ディアゴスティーニの『天体模型 太陽系を作る』とオーラリー

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ディアゴスティーニから『週刊 天体模型・太陽系を作る』シリーズが発売されました。太陽系模型・オーラリーです。18世紀前半から19世紀にかけて作られたオーラリーについて解説。

9万円は高いか安いか?

ディアゴスティーニの特徴は毎号雑誌を買って少しずつ組み立て、またはコレクションするというもの。これは全52週完結。第1週は790円ですが、2週目からは1790円。つまり790円+1790円×51週でなんと93080円のお値段です。

ディアゴスティーニ『マーダーケースブック』

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以前ディアゴスティーニから発売されていた『マーダーケースブック』を妹にもらったことがあります。世界の猟奇殺人鬼を毎号特集している雑誌なんですが、これは全号コンプリートしなくても読み物として楽しめるから問題ありません。

黒いディアゴスティーニ『マーダーケースブック』をもらいました。
『マーダーケースブック』を知っていますか? 通称マケブ。ご存じの方はかなりマニアックな趣味ですね。マケブ(95年〜97年刊)はディアゴスティーニから発行された週刊誌です。

動画で見る『週刊 天体模型・太陽系を作る』

でも『週刊 天体模型』は1号でも欠けると機械として全く役に立たないガラクタになってしまいます。オーラリーの完成までには1年かかります。この手の工作系雑誌は途中でやめることができないんですよね。実にデンジャラスなシリーズです。でも完成された方もネット上にはたくさんいらっしゃいますよ。動画を見ると実に魅力的ですね。

18世紀~19世紀の天体模型・オーラリー

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William Pearson OrreryPlanetary Machines, Edinburgh Encyclopaedia, Vol.16, 1830, William Blackwood & Proprietors, Edinburgh UK, Plate 462, following p.741] on Google Books

さてこの天体模型、正式名称は「オーラリー(Orrery)」といいます。太陽を中心に、地球をはじめ惑星の運航を表現した学習教材および装飾品。このような形のものは18世紀前半から19世紀にかけて作られました。

英国において当時知識人の間で流行したアイテムなんですよ。惑星は歯車仕掛けで回転する機械式が多く、精巧なものは本物の公転周期と連動したものもあったんですって。

オーラリーの歴史

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1704年、イギリスの時計学者・ジョージ・グラハムGeorge Graham 、1673〜1751)がユージン公の命により、惑星の動きや季節変化などを機械的に再現する太陽系模型を作りました。その模型に改良を加えて1713年にメカニカルな天体運行儀に発展させたのがジョン・ローレイ。

そしてローレイの後援者である、第4代オーラリー・チャールズ・ボイル(Charles Boyle Earl of Orrery 1676-1728)の名前にちなんで「オーラリー」と呼ばれることになったんです。発明者でなくパトロンとして後世に名を残す──貴族ってうらやましい。

映画『トゥームレイダー』にも登場

私が最初にオーラリーのことを知ったのは、映画『トゥームレイダー』(2001)でした。主人公ララ・クロフトの夢の中の回想シーンに、オーラリーを使って惑星直列を説明する彼女の父親が出てきます。クライマックスシーンでも巨大なオーラリーが登場しましたね。

購入したおもちゃのオーラリー

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実はすでに一つオーラリーを持ってるんです。これは子供用の太陽系模型のおもちゃ。対象年齢は8歳以上。単三乾電池4本で動く電動式で、ボタンを押すと英語で惑星の説明が流れます。でもこれ全然使ってません。ちゃんと説明を読んでなかったので、届いてみたら意外に大きくてびっくり。

縮尺、比率は大目に見て

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これらのオーラリーは実際の惑星の距離・大きさの比率では作られていません。太陽系の惑星どうしはものすごく離れてます。この模型の地球は直径4センチだから本当なら地球と太陽の距離は470メートルぐらい棒をのばして作らなくてはいけません

それに太陽の大きさ4メートル以上になってしまいます。そんな巨大模型は部屋に入りません。また現在では太陽系の惑星ではないといわれている冥王星が入っていますが、まあこれは仕方ないですね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

当記事の画像は著作権保護期間を満了したパブリックドメイン写真を使用しています。

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