ラブメータは握るとボコボコと沸き立つ不思議玩具です。ラブテスター、ハンドボイラーとも呼ばれています。まるでレトロな科学実験器具のようですね。この仕組みを解説いたします。
球を握ると沸騰する!?
ガラスでできていて、砂時計のような形。中に液体が入っていますね。ここでは赤色ですが、水色、黄色などいろんな色のものが販売されています。下の部分のガラス球を握ってみましょう。すると中の液体が上昇していって、沸騰したみたいに沸き立つんです。
ラブメータの動きを動画でどうぞ
動画で見てみましょう。手で握ってみると、噴水のように液体がぴゅーっと勢いよく吹き上がります。そしてまるで沸騰したようにボコボコと泡が湧き出します。でも全く熱くはないんですよ。摩訶不思議。
ラブメータは愛が計れる道具?
手で熱を与えると液体が湧いたように見えることから、好きかどうかが判断できる(愛の度合いを測る)ラブメータと呼ばれています。相手のことが好きだとぽーっと熱が出て手が暖まる→液体が沸き立つってことかな? 恋人同士で握って遊んだりします。あんまり科学的な根拠ないけど、面白いおもちゃでしょう?
沸点が低いジクロロメタン
ではいったいどうしてこんな現象が起こるのでしょうか? 簡単に言えば、気体が加熱によって膨張する性質を利用したものです。中に入っている液体はジクロロメタン。一般に塩化メチレンと呼ばれています。ジクロロメタンは沸点が40度と低いんです。エーテルなど他の可燃性の液体が入っていることもあるみたい。
ラブメータのしくみ(温めた場合)
手で球の一方を温めると、中の液体が気体になります。気体は熱せられると膨張するので球体の中の圧力が高まり、逃げ場をなくした気体がもう一方の球体へと液体を押すためにボコボコと湧いたように見えるんです。この一連の現象は急激に起こるので、噴水のようにぴゅーっと液体が飛び出すんですね。
ラブメータの仕組み(冷やした場合)
では逆に冷やしてみるとどうか? アイスノンや氷をくっつけてみると冷やされた方に液体が上がっていくんですよ。さあここでまとめてみましょう。
温度が上がる→体積が増える(気体が膨張する)
温度が下がる→体積が減る(気体が収縮する)
これはシャルルの法則ですね。圧力が一定の時、気体の体積は絶対温度に比例すると習いました。でもこれ字面だけだと全然頭に入らないけど、ラブメータを見れば一発で理解できます。
絶対温度とは何か。温度を下げると気体の体積が小さくなる。さらにどんどん温度を下げていくと体積がなくなってしまう(別の言い方をすると、気体を構成している分子が運動できなくなる)温度になる。これ以上もう温度が下がらないという限界、それが絶対零度。ケルビン(K)という単位を使います。
この0Kを基準とした温度が絶対温度で、摂氏-273.15の値になります。でも実際には、気体を冷却していくと液体→固体になることはあなたもご存じの通り。誰も気体のまま-273.15度になったのを観測したことがないんです。だからこれはあくまで理論上のお話。
水飲み鳥も同じしくみ
以前ご紹介したラジオメータのように、興味の無い方にとっては「だから何なの?」というおもちゃ。でも見た目のインパクトがあるので、科学を学ぶときにはもってこいのグッズではないかと思います。

絶対に割らないようにネ!
私の持っているラブメータは、スイスのグラースィヘルギスヴィル社の職人さんが作った手作りの品。コロンとしていて可愛いですね。
一つだけ注意。中に入っている液体ジクロロメタンは発ガン性・毒性があるから絶対に割ったりしちゃダメです。特に小さいお子さんが遊ぶときに目を離さないでくださいね。
【蒸気夫人(マダムスチーム)】