。どれもeBayで購入できます。
セカイモンもお勧めです
余談ですがeBayでの買い物に躊躇している方は、セカイモンというeBayの日本向け公認サイトを使ってみてください。入札から落札まで全て日本語。カードで支払いもできます。これまで他のものの購入に何度か利用しましたが、特に問題はありませんでした。ただし当たり前ですが、手数料がよけいにかかりますよ。
1890年の日本の電話加入者はたった197人
1860年にドイツの教師・フィリップ・ライスが制作し、1876年にグラハム・ベルが特許を取得した電話。日本で最初に電話のサービスが始まったのは1890年のことです。その当時の「電話加入者人名表(電話帳)」に載っていたのはたった197人だったそうです(東京155人、横浜42人)。(※)
2014年には普及率100%以上に
それが今や一家に一台どころか、一人複数台持つ人も多い時代になりました。2013年には、なんと携帯電話契約数は70億9,393万5,000契約。世界人口に対する普及率は99.6%。来年2014年には100%を超える勢いそうです(※)。ドラマ版『Sherlock』では、スマートフォンを駆使して事件を解決するホームズが描かれていますが、ヴィクトリア時代のホームズならスマホをどう使いこなすのでしょうね。
卓上の携帯電話充電器も健在
もちろん私の書斎の上の蒸気社製・新型電話機家電通話(カデンツァ)も書斎机の上で活躍中ですよ。前に使っていた携帯が水没したため、今の携帯の充電器を組み込んで改造しました。ま、相変わらず誰からも電話がかかってこないんですけどね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

追記:2014年1月28日
この記事を書いてから1年後、リンガーを接続してベル音が鳴るように改造しました。これもリンガーをプレゼントしてくださった読者のRさんのおかげです。ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
