銀行の頭取がベーカー街221Bを訪ねます。なんとある高貴な人物から預かった緑柱石の宝冠が盗まれてしまったのです。ホームズ物語にちなんで王冠型のシャンデリアを購入しました。
ケースをお開けになると、肉色のやわらかいビロードに埋まって、素晴らしい宝冠が燦然と輝いていました。『大型の緑柱石が三十九個もちりばめてある。金の彫物だけでも、値のつけられぬほど高価なものだ』
ホームズの実験室の灯り
この王冠は実はペンダントランプなのです。私が「ホームズの実験室」として作ったコーナの天井に取り付けたもの。本体は鈍い金色の真鍮。スワロフスキーが40ワットのランプの灯りに照らされてキラキラと光っています。

ホームズ物語の小道具をちりばめた部屋
私が住んでいるこの家は「ホームズの部屋」を目指しているとは言うものの、ホームズの物語に登場したモノを部屋のあちこちに散りばめた部屋が理想です。
ホームズマニアの方に「これはあの話に出てきた証拠品だ」、「これを見るとあの物語を思い出す」と気づいてもらえるようなモチーフ満載の部屋になればいいなと思います。
スチームパンクガジェットは必要不可欠
しかし現代の生活においては電化製品なしには暮らせません。そこでヴィクトリアンインテリアに溶け込むスチームパンクガジェットが必要不可欠なのです。電化製品は極力スチームパンクに改造して、ホームズの部屋としても違和感がないように注意を払っていますよ。
これでは緑柱石に見えない!
さて。この王冠ランプをネットのお店で見つけた時には「まさに宝冠そのものだ!」と小躍りしました。しかし購入した時には写真のような状態。そう、シャンデリアのスワロフスキーは透明で緑色ではなかったのです。これでは『緑柱石の宝冠』になりません。
スワロパーツを購入して取り付ける
私の口癖は「欲しいものが売ってなければ自分で作ればいいじゃない」。そこで一手間加えて改造することにしました。と言っても今回は簡単な改造です。シャンデリア用のスワロフスキーパーツを購入して付け替えただけなのです。
結構根気のいる作業
いえ簡単ではあるけど、結構根気のいる作業でした。ダークグリーンのスワロ52個、ライトグリーンのスワロ36個を新たに購入し、数百個つけられている透明スワロと交換しなければなりませんでした。全部で3時間ぐらいかかりました。
余ったスワロはサンキャッチャーに
余った透明スワロは繋ぎ直してサンキャッチャーに作り直し、ベッドルームに吊るしました。冬の昼間は日光が当たって、部屋中に虹が飛び散ったような状態になります。捨てるなんてとんでもない。ちゃんと再利用しましたよ。
『緑柱石の宝冠』はあまり知られてないけど
シャーロック・ホームズ物語の中では『緑柱石の宝冠』の人気はそれほど高くはありません。『まだらの紐』や『バスカヴィルの犬』は知ってるけど、『緑柱石の宝冠』なんて初めて聞いた──という方もいらっしゃるかも。でもマニアにとってこの物語はホームズの推理法を知ることができる大変重要な資料なのです。
シャーロック・ホームズの推理法
ぼくは以前から、ひとつの信条をもっていましてね。まったくありえないことをすべて取り除いてしまえば、残ったものがいかにありそうにないことでも、真実に違いないということです。
このセリフはホームズがよく口にしているもので、ドラマ『Sherlock』にも登場していますね。先入観に惑わされない、理論家ホームズらしい言葉ですね。
この事件でホームズが得た報酬は?
ところで『緑柱石の宝冠』において、ホームズが頭取・ホールダーから得た報酬っていくらだと思いますか? 宝石1個につき1000ポンド、宝石3個で3000ポンド。それに懸賞金の1000ポンドを足して計4000ポンドももらっているんです。1ポンドを2万5千円(※)とすると、なんとホームズへの報酬は1億円!
ハドソン夫人への支払いはこれで
ホームズは「仕事自体が報酬です」とか言って依頼人からお金を取らなかったりすることもあるのですが、ちゃんとこういうところで報酬を得ているんですね。
ホームズは下宿代の支払いにけちけちしたところを見せなかった。わたしがいっしょに住んだ何年かのあいだに彼が払った金額は、きっとあの家がそっくり買い取れるほどだったに違いない。
なるほど納得。「仕事が報酬」と言うのはカッコいけど、実際収入ゼロでは高等遊民はできませんものね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】