スチームパンクイヤーマフ・機械式防音装置「静寂閑雅」で騒音をカット

Steampunk Hearing Protector
これなる発明品は過日、蒸気社より発売されし、機械式防音装置・静寂閑雅(せいじゃくかんが)であります。被ればたちまちその静かなる事、あたかも深き森の中独り佇むがごとし。

只今各所にて評判々々。「日々の騒音にお悩みの皆々様に是非ともお勧めいたします」とは購入者、五十嵐麻理夫人の弁。

スチームパンク風に改造

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今回はイヤーマフを蒸気社謹製の「静寂閑雅」としてスチームパンク風に改造してみました。イヤーマフは一見ヘッドフォンのように見えますが、機能はヘッドフォンと逆です。大きな音を和らげるための防音保護具です。主に工事現場や飛行場、射撃場などで使われますが、騒音に悩まされている方にとっても便利なグッズです。

騒音を和らげるイヤーマフ

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イヤーマフは自動車や電車の音、ご近所のイヌの鳴き声、掃除機の音、子どもの騒ぐ声──などの騒音対策に威力を発揮します。静かな環境で勉強したい方、眠りたい方には最適なアイテム。

どのくらい静かになるのかはNRR値(※)で表されます。このイヤーマフのNRR値は30db。たとえば新幹線の車内は70dbほど。イヤーマフをつけると70db-30dbで40dbになり、静かなささやき声ぐらいの音になります。

Noise Reduction Rating (ノイズ減少率)の略。数値が高いほど遮音性が高くなる。

聴覚過敏の方の必需品

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私は子どもの頃から大きな音が怖く、特にクルマの中など閉鎖的空間で大きな音が鳴っているのが苦手でした。大人になってだいぶ慣れましたが、レストランや書店などで無関係な音楽がかかっていると思考が乱されてまともに考えることができなくなってしまいます。

このような聴覚過敏の症状は自閉症の方に多くみられ、騒音に恐怖を感じたりパニックに陥ってしまうこともあります。イヤーマフは騒音を抑えることができるため、聴覚過敏にお悩みの方にとって大変役立つのです。

耳栓と併用すれば完全な防音状態に

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外出するときには必ず耳栓を持参しているのですが、防音性の点ではイヤーマフの方が優れています。イヤーマフは安全性を考慮して人の声は通り易くなっていますが、耳栓プラスイヤーマフならかなりの音をカットできます。

スチームパンクイヤーマフ「静寂閑雅」

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いつも家ではイヤーマフを愛用していますので、どうせならとスチームパンク風に改造し、「静かでひっそりとしていて、みやびやかな風情のあるさま」という意味がある「静寂閑雅」と名付けてみました。

PELTORのH10A

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元になっているのはこちらのイヤーマフ、H10A。PELTOR(ペルター)のものです。重さは265グラム。NRR値は30db。Bilsom(ビルソム)社のものと迷ったのですが、アメリカのAmazonで評価が高かったので購入しました。銃大国のアメリカで売れているのなら間違いないでしょう。

【1】材料を選ぶ

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スチームパンクなテイストにするには、オーバーエンジニアリングにすること。つまりボタンやらスイッチやらゴタゴタと無駄に付加価値がついているってことですね。材料は100円ショップで購入したグッズです。自転車の反射板が使えそうですね。台所用品をくっつけても面白いかも。この手のパーツは普段の買い物ついでにちょこちょこ買っておくといいですよ。

【2】サンドペーパーで表面を荒らす

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塗料がつきやすいように表面をサンドペーパーで荒らしておきます。PELTORというロゴが浮き彫りになっているので削ります。

【3】パーツをポリパテでつける

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自転車の反射板をライトの代わりに取り付けます。接着剤でくっつけておいてからタミヤのポリパテで周りを盛ります。一度に盛ると内側の部分が乾燥しませんので、ちょこっとずつ乾いては盛り、乾いては盛りします。完全に硬化したらサンドペーパーで削って表面をなだらかにします。

