ジャパニーズスチームパンクを夢見る女性に贈る、5分で分かる着物講座です。季節によって変わる着物の種類や帯、小物など、基礎を押さえておけばより和装を楽しむことができますよ。
和装でも楽しみたい日本のスチームパンク
昭和レトロワンピースの記事で猛暑の夏はスチームパンク服はつらいと書いたところ、「もう着物はお召にならないのでしょうか?」とメールをいただきました。日本のスチームパンクを目指すなら、やっぱり和装も楽しみたいものですね。
最近めっきり着なくなった着物
私は学生の頃から着物が好きで大学にも一時期着物で通っていたほどです。でも社会人になって着物を着る回数が徐々に減ってしまいました。残念ながら最近は衣服も西洋のスチームパンク服ばかりです。そこでこの記事では和装について考えてみることにしました。
アンティーク着物はスチームパンクと相性が良い
この着物は昭和初期の、なでしこ柄の夏の絽の着物。カトレアの帯にアールデコの帯留めでモダンガール風に。東京が「帝都」と呼ばれていた明治末期から大正、昭和初期の時代はスチームパンクととても相性が良いですね。いわゆるアンティーク着物ですが、最近じわじわと人気が高まってきているようです。
着物のルールをるとより愉しめます
ただし着物は洋服と違って細かいルールがあるので、着物の素材や柄、季節、格など、様々なものを考慮して着る必要があります。もちろん趣味のことですから自由にアレンジしてかまわないのですが、基礎を押さえておいた方がより楽しめるのではないでしょうか。
着物はおおまかに分けて袷と単がある
まずは季節。着物は大まかに分けると
の3種類があります。袷は裏地がついていて、単と薄物は裏地がありません。
季節によって変わる着物
上の表はおおざっぱなものですが、【1】の袷は10月から5月、【2】の単は6月と9月、【3】の薄物は7月と8月に着ます。温暖化の進む現代ではそれほど厳密でなくなってきていますが、季節によって着るものが変わるのが着物の面白いところです。衣替えという言葉も着物の季節のきまりからきているんですよ。
夏の着物の種類・絽と紗と羅
薄物は裏地のない単で仕立てられていて、涼し気な素材でできています。シースルーで透けて見える紗(しゃ)、絽(ろ)、羅(ら)が主な種類です。また着物の下に着る襦袢、帯や帯揚(あ)げ、帯締(じえ)め、帯留(ど)め、足袋、草履(ぞうり)──など小物にも季節があります。
浴衣について
夏の着物には浴衣(ゆかた)がありますよね。浴衣はもともと入浴の時に着た「湯帷子(ゆかたびら)」から発生したバスローブのようなものです。だから基本的には夜の花火大会やお祭り用、部屋着として着るものなのですが、最近は日中の夏のお出かけ着としてもOKになってきています。浴衣は下に襦袢(じゅばん)を着ないので、おおざっぱには半衿があるかないかで見分けることができます。
着物or浴衣
ただし浴衣と着物の明確な区別がないものもあります。この写真はどっちも同じしじら織(ちぢみ織の一種。糸を縮ませてあるので布が波のようなクレープ状になっている夏の着物地)の着物ですが、左は浴衣として右は着物として着ています。全ての浴衣が着物として着られるわけではないのですが、このあたりの区別は現代ではかなりあいまいです。
帯は大きくわけて2種類
帯は大きく分けて丸帯、袋帯、名古屋帯などの太い帯と、半幅帯、細帯などの細い帯をおおざっぱに覚えておけば大丈夫です。着物には太い帯、浴衣には細い帯を合わせることが多いです。でも浴衣に太い帯、着物に細い帯を合わせることもありますよ。帯にも季節があるので、素材や格などと合わせて着物とコーディネートするといいですね。
着物で性格、職業、年齢も分かる?
他にも、日本の伝統的なカラーコーディネート・襲色目(かさねいろめ)を考慮したり、着物・帯・小物の柄を何かになぞらえてみたり(源氏物語や有名な和歌に登場する文物・柄でそろえるなど)。面倒と言えば面倒ですが、知識をフル活用して洒落っ気を出す着物遊びができます。
次回は様々な着物の種類について
ここに書いたことは本当に基礎の基礎。初歩の初歩。一歩踏み込んでみると、着物を着る人々にも様々な種類があることに気づかれると思います。例えて言うなら、クルマと言ってもスポーツカーあり、クラシックカーあり、エコカーあり、痛車あり──というように。次回の記事では、着物人の種族についてご紹介しますね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】