【4】パーツ作り

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ボタンやビスに使えそうなパーツを選びます。今回はナットをボタンがわりに、カシメをビスとして使います。カシメは足の部分が邪魔ですのでハンマーで叩いて足を潰しておきます。

【5】脱脂・マスキング・サーフェイサー

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塗装に移ります。ここからの工程は以下の記事に詳しく書きましたので、ご参考までに。まずはサーフェサー(下地塗料)を吹きます。塗装する部分以外のところはマスキングテープで保護します。アルコールで手の油などをよく拭いておくこと(脱脂)。白いペースを吹いて真っ白になりました。

プラスチックがマホガニーに!? 簡単にできる木目塗装の方法
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【6】パーツの塗装

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ボタンやビスを金色に塗装します。このような細かいパーツの塗装は、ガムテープに貼りつけて一度に塗ると楽ですよ。金属用のサーフェサーを吹いたあと、ゴールドのラッカースプレーで塗装します。

【7】第一塗装・イエロー&第二塗装・木目模様

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黄色のラッカースプレーを吹き、よく乾燥させます。その後黒のエナメル塗料スポンジでポンポンとランダムにつけます。薄め液でエナメル塗料の濃さを変えて塗るとリアルです。再び乾燥させます。

【8】第三塗装・マホガニー色&透明ニス

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マホガニーのウレタンニスを吹きます。そして乾燥。マホガニーの木目をしっかり出したいので3回ほどくりかえすと、きれいな飴色になりました。乾燥後、透明ウレタンニスを吹いてツヤを出します。

【9】第四塗装・ゴールド&パーツ接着

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木目や耳にあたる部分をマスキングテープで覆って、その他の部分を金色のラッカースプレーで塗装します。乾いたらボタンなどのパーツを接着剤でつけていきます。写真はビス止めしてあるようにハトメを等間隔に接着しているところ。結構リアルでしょう?

【10】金文字入れ

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金色の文字を入れます。レーザープリンター用の透明シール用紙に文字を印刷し、スタンピングリーフで金色の文字にします。スタンピングリーフはこのブログではもう何回も出てきているおなじみの素材です。

【10】金文字入れ2

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スタンピングリーフは以下の記事でその仕組みや使い方をご説明したのでここでは省略します。切り抜いた金文字シールを表面に貼ります。この時点ではシールの縁がうっすらと見えてみ待っている状態です。

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【11】透明ニス

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シールの上から透明ニスを塗ると、シールの縁が目立たなくなりますよ。製品名「静寂閑雅」の上には「蒸気社謹製」の文字。蒸気社はこの手のスチームパンクガジェットを発売している架空の会社です。キーボードや昭和レトロ自転車もそうですが、改造スチームパンクグッズにはなるべく日本語を入れたいと思っているのです。

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【12】ウェザリング

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ウェザリング(風化・汚し塗装)を入れます。エナメル塗料やアクリル塗料で、ボタンやビスの溝・境い目(写真矢印の部分)に汚しを入れると、古めかしく重々しいイメージになってリアルに見えるのです。ピカピカの新品っぽくしたい場合はする必要はありませんが、ちょっとウェザリングをしておくと使い込んだ感じで味が出ると思います。

【13】ベルベット生地をヘッドパットに

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ヘッドパットの部分は味気ないビニールだったので、クラシカルなベルベット調に変更することにしました。昭和レトロ自転車のベルベット風フレームカバーで使ったハイミロン生地が余っていたので、くるむようにして縫ってみました。中にキルト芯(綿)も入れ込んだのでフカフカ。かぶり心地もよくなった気がします。

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【14】完成

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ようやく完成しました。塗装の乾燥時間があったので制作期間は1週間ほど。家事をするときだけでなく、勉強中や原稿書いたりするときにも愛用しています。なるべく軽くする努力はしたものの、300グラムほど重さがあるので長時間には向いてないかも。でも寝るときにイヤーマフをつけている方もいらっしゃるので、慣れなのかもしれませんね。【蒸気夫人(マダムスチーム)】

追記:2018年5月22日

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道具・材料
